政府は12月11日に災害に強い国土形成を目指して、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を閣議決定しました。
災害対策の計画は、相次いで発生した水害・台風被害・胆振東部地震などを受けて3年前から「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が実施されていたのですが、これがこの令和2年度で終了することを受けて、「これで終わらせてはだめですよ」という声に応えてくれたものです。
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今回の「5か年計画」では、やるべき対策の中に、道路舗装がしっかりと言葉で表現されたことが心強いところです。
具体的には「道路施設の老朽化対策」という項目が挙げられているのですが、このなかで「修繕が必要な道路施設(橋梁・トンネル・道路付属物・舗装等)の対策を集中的に実施し、予防保全型の道路メンテナンスへ早期に移行する」と書かれています。
「予防保全型の道路メンテナンス」とは、壊れてから治すのではなく、壊れてしまう前に修繕した方が結局は安く済むという考え方のこと。
これって、かつて道路予算がある程度確保できていたときはこれをやっていました。
舗装の寿命は大体10年なので、その時期が近づいたら一見なんともないようでも薄く剥がして舗装を打ち換える。それで道路舗装は健全に保たれていたのです。
予算削減の流れの中でそれができなくなって、直したくても直せない状態になりましたが、ぜひこの考え方を貫いてほしいものです。
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もう一つ灌漑深いことは、5年後の令和7年度の目標として、「防災上重要な道路において、【路盤が損傷】しているすべての区間について修繕をおおむね完了」と書かれていることです。
"路盤"という専門用語は聞きなれないかもしれません。
道路は一般に、アスファルト舗装で覆われていてそのアスファルトがひび割れたり穴が開いたりしていることを「道路が傷んでいる」と言います。
アスファルト舗装の下には、砂利を敷き均して転圧した「路盤」という部分があってこれが真に車の重さを支えているのです。
そして一番表層のアスファルトの傷みが下層の路盤にまで及んでいると、最も上部のアスファルトだけを修繕してもまたすぐに傷んでしまうものなのです。
【北海道舗装事業協会ホームページより】
さて今回の「路盤が損傷している」という表現になったことをどう解釈するべきか。
「路盤が損傷しているところを優先」が、「路盤が損傷していないところは後回しだよ」ということならば困りますが、表層の傷みを放っておくと、それは路盤の損傷に繋がる前段階なので、やはり早期の修繕だ、という考えに繋がるのなら歓迎です。
今回の「5か年計画」を着実に実行して、北海道の舗装が少しでも良くなることを期待したいものです。