北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

情報源の世代間ギャップ

2009-11-12 22:57:31 | Weblog
 最近の朝日新聞系列はときどき、ええ?朝日が?と思わせるような記事を提供してくれます。

 ネットではよく語られている話題ですが、固定電話による各種調査はそもそも対象が全体を代表していないのではないか、という問題です。

 日中に固定電話に出られる人たちというのは、どうしても高齢者やテレビ・新聞接触率が高い層の構成比が高くなり、そういう層は、ネットの世界に触れていない率が高く、若者やネットユーザーの声を代表していないのではないか、というのです。

 情報源の世代間ギャップが拡大しつつあるようです。

---------- 【ここから引用】 ----------
【ネット】鳩山内閣の高支持率の背景に、拡大する「情報源の世代間ギャップ」 
                          2009年11月10日 筆者 萩原雅之
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY200911050306.html





 鳩山内閣発足を受けた新聞社・テレビ局の世論調査では、内閣支持率が軒並み70%を超えた。小泉内閣に次ぐ「歴代2位」という見出しがあふれ、その報道をみて多くの国民や政治家も圧倒的な期待と支持があるように感じたことだろう。

 一方、前回(2009年8月号)のコラムでもとりあげたニコニコ動画上で実施されたアンケートでは、支持25%、不支持36%と、全く異なる結果になっている。

 新内閣が発足した翌日夜11時にすべての動画をストップして回答協力を要請するという方法で、約3分間に約6万人が回答した。マスメディアで結果が報道されることはなかったが、ブログやツイッターなどで一気に広がった。特徴的だったのは支持・不支持について「どちらともいえない」が約4割を占めたことだ。新聞・テレビの熱狂的な報道の中で冷静な対応をみせるネットユーザーの姿が浮かぶ。9割が支持・不支持の態度を明確にしている大手メディアの世論調査の方がむしろ不自然に思えてくる。

 この調査で注目されたのは、「政治に関する情報をどの媒体から多く入手しているか」という設問への回答別支持状況に無視できない違いがあるという分析だ。結果は次の通り。

・「新聞報道」から入手

 →支持37%〉不支持25%

・「TV報道」から入手

 →支持38%〉不支持14%

・「インターネット」から入手

 →支持14%〈不支持56%

 深夜にニコニコ動画を見ているようなネットユーザーでも、政治に関する情報源として新聞・テレビの報道を主にする人と、ネットを主にする人になぜこれほどの大きな違いが出るのかを考えることは価値があろう。

 例えば内閣発足の翌日、ブログ論壇では、鳩山首相が以前から、政権をとったら首相記者会見をフリージャーナリストやネットメディアにも開放すると言っていた約束が実現されなかったことに対して、「最初の公約破り」であるとの批判があふれた。私も当日、ツイッターで「民主党」のリアルタイム検索を行ったが、膨大なエントリーがこの問題に言及していた。個別の閣僚に関しても、期待も失望も、絶賛も酷評も、ごった煮のように流通していた。

 ネットの政治情報も新聞記事が元になっているケースは多い。同時に、ネットでは新聞などの報道内容に対する他人の反応も判断材料になる。それはアルファブロガーとよばれるネット論壇の著名人たちの投稿だったり、ミクシィやツイッターに流れる友人の日記だったりする。ネットのコミュニケーション空間では、新聞やテレビの情報をそのまま信じるのではなく、批判的にみるというフレームが自然に形成されており、それが態度保留という反応をもたらしているのではないだろうか。

 多くの新聞愛読者は購読している1紙しか読まないだろうし、そこに書いてあることが本当と思っている人は多い。新聞は信頼性の高いメディアであるとよくいわれるが、それが批評的に読む力を削いでいるとしたら皮肉である。

 テレビ報道もまた時代の主流に沿った情緒的なムードを増幅する機能がある。読売新聞の継続的な研究では、テレビ視聴時間が長い人ほど、郵政民営化を争点に自民党が大勝した前回の総選挙では自民を支持し、政権交代が争点の今回の総選挙では民主を支持する傾向がみられたそうだ。

