北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「あまちゃん」の成長と教育

2013-04-25 23:45:03 | Weblog

 今職場では、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」がミニブームになっています。

 物語の舞台となっているのは東北の架空の「北三陸市」で、ここの方言で驚いた時に「じぇ!」というということになっています。

 もっと驚いた時は「じぇじぇ!」、さらにもっと驚いた時は「じぇじぇじぇ!」というのですが、ドラマの中で頻繁に使われていて、つい日常でも「じぇ!」と言ってしまいそうになります。

 今年の流行語大賞には必ず入りそうですね。


   ◆   ◆   ◆


 このドラマの中で主人公の天野アキ(能年玲奈=のうねんれな)が目指しているのが海女。

 世界で最北の海女を「北の海女」として売り出そうとする地域の人たちと、海女として潜りながら、まだまともにウニ一個獲れないアキの姿に、皆応援する毎日です。

 さて、私の大好きな宮本常一さんの著書に「庶民の発見」という本がありますが、このなかに海女が出てきます。

 『村里の教育』という項の、『親の職業につながる遊び』というくくりの中で、猟師の子どもたちが釣りの動きを遊びの中で体得する様が描かれているのです。

 そして、「こうしたことは、どこまでも練習によって体得する以外に方法のないものであり、いわゆる呼吸をのみこまないかぎりどうすることもできないのである」とあります。

 続いて、「海女の潜水のごときもこれで、海女の村では女が七、八歳になると、まずおよぐことをおぼえ、つぎにもぐることをおぼえてゆく。そしてアワビの殻などを海中にしずめておいて、もぐってとってくることを繰り返して、だんだん深くもぐるすべを身に着けてゆくのである。そして親たちのもぐる深さのところまでもぐれるようになると、はじめて沖へつれていってもらう」と書かれています。(漢字変換などは原文のママ)

 ドラマの中では周りの先輩海女たちに見守られながら成長する姿が描かれていますが、昔の日本での村里の教育はもう少し厳しかったようです。


   ◆   ◆   ◆


 農村での教育の下りでは、「農家では、子供の仕事はまず荷物の運搬からはじまる。田畑で働いている父母のもとへ弁当やお茶をはこんだり、農具を持っていったり、収穫物をもってかえったりするような簡単なことから、草刈り・草とり・たきぎとり・麦踏み…などは、多く子どもの仕事とされていた。また家にあっては、ぞうり作り・なわない・米麦搗き・家畜の世話などがあり、女の子ならば籠りやすい時の手伝い」があったと書かれています。

 そのうえで、「こうした作業をするにあたって、気をつけねばならないことは、いやいやにしないことであった」とあります。

 「『所作(姿)のよさ』が何よりたいせつだったのである。『あの子可愛いや糸引くときの、赤いたすきの所作のよさ』などというかいがいしさが、人をひきつけるのである」と宮本常一さんは書かれています。


 ここには、昔の村里の教育ということで民俗学的視点からありのままが描かれていますが、おそらくこれは現代の我々への教育として考えても、そのまま当てはまるのではないでしょうか。

 与えられた役割をいやいやしてはいけない、などということを今日私たちはなかなか口にしなくなりました。

 こうした日常の中での社会性のトレーニングをどうすればよいでしょう。

 まずは自分自身からかいがいしく始めてみることと、世間一般の価値観を伝えてゆくことではないでしょうか。

 「あまちゃん」の主人公アキはこれからどう成長してゆくでしょう。

 ドラマに古典の知恵をちょいと加えると、いろいろなことが学べそうです。

 


 

コメント
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