今日は都市計画学会北海道支部の幹事会があり、今年のこれからの事業について確認と意見交換をしました。
その中で、セミナーを担当する私の方から今年のセミナーテーマを「鉄道遺産とまちづくり」という方向でやりたい、という提案をしました。
JRの廃線問題というと、賛成・反対があり地元にとっては結構センシティブな問題ですが、結果的に廃線で鉄道がなくなったとした時に、その跡地や駅舎、レールなどの鉄道資産、鉄道遺産をまちづくりに生かしている事例を学びながら、今後訪れるである、鉄道がかつてあった地域のまちづくりを考えてはどうか、という内容です。
幹事会では特に異論はなく、逆に、「それなら鉄道をクラウドファンディングで残そうという活動をしている方がいる」といった提案もありました。
しかしまた、鉄道を残す努力ではなく、鉄道は残っていない地域でのまちづくり活動こそが有効ではないか、という声もあり、後者の方向で人選や議論テーマの選定をすることに。
具体的な事例では、留萌本線の旧増毛駅。ここは2016年12月に、留萌~増毛間が廃止になって、それ以降列車が来ないのですが、増毛町ではこの駅を改修・復元して地域づくりの核として活用を始めました。
次に、鉄道レールを残してそのまま残しているのは、旧国鉄美幸線の旧仁宇布駅で、ここでは平成10年から、エンジンで昔の鉄道レールそのものの上を走るトロッコ列車が雪のない期間限定で運行されています。
自動車運転免許があれば、自分で運転もできて、そんなことができるのは全国でもここだけで、シーズンは家族連れでにぎわっています。
更に、もうレールはありませんが、十勝の旧国鉄士幌線を通行させるために建設されたアーチ橋梁群は北海道遺産にも認定され、代表的なタウシュベツ川橋梁は、糠平湖の水位が下がっているときだけみられる幻の橋としてガイド観光ツアーの目玉にもなっています。
こうした鉄道遺産は、ただ残っているものの活用、ということが注目されがちですが、実は自治体とJRとのやり取りの中で、自治体が移管を受けるというようなことがあるとすると、移管を機に台帳や図面などの資料が行方不明になるという事があったり、逆にそれらも移管されて保存され後世に伝えられるという事もあるのだとか。
単に鉄道が残る、残らない、残せ、残せない、という意見のやり取りを簡単に捉えずに、地域の財産として残し伝えるということの意味も併せて考えたいものです。
まだ日程や講演者・パネリストなどの人選は決まっていませんが、セミナー開催に当たっては、多くの鉄道ファンも来ていただけるよう期待しています。