◆若年層と高齢層との情報ギャップの顕在化

 情報源の変化についてはさまざまな調査で検証されている。カタカナ言葉の浸透や慣用句の意味の取り違いなどを毎年調査している文化庁「国語に関する世論調査」では、メディアの影響も継続的に測定している。9月に発表された最新の調査レポートでは、「毎日の生活に必要な情報を何から得ているか」という設問について、01年と08年のデータが比較されていた。掲載した図は、01年と08年の比較を年齢別にみたもので、ネットが上昇するのは当然としても、新聞の減少ボリュームがネットの増加分のボリュームと同じくらい大きい。若年層ではその変動がより大きいため、結果的に01年時点よりも情報源に関する世代間ギャップが拡大している。

 新聞記者出身のジャーナリスト佐々木俊尚氏は近著『2011年 新聞・テレビ消滅』(文春新書)のなかで、新聞の抱える問題を「どんどん読者が高齢化し、紙面もそれにあわせて高齢者向けになり、それがさらに若い読者の離反を招くという縮小再生産のスパイラル」と指摘した。文化庁の調査結果をみても、新聞読者は急速に高齢化しているのが現実だろう。若年層は新聞に何が書かれているかわからず、高齢層はネットで何が議論になっているかがわからないというケースが、今後さらに顕在化するだろう。

 電話世論調査(RDD調査)という手法はどうしても高齢者やテレビ・新聞接触率が高い層の構成比が高くなる。鳩山内閣の高支持率は、情報を批評的に読めるネット上のリテラシーの高いグループを把握できていないためではないだろうか。ネットアンケートに表れたような、民主党政権に対して厳しくチェックする人たちの動向も継続的に把握していくべきだろう。(「ジャーナリズム」09年11月号掲載)

   ◇

萩原雅之(はぎはら・まさし)

トランスコスモス株式会社エグゼクティブリサーチャー。

1961年宮崎県生まれ。84年東京大学教育学部卒。日経リサーチなどを経て、99年から約10年間ネットレイティングス代表取締役社長を務める。2009年8月より現職。

・「ジャーナリズム」最新号の目次はこちら
http://www.asahi.com/shimbun/jschool/report/new.html

---------- 【引用ここまで】 ----------

 今日、ネットが嫌いという人は、パソコンを買ったりネットとの契約がよく分からなかったり、ウィルスや詐欺などのデメリットなどのハードルを越えてまでそんな世界に行きたくない、という方が多いのでは。

 そんなネットの向こう側の世界を知らないことで、いろいろ損をしているどころか、情報源が限られると情報の質が偏ってしまうために判断を間違えていることさえあるのです。

 釣りが出来る人は、海や川からいろいろな魚を手に入れて楽しむことが出来ますが、それが出来ない人は魚屋さんで売っている魚を買うしかないということです。

 釣りができれば、どこにどんな魚がいるか分かる眼力も育ちますが、できなければそうした眼力も育ちません。

 現代の変化について行くのは大変ですが、これもまた生涯学習の実践です。
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ネットは公共インフラ ~ 情報は動画へ

2009-11-11 22:20:05 | Weblog


 最近地下鉄丸ノ内線に乗ろうと駅で待っていると、いくつかの駅で線路の向こう側の壁に大きな液晶モニターが掛けられていて動画が放映されています。

 しかもその動画の音声が乗降の場所にいると聞こえてきます。よく見るとちょうど電車のドアの位置の天井にはスピーカーが取りつけられていて動画の音声が流れてくるのです。

 最近の新しい車両にはドアの上にモニターがあって、そこからコマーシャルが流れてくるのは見かけましたが、ついに駅でも動画コマーシャルをするようになったのか、というのが驚きでした。

 東京メトロのホームページを見てみると、この10月1日から丸ノ内線の6つの駅で「M Starion Vision(丸の内ステーションビジョン)」という映像広告が始まったのだそうです。


