挨拶回りで各所を訪ね歩いていると、いろいろな情報が入ってきます。
北海道という積雪寒冷地における様々な技術を研究している『寒地土木研究所を訪ねたところ、災害時の避難施設についての話題になりました。
そこで「ちょうど昨年東北地方の道の駅をヒアリングした報告書がありますよ」ということで見せていただきました。
ここでは、津波被災時に道の駅がいかに地域の避難所として役に立ったか、ということがレポートされています。
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東北地方では被災直後の5月に宮城県と岩手県の道の駅15箇所を回り、11箇所で現地調査、ヒアリングを9箇所で行ったそうです。
東北地方には道の駅が139箇所あるのですが、このうち津波によって壊滅的な被害を受けたところは4箇所、また大きな損壊を免れ、避難者の受け入れや復旧支援など、地域のバックアップ施設として機能・貢献した道の駅は多数あったといいます。
道の駅のなかには、壊滅的な被害を受けながらも、被災後に仮説トイレや臨時の市場を作った例や、施設そのものが津波からの避難所として地域住民の命を救った例がありました。
また、壊滅的な被害を免れたところでは、周辺道路が遮断されてしまった際に、観光バスの乗客が数日間避難生活を送った例があり、この場合には物流機能が途絶えてしまい、一定期間、地元産直品以外のものが手に入らない状態になったのだそう。
また、普段から道の駅の産直販売でつながりのある周辺農家などからの炊き出し協力があったり、米や自家発電機、経由などの提供などがあったといいます。
たとえ防災拠点化されていなくても、被災時には多くの避難者が来る可能性があることと、平常時の地元関係者との協力や連携が重要であることが確認された、と結論付けています。
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こうした多くのヒアリングの結果として、積雪寒冷地における避難所のあり方として、以下の情報を得ることができました。
①まず災害時に有効とされたのは衛星電話が一番で、つぎに停電時にも使える、電気設備なしの貯水槽、十分な量の畳や毛布。
②冬季での避難時に暖を取り、明かりになり調理もでき、しかも燃料の調達も比較的可能な薪ストーブが見直された。
③畳などは普段使用していなかったものが湿気って使えなかった事例があったり、給茶機なども電気を使わない仕様のものが有効とされた。
④建物設計として電気照明によるトイレなどは、停電になると昼間でも暗くて使えなかった、といいます。
⑤また、北海道の厚岸の道の駅の事例として、建物内の無線LANポイントが被災者への情報提供に役立った。
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こうした被災状況の実態からわれわれは多くのことが学べますが、調査に当たった松田泰明さんは、「いざというときに避難しようという気になるのは、普段からそこに施設があることを知っていて、よく利用するからです」と言います。
施設に人気がある、というのはやはり見えない資産です。
ハードの備えだけではなく、売るものを地域から調達するなどの普段から地域と連携した運営がなされていることや、連携の力などがきわめて大切です。
経済性を求められる日常への一石と捉えることもできるかもしれませんね。
本文はこちら ↓
『道の駅の被災状況と地域貢献』
【寒地土木研究所月報2012年2月号】
http://bit.ly/ZAp24T