3/1、千代田区の「ちよだプラットフォーム・スクウェア」を視察させていただいた。
ご案内くださったのは、
プラットフォームサービス株式会社代表取締役藤倉潤一郎氏。
単なる「インキュベート・センター」ではない。
2003年、千代田区竹橋地区に、不活性な公的施設を改修して開設。
官民の連携・協働の中でできた施設。
東西線竹橋駅から、歩いて5分程度。
地下2階、地上5階。
SOHO(Small Office Home Office):IT(情報通信技術)を活用して事業活動を行っている従業員10名以下程度の規模の事業者のこと。主にクリエイター、フリーランサー、ベンチャー、有資格者、在宅ワーク等が対象。情報通信機器の高度化や通信基盤の整備により、このような形態が増え始め、国も産業政策の視点から新たな都市型産業として支援・育成に取り組んでおり、また、都市政策、住宅政策の視点からも、SOHOを都市の再生や住職のバランスのとれた新たなワークスタイルの実現する施策の中に位置づけ、SOHOを支援する住宅や施設のあり方などが検討されている。(『非営利型株式会社が地域を変える』ぎょうせい 2006年)
このSOHOのオフィスが、活動しやすい環境が徹底的に追求された施設。
一つのフロアーは、かなり広い。
正確に聞いていないが、見た感じ100坪はあろうか。
1階は、総合受付とビジネスセンター。そして、オープンなカフェ。
2階は、図書館の自習室のようなつくりの共有ワークスペース。空いている席を自由に利用する。フリーアドレス。
3階は、様々な部屋を大きさの区画された部屋でオフィス。
4階は、千代田区公社事務所に貸し出し。
5階は、ミーティングルーム、大小6部屋。
屋上は、芝生と野菜園。皇居と東京タワーが見え、気持ちが良い。
地下一階は、マッサージや小規模スポーツジムで、気分転換に良い。あと、コンピューターのサーバー置き場とプロジェクトルーム。プロジェクトルームは、短期間に企画を実現する集中作業所。
地下二階は、駐車場。
一階の外は、オープンデッキとなり、昼食を取る場所になったり、神田のお祭りでは、お神輿の拠点になり、地域に開かれたスペース。
特徴は、
①現代版「家守(やもり)」=世話人の存在
オフィスを構える起業家を、家守としての世話人がサポートする。
②入居者同士の交流が、新たなビジネスに発展する環境。
2階には、170社が入っているらしい。
お互いが繋がり、情報交換する環境が整っている。
③ビジネス規模の拡大に伴い、オフィスを大きくできる。
最初は、2階でビジネスを起こす。フリーアドレスの机を使用できる料金は、一ヶ月15000円!拡大と共に、3階で固定オフィスをもつようになり、さらに、ビジネスが定着すると、近隣ビルにオフィスを構えて、巣立っていく。
初めから、オフィスを持つような多大な資金投下のリスクがなく、起業できるのである。
④資金調達のために、株式会社の形態で、ファンドを運用
株式会社は、「非営利型株式会社」という形態をとる。
「非営利型株式会社」の概念が、誰もが理解できないと思う。私がそうであった。彼等の定款で、その感じを掴んでいただきたい。
『第2条(理念)
当会社は、社会性のある事業を展開することで、プラットフォーム機能を提供するまちづくり会社として社会の公器となることを理念とする。
第30条(剰余金)
剰余金は、優先配当分を除き内部留保し、当会社の理念遂行のために再投資するものとする。
第31条(残余財産)
当会社が解散した場合における残余財産は、以下のとおり分配する。
1.資本金のがくまでは株主へ分配する。
但し、分配にあたっては、普通株主に先立って優先株主に分配するものとする。
2.資本金の額を超える部分は、当会社の理念に沿った団体に寄付するものとする。』
⑤紹介があってはじめてオフィスを構えることができる
誰でもオフィスを構えることができるのではなく、紹介があって初めて、オフィスを持つことができる仕組み。
以上の特徴が、成功の原因であると私は分析する。
さて、この施設と出会い、この視察を終え、私が考えることは、
①起業支援は、ここまですべき
中央区でも、高齢者施策や男女共同参画の中から、起業支援が言われている。起業は、単に“座学”を聞いて、すぐにできるものではない。
このようなプラットフォームを開設し、世話人がサポートし、ネットワーク形成の機会をつくるまでして、ようやく起業実現にこぎつけることができるであろう。
②NPO支援センターも、ここまですべき
NPOインキュベーション・センターなるものも言われているが、NPOのオフィスも、このようなプラットフォームの中で持つと、ネットワーク形成により、すごい力が発揮されるものと考える。