 

 http://www.metro-ad.co.jp/news/2009/09/000108.php


 
 コマーシャルなど伝えたい情報は動画化がどんどん進んでいます。そしてそれを支えるのは光ファイバーなどの情報通信網。

 無駄とも思える大量の情報が都会には流れ続けています。

    ※    ※    ※    ※

 掛川で市長から「こままさ君、過疎になると言うことは6つの『通』が無くなって行くと言うことなんだよ」と言われたのを思い出しました。

「6つの『通』とは何ですか?」
「それは、通学、通勤、通院、通商、通婚、通信という『通』が着く六つの単語ですよ。過疎になると、学校が無くなり、職場が無くなり、病院が無くなり、買い物をするところが無くなり、お嫁さんが来なくなり、情報が入らなくなるんだよ」

 学校や病院は生徒や人口が少なくなると支えきれなくなって統合されるというのは分かりますが、最後の頼みの綱である通信すら過疎の土地では整備がされないのです。

 公共インフラの代名詞である道路と同じように、光ファイバー網くらい、少しの地元負担で各戸に整備されるという時代になぜならないのでしょうか。

 地方の工業団地でも、光ファイバーがこなければ工場誘致もままならない時代になっています。

 時代が求める公共インフラの姿は急速に変化しています。 
    
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市橋容疑者逮捕の報せ

2009-11-10 21:10:28 | Weblog
 顔を整形してまで逃亡を続け、世間を騒がせていた市橋容疑者が逮捕された、というニュースが飛び込んできました。

 ついに関係者の念願が叶いました。

---------- 【ここから引用】 ----------
市橋容疑者、大阪府警が死体遺棄容疑で逮捕  YOMIURI ONLINE
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091110-OYT1T00971.htm

 千葉県市川市で2007年3月、英会話学校講師の英国人女性リンゼイ・アン・ホーカーさん(当時22歳)の遺体が見つかった事件で、大阪府警は死体遺棄容疑で指名手配されていた市橋達也容疑者(30)を10日夜、大阪市住之江区の大阪・南港で身柄を確保、同容疑で逮捕した。

 府警によると、「市橋容疑者に似た男がいる」との110番を受け、午後7時頃、捜査員が南港のフェリー乗り場に駆けつけたところ、市橋容疑者とみられる男を発見した。男は捜査員に対し、「市橋です」と話し、自分が容疑者本人だと認めているという。

 ホーカーさん(当時22歳)は3月26日、市橋容疑者の自宅マンションのベランダで死んでいるのが見つかった。市橋容疑者は遺体発見の直前、職務質問中に逃走した。千葉県警は市橋容疑者を死体遺棄容疑で指名手配し、警察庁の公費懸賞金制度の対象となった。市橋容疑者は逃走中、大阪、名古屋、福岡などを転々として顔を整形していたことが明らかになっている。

(2009年11月10日20時36分 読売新聞)

---------- 【引用ここまで】 ----------

 ついに市橋容疑者が大阪のフェリー乗り場で逮捕されたというニュースが飛び込みました。

 一時は「生きてはいないのではないか」などという考えも浮かびましたが、テレビの中である警察関係者が「市橋容疑者は生への執着がある。ああいう奴は絶対に自殺などしない。逃げられるだけ逃げまくるものだ」と言っていたのが印象的でした。

 別の刑事さんも「あいつが夢に出るんだよね…」と言っていました。この逮捕でさぞ溜飲を下げることでしょう。

 昔「逃亡者」というアメリカのテレビドラマがありました。妻殺しの濡れ衣を着せられた主人公リチャード・キンブル(デビッド・ジャンセン)が真犯人と思われる片腕の男を捜しながら、ジェラード警部の追跡から逃げまくるというドラマです。

 幼い時に飛び飛びにしか観ませんでしたし、最後がどうなったのかは全く覚えていないのですが、なんだか暗い雰囲気が印象的でした。

 ドラマと違って現実は、整形したことが分かってからの捜査の進展が早く、科学捜査とマスコミの良い面が現れて逮捕に至りました。早く事件の全容解明が期待されます。



 
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家電芸人の影響

2009-11-09 23:36:20 | Weblog
 最近のテレビはお笑い一つ取っても、かつてのドリフターズやコント55号などのように事前に制作側がきっちりと作り込むようなものがほとんどなくなりました。
 
