ある企業の幹部の方が職場に来てくれました。
道内の様々なところで企業CSRに力を尽くされているAさんですが、最近外国人が多く集まるようになったニセコ周辺の、倶知安町を訪ねたのだそう。
「なにか面白いことはありましたか?」と訊ねると、「ええ、ニセコって外国人が多いとは思っていましたが、オーストラリアと中国からたくさん来ているのだろうと思っていたんです」
「ははあ、私もそう思いますけど」
「ところがちょっとしたアンケートを取ってみると、なんと25カ国もの人がいることが分かりました。そして案外ヨーロッパからの来訪者も多くて意外でしたよ」
「へえ、思い込みって駄目ですね」
「そうなんです。そして、あれだけ国際化が進んでいると、国際語としての英語が随分使われているだろうな、と思ったのですが、それならば、社員研修の一環として、ニセコ周辺へ一定期間派遣して英語でのコミュニケーション能力向上を図る、なんてのが面白いかな、と思っているんです」
「なるほど、わざわざ外国まで行かなくても良くて、それでいてコミュニケーションスキルとしての英語が身に着くというわけですか。外国語特区に近いかもしれませんね」
「はい、わざわざ社員に外国語教育の投資をするくらいなら、道内でのちょっとした派遣で、案外身につくかもしれませんよ」
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「ただ心配なのは、外国人による土地買収ですね」
「ほほう、かなり買われたのですか」
「ええ。思いのほか香港資本が入ってきていると聞きましたが、かなりの面積が買われてしまっているようで、これからまちづくりを進めようとするときになにか障害にならないかが心配ですね」
「なるほど、まさかこれほど買われてしまうとも思わなかったでしょうから、事実上規制が及ばないうちに事態が進んでしまったようですね」
「土地だけではなくて、香港資本は日本の介護事業にも参入してきているようですしね」
「へえ、本当ですか」
「はい、彼らはそこにビジネスチャンスを見出しているのでしょうね。いやしっかりしているというか、アンテナが高いというか、たいしたものです」
ここしばらくニセコなどは行っていませんでしたが、まちづくりの行く末を見る中で、外国人の交流人口による振興を図ろうとしたマチの現状は面白そうなテーマです。
そのうえで、こうした変化をただ疎ましく思うのではなく、変化に対してビジネスチャンスを見出すしたたかさも欲しいところです。
変化を恐れて、ただ昔を懐かしむのではなく、変化を単なる事象と捕えて、「何かが変化するときにはビジネスが生まれる」という嗅覚があるかどうか。
北海道はのんびりしていてそこが弱い、と言われそうですが、改めて「変化はビジネスチャンス」を合言葉に、目を見開いて現実を見てみたいものです。
ニセコなら今年はまだ春スキーも楽しめそうですしね。