NPOのネットワークの広がる機会をつくっていくことが、これからのNPO支援の一つの鍵である。
③NPOの限界を超える「非営利型株式会社」
大きなビルを一棟借り切って、プラットフォームサービス株式会社は、千代田区行政と協働しながら、「ちよだプラットフォーム・スクウェア」を運営している。
大きな規模のNPOはあるが、多額の資金を用い、かつファンドを運用しつつ、やりくりする場合、もしかしてNPOよりも、「非営利型株式会社」の形態の方が適しているかもしれないと感じている。
④SOHOプラットフォームの全国的連携に期待
「ちよだプラットフォーム・スクウェア」は、全国的に望まれていると考える。
このようなプラットフォームが、日本の主要都市にでき、そしてそのプラットフォーム自体が、連携することで、あらたな展開が期待できる。
例えば、広島でのSOHOビジネスが、連携する東京千代田のプラットフォームにも拠点を置けば、東京でもビジネス展開できることになる。
知的産業立国日本に欠かせない戦略であろう。
⑤SOHOビジネスの広がりに期待
SOHO自体、子育て家庭や、介護している家庭にやさしい働き方である。
子育てをしながら仕事をする形態に非常に即してもいるし、実際そのようなお母さんを私は知っている。
ワークライフバランスといわれているが、その一つの実現の形である。SOHOの広がりに期待する。ただ、たやすくはない。
家守のような世話人がいるプラットフォームの存在があって、初めて可能になるであろう。
今後も、プラットフォームのあり方を、念頭に置きつつ、政策立案してして行きたいと考える。
ご多忙のところ、施設をご案内くださった藤倉氏には、非常に感謝いたしております。誠にありがとうございました。今後とも、ご指導いただけましたらと、考えております。
なお、この知り合うきっかけ作りは、いつもの仕掛け人「NPOサポートセンター」。2/26に理系のためのNPO講座を主催し、『SOHOによる都市再生』と題した講座の講師を、藤倉氏が務められていた。講座を受講した私は、藤倉氏の語られたプラットフォームに感銘を受け、是非ともこの目で確かめたくなり、ご無理をお願いして3/1に視察させていただいた次第。
いつも、すばらしい出会いのきっかけづくり、一流の講師をお招きしてのNPO勉強会開催には、感謝致しております。
ご案内くださったのは、
プラットフォームサービス株式会社代表取締役藤倉潤一郎氏。
単なる「インキュベート・センター」ではない。
2003年、千代田区竹橋地区に、不活性な公的施設を改修して開設。
官民の連携・協働の中でできた施設。
東西線竹橋駅から、歩いて5分程度。
地下2階、地上5階。
SOHO(Small Office Home Office):IT(情報通信技術)を活用して事業活動を行っている従業員10名以下程度の規模の事業者のこと。主にクリエイター、フリーランサー、ベンチャー、有資格者、在宅ワーク等が対象。情報通信機器の高度化や通信基盤の整備により、このような形態が増え始め、国も産業政策の視点から新たな都市型産業として支援・育成に取り組んでおり、また、都市政策、住宅政策の視点からも、SOHOを都市の再生や住職のバランスのとれた新たなワークスタイルの実現する施策の中に位置づけ、SOHOを支援する住宅や施設のあり方などが検討されている。(『非営利型株式会社が地域を変える』ぎょうせい 2006年)
このSOHOのオフィスが、活動しやすい環境が徹底的に追求された施設。
一つのフロアーは、かなり広い。
正確に聞いていないが、見た感じ100坪はあろうか。
1階は、総合受付とビジネスセンター。そして、オープンなカフェ。
2階は、図書館の自習室のようなつくりの共有ワークスペース。空いている席を自由に利用する。フリーアドレス。
3階は、様々な部屋を大きさの区画された部屋でオフィス。
4階は、千代田区公社事務所に貸し出し。
5階は、ミーティングルーム、大小6部屋。
屋上は、芝生と野菜園。皇居と東京タワーが見え、気持ちが良い。
地下一階は、マッサージや小規模スポーツジムで、気分転換に良い。あと、コンピューターのサーバー置き場とプロジェクトルーム。プロジェクトルームは、短期間に企画を実現する集中作業所。
地下二階は、駐車場。
一階の外は、オープンデッキとなり、昼食を取る場所になったり、神田のお祭りでは、お神輿の拠点になり、地域に開かれたスペース。
特徴は、
①現代版「家守(やもり)」=世話人の存在
オフィスを構える起業家を、家守としての世話人がサポートする。
②入居者同士の交流が、新たなビジネスに発展する環境。
2階には、170社が入っているらしい。
お互いが繋がり、情報交換する環境が整っている。