 それだけ制作にお金を掛けられないという事情もあるのでしょうが、かわりに一般化してきているのが、芸能人を数多く並べて一人一人に面白い話しをさせて時間を稼ぐというスタイル。

 ひな壇のように並べられるところからこうした芸人さんたちを「ひな壇芸人」とくくる言い方もありますが、芸人一人一人の才能と話術が如実に表れます。

 お笑いでも作り込んだ漫才を見せるよりは、こういう集団の中で指名をされて面白い話しをするというのがひとつの才能なのでしょう。

 ところでこうしたひな壇芸人さんたちを集めて、さらにどんなテーマで話しをさせるか、という企画すら芸人たちにやってもらって受けているのが「雨上がり決死隊」が司会を務める「アメトーク!!」という番組。

 この中で今ホットに受けているのが「家電芸人」というジャンル。これは家電製品には大いにこだわりがある、という芸人さん達を集めて存分に家電の話題で盛り上がるというもので、元々はペナルティのヒデの企画。

 これに賛同して集まるっているのが品川庄司の品川、チュートリアルの徳井、土田晃之、劇団一人などの面々。

 彼らの家電に関するこだわりトークは大いに笑えるのですが、実はこれがまた意外な宣伝効果を呼んでいるのだという面白い記事がありました。
 

---------- 【ここから引用】 ----------
“家電芸人”頼みで消費者の反響アップ!~カカクコム調べ
 http://digitallife.jp.msn.com/article/article.aspx/articleid=472900/

 カカクコムは、同社購買支援サイト「価格.com」のアクセスデータから家電芸人のパフォーマンスによるページビュー(PV)の変化について調査結果を発表。家電芸人がテレビやラジオなどで紹介した家電製品のPV数は増加するが、製品の取り上げ方と情報の新鮮さによってその反響が左右されることがわかった。

 同調査は、月間約2,000万人が利用する同サイトのアクセスデータや価格情報などを集計・分析したもの。これによると、テレビ番組「雨上がり決死隊のトーク番組 アメトーーク」(テレビ朝日/毎週木曜放送)で10月8日に「アメトーーク!秋のイケてる家電芸人 エガポイント還元SP」コーナーが放映されると、紹介された家電製品に関する同サイトのPVが増加したという。なお、家電芸人とは、家電に詳しいお笑い芸人をいう。同番組で自分のお気に入りの商品を紹介する企画コーナーから生まれた。

 家電芸人がそれぞれお薦めの家電製品を紹介していくなか、特に同サイトのPVに影響を与えたのはヤマハ製のホームシアターシステム「YSP」シリーズ。同サイトの「ホームシアター スピーカーカテゴリのメーカー別PV数推移」によると、ヤマハに関するPVのみが同放映時期に急激に伸びた。これは同放映でお笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実氏が、同シリーズについて約4分にわたり猛烈プッシュしていた影響であると同サイトでは推測している。

 (以下略)

---------- 【引用ここまで】 ----------

 冒頭でも述べたように、もはやテレビ番組は数多く芸人を集めて数打ちゃ当たるようにしゃべらせておき、あとから面白いところを編集で切り取る、というやり方がすっかり定着しました。

 クイズ番組もある種そういうところがありますが、バラエティ番組ともなるともうそんなのばっかり。

 それでもこうして番組の中で触れた商品に検索が集まるというのですから、まだまだテレビの影響力は馬鹿に出来ません。

 それだけ影響があるのだから、しっかりした番組作りもしてもらいたいと思う人も多いのですが。

 ネットを利用しながらテレビを見られる人たちならば、どのテレビ局が何を強調してその一方で何には触れようとしないのか、ということが分かりますし、そういう情報にも触れられます。

