北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

仕事の無駄を探せ~三方良しの公共事業改革

2013-04-11 23:45:32 | Weblog

 さて問題です。

「上司から緊急の仕事頼まれました。さてやろうとすると、別な上司からも『すまん、これ急ぎでやってくれないか』という指示。ところがさらに別な3人目の上司から『頼む、これ大至急やって』という依頼が。こんなときあなたならどうしますか。どれから取り掛かるべきか。いっそ全部とりかかろうか…、どうしよう」

 こんな状況が少なからずあると思いますが、実はこれ、今日職場で行われた講演会での講師からの質問でした。

 いわゆるマルチタスク状態に陥った時に、どういう順番で仕事をするのが良いか、というのがポイントです。

 そこで講師は、三つの作業をする一つのゲームを参加者にさせました。

 それは、まず紙を用意して、一つ目のミッションは縦に数字を1から20まで書くもの、二つ目のミッションは、縦にアルファベットをaからtまで書くもの、そして三つ目は、「〇△◇」をこの順番で20個書くというもの。

 これを、最初は、1→a→○→2→b→△→…と繰り返して、最後までいくやり方を行ってみます。

 大体一文字を書くのは、0.3秒といわれるそうですが、まあ甘く見て一個1秒として、「用意、ドン」で皆一斉に書き始めます。

 講師は時計を見ながら、「できた人から手を上げてくださいね」と言いましたが、結局目標の1分以内に書き上げた人は一人もいませんでした。


    ◆


 次に、同じ三種類の文字を20個ずつ書くミッションを、今度は数字だけ1、2、3…と書いて、書き終わったら今度はアルファベットをa、b、c…と書き、最後に「〇△◇」を繰り返し書きます。

 これまた「用意、ドン」で書き始めてみたところ、最速で終わった人が35秒で手を挙げて、皆続々と手が上がり、ほぼ全員が1分以内に書き上げることができました。

 これは「マルチタスクゲーム」と言うそうですが、つまりは、最初にあった、三人の上司から急ぎの仕事を頼まれたときにどうすればよいか、を考えると、まずどれか一つから初めて最後まで終わらせてから、次に取り掛かるのが効率的だ、ということになるのです。

 実際にやってみると、横に書いてゆくと数字からアルファベットに意識を写してさらに図形を考えるとなると、脳がイライラしているのが分かります。   

 同じ人がやって、出来上がった成果は同じものなのに、時間は半分でストレスも少ないやり方があるというわけ。

 実際にやってみてください、驚くほどの差が出るものですよ。


   ◆   ◆   ◆


 これは今日の講演の、「三方良しの公共事業改革」のなかの一コマでしたが、つまりさまざまな無駄を日常の仕事の中からみつけてこれを修正してゆくことで、部分最適ではなく、全体としての最適を見出そう、というのが趣旨。

 これ以外にもシステムに内在するさまざまな無駄に至る例を示して、結果として成果を向上させることはもちろんですが、それに参加するチームのスタッフがストレスなく、やる気に満ちて達成感と幸せを感じるようになるための様々な工夫を教えてくれました。

 講師は国交省のOBで元上司だった方ですが、こういう教養溢れる話を同じ国交省職員から聴けて大変に勉強になりました。

 仕事を多面的に見る癖をつけて様々な外部の理論を勉強したところから得たお話は実にためになりました。


 ちなみにこの「三方良しの公共事業改革」は同タイトルでの書籍が出ています。 → http://amzn.to/Zp8I78

 仕事のちょっとした癖や、人間の業みたいなものも見えてきます。

 仕事のやり方をよく考えさせられる時間でした。講師のOさん、ありがとうございました。
 
 

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ハーフシフトというライフスタイル

2013-04-11 00:04:39 | Weblog

 北大観光学高等研究センターの敷田教授へご挨拶へ伺いました。

 敷田先生は北海道では知床世界自然遺産地域でのエコツーリズムについて様々な支援をされています。

 先生とは以前からの知り合いですが、環境省が世界自然遺産登録の候補地を選定する懇談会を開催して、そのメンバーだったことから親交が復活しました。

 世界自然遺産については、「学術的な希少性はもちろんですが、仮に登録されたとしてその後にその価値が守られることが担保されるのか、ということが重要になると思います」という意見です。

「もちろん、阿寒湖でも持続可能な自然の利用を目指しています」と私。

 すると敷田先生は、「例えば、価値ある対象物も全部利用したり見せたりしないということもあると思うのです。伝説化したり、物語によって、見せないことで周辺情報の付加価値を上げるという事も考えられます」
「全部は見せない、ということですか」

「そうです。簡単には見られないことが価値になるのです。逆に言うと、地域の価値が何かの目玉によって代表されてしまうことも問題です。知床で言うと、ヒグマがそれになり、ヒグマを見られることが知床の価値の代表になりつつあります。知床の価値はそんなものだけではないのですが、大きくて分かりやすいためにそこに興味が集中するのです」
「もっと多面的な価値を伝えた方が良いですね」

「はい、阿寒湖でもマリモをどこまでどう見せるのか、というあたりには工夫があってよいと思います」


 ぜひ一度阿寒湖や釧路でもお話を聞かせてあげてほしいものです。

   ◆   ◆   ◆


 さて、敷田先生と様々な話をしていて、「どうも私ははみ出し公務員です」と言うと、「はみ出した方が良いのではないか、という論文をかつて書いたことがありますよ」という話になりました。

 それは、「専門家の創造的な働き方としてのハーフシフトの提案 :科学技術コミュニケーターとしての隣接領域での無償労働」という論文だそうですが、専門家がその領域をさらに生かすための新しい生き方の提案だそうです。

 論文はこちら→ http://bit.ly/YkehZM


 敷田さんは、「仕事の外に趣味があるのは良いけれど、仕事を離れて趣味で食ってゆくというのは簡単ではありません。しかし仕事で培われたスキルやノウハウをもう少し社会に活かして充実した人生を送ることはできると思うのです。それがハーフシフトという考え方で、ちゃんと仕事はするのだけれど、それが自分の100%になってしまうのではなく、自分の気持ちの半分をスキルが生きる世界で社会に還元してはどうか、というのです」

「仕事の手を抜いて…、というわけではありませんよね」
「もちろんです。仕事は一生懸命するのですが、それだけではなく同じくらい一生懸命に自分の外の世界と関わってそこに貢献してはどうか、とうものです。そうすることによって、友人や仲間が増えて、充実した人生が送れると思いますよ」

「なるほど、それは転職をするというのとも違いますね」
「次から次へと自分の能力を引っ提げて仕事を変えても食える、ノマドと呼ばれる生き方をする人たちもいますが、それが成立するのは東京や大阪などの大都市に限られます。札幌でも地方都市ではそれは無理だと思います。だから仕事を辞める必要はなくて、仕事をつづけながらやれる範囲で地域や外の世界に貢献する生き方というものを提案したのです」


    ◆   


 仕事で培ったちょっとしたスキルでも、地域やNPOなどでは求められる能力ということがよくあります。

 逆に言えば、それだけ多くの集団や組織でも人材が不足しているという事です。

 そうした不足する人材=能力を少しずつ持ち寄ることでより良い地域社会づくりに貢献するという生き方はどうでしょう?

 ハーフシフトとはなかなか面白い考え方です。

 25%くらいの、クオーターシフトくらいならありかな(笑)


  

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