③ビジネス規模の拡大に伴い、オフィスを大きくできる。
最初は、2階でビジネスを起こす。フリーアドレスの机を使用できる料金は、一ヶ月15000円!拡大と共に、3階で固定オフィスをもつようになり、さらに、ビジネスが定着すると、近隣ビルにオフィスを構えて、巣立っていく。
初めから、オフィスを持つような多大な資金投下のリスクがなく、起業できるのである。
④資金調達のために、株式会社の形態で、ファンドを運用
株式会社は、「非営利型株式会社」という形態をとる。
「非営利型株式会社」の概念が、誰もが理解できないと思う。私がそうであった。彼等の定款で、その感じを掴んでいただきたい。
『第2条(理念)
当会社は、社会性のある事業を展開することで、プラットフォーム機能を提供するまちづくり会社として社会の公器となることを理念とする。
第30条(剰余金)
剰余金は、優先配当分を除き内部留保し、当会社の理念遂行のために再投資するものとする。
第31条(残余財産)
当会社が解散した場合における残余財産は、以下のとおり分配する。
1.資本金のがくまでは株主へ分配する。
但し、分配にあたっては、普通株主に先立って優先株主に分配するものとする。
2.資本金の額を超える部分は、当会社の理念に沿った団体に寄付するものとする。』
⑤紹介があってはじめてオフィスを構えることができる
誰でもオフィスを構えることができるのではなく、紹介があって初めて、オフィスを持つことができる仕組み。
以上の特徴が、成功の原因であると私は分析する。
さて、この施設と出会い、この視察を終え、私が考えることは、
①起業支援は、ここまですべき
中央区でも、高齢者施策や男女共同参画の中から、起業支援が言われている。起業は、単に“座学”を聞いて、すぐにできるものではない。
このようなプラットフォームを開設し、世話人がサポートし、ネットワーク形成の機会をつくるまでして、ようやく起業実現にこぎつけることができるであろう。
②NPO支援センターも、ここまですべき
NPOインキュベーション・センターなるものも言われているが、NPOのオフィスも、このようなプラットフォームの中で持つと、ネットワーク形成により、すごい力が発揮されるものと考える。
NPOのネットワークの広がる機会をつくっていくことが、これからのNPO支援の一つの鍵である。
③NPOの限界を超える「非営利型株式会社」
大きなビルを一棟借り切って、プラットフォームサービス株式会社は、千代田区行政と協働しながら、「ちよだプラットフォーム・スクウェア」を運営している。
大きな規模のNPOはあるが、多額の資金を用い、かつファンドを運用しつつ、やりくりする場合、もしかしてNPOよりも、「非営利型株式会社」の形態の方が適しているかもしれないと感じている。
④SOHOプラットフォームの全国的連携に期待
「ちよだプラットフォーム・スクウェア」は、全国的に望まれていると考える。
このようなプラットフォームが、日本の主要都市にでき、そしてそのプラットフォーム自体が、連携することで、あらたな展開が期待できる。
例えば、広島でのSOHOビジネスが、連携する東京千代田のプラットフォームにも拠点を置けば、東京でもビジネス展開できることになる。
知的産業立国日本に欠かせない戦略であろう。
⑤SOHOビジネスの広がりに期待
SOHO自体、子育て家庭や、介護している家庭にやさしい働き方である。
子育てをしながら仕事をする形態に非常に即してもいるし、実際そのようなお母さんを私は知っている。
ワークライフバランスといわれているが、その一つの実現の形である。SOHOの広がりに期待する。ただ、たやすくはない。
家守のような世話人がいるプラットフォームの存在があって、初めて可能になるであろう。
今後も、プラットフォームのあり方を、念頭に置きつつ、政策立案してして行きたいと考える。
ご多忙のところ、施設をご案内くださった藤倉氏には、非常に感謝いたしております。誠にありがとうございました。今後とも、ご指導いただけましたらと、考えております。
なお、この知り合うきっかけ作りは、いつもの仕掛け人「NPOサポートセンター」。2/26に理系のためのNPO講座を主催し、『SOHOによる都市再生』と題した講座の講師を、藤倉氏が務められていた。講座を受講した私は、藤倉氏の語られたプラットフォームに感銘を受け、是非ともこの目で確かめたくなり、ご無理をお願いして3/1に視察させていただいた次第。
いつも、すばらしい出会いのきっかけづくり、一流の講師をお招きしてのNPO勉強会開催には、感謝致しております。
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