 しかし、新聞とテレビだけがメディアだと信じていたり、ネットが苦手、という人たちには何が隠されているのかがなかなか分かりづらいのだと思います。

    ※    ※    ※    ※

 美味しい食事を提供することを、食材を求めて野山を走り回ることから「ご馳走」と言います。

 美味しい食材を求めるのと同じくらい、上質の情報を得るためには走り回ることが大切。

 人気芸人のオススメがヒットするというのは、所詮情報なんてそんな風にしか伝わらないという一つの現実を表しているようでもあります。 


【参考:オリジナル記事はこちら】

 http://kakaku.com/trendnews/weekly/articles/0911/144.html



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凸型文化と凹型文化

2009-11-08 20:41:54 | Weblog
 日本人は「悪いと思ったら素直に謝りなさい!」と教育を受けます。しかし、自己主張をしてナンボの世界ではそういう自己抑制的なマインドは、しばしば相手をつけあがらせることにも繋がります。

 「凸型文化」と「凹型文化」というのを聞いたことがありますか?


---------- 【ここから引用】 ----------
【正論】東京工業大学名誉教授・芳賀綏 自己を見失った「期待過剰」外交 2009.11.5 03:07
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091105/plc0911050310001-n1.htm





 ≪世界の鏡に映した日本人≫

 オバマ米大統領訪日は現下日本の外交姿勢を矯正する好機になるのだろうか。

 この数旬(すうじゅん)、日本の首脳外交に殊に目立ったのは近隣への期待過剰、「甘え」である。重量感なき一句「東シナ海を友愛の海に」などは同盟国の不信にも増して大陸隣邦の軽侮(けいぶ)を買ったろうが、「アジア」の美名に惹(ひ)かれた幻の一体感・安心感は他愛もない。迷妄(めいもう)を脱して出直すのがよい。

 一般国民にもまだ「アジアの一員」で片づける大まかな自己認識があるが、最も近い日韓でさえ「性格の違う双生児」と評される。生理的共通性よりも国土に根ざした民族性の差が大きいのだ。文物は朝鮮海峡を渡って伝わったが“性分”は伝来しなかった。

 そこで、一層目を広げて地球規模で、国際情勢などを超えて超長期的な文化圏のあり方を知り、その中の日本の位置づけ、つまり〈世界の鏡に映した自己〉を見る観点の一つを以下に書く。

 地球物理学者、寺田寅彦の言をかえりみると、大陸と隔絶した日本列島は、気候学・地形学・生物学的に、全地球上にもユニークな位置を占めている。日本人特有の感覚(センス)や生活様式・生活感情がそこに育(はぐく)まれた。

 日本民族は、四季おりおりのキメ細かく美しい風景を持つ細長い国土に定着し、太古から稲作農耕を生業として長らく畜産・肉食を知らず、南アジアにも似通う“植物性”の文化に生きた。わが民族性の原型・核心はそこに深い根をおろし、変化していない。

 ≪攻撃性文化の「凸型」世界≫

 「万物に神宿る」アニミズムで人と自然が合一し「風雅」の境を尊ぶ日本では、人と人も和合して角を立てず、淡泊・素直で繊細、受容的な意識傾向が形成され、世界屈指の優しく穏やかな空間が生じた。数学者、岡潔の言う「情」の世界である。

 このような“心の形”の総体を筆者は〈凹(おう)型文化〉と名づけ、日本人らしさを解明した拙著では、異質の〈凸(とつ)型文化〉に対置した。

 凸型文化圏は広大で濃淡の内部差を含むが、朝鮮半島・中国、内陸アジアや中東からヨーロッパに及ぶユーラシア大陸の大部分が含まれる。その延長に北中南米や大洋州の白人社会もある。

 凸型文化の本質は日本の裏返しで、人間は自然に対して突出し、人と人も対立してせめぎ合う。愛憎激しく、執念深い自己主張の衝突する苛烈(かれつ)・峻烈(しゅんれつ)な、日本人には息苦しい空間だ。情ではなく「意」の世界である。

 そこには「山は青く水は清き」日本と大きく異なる風土的背景がある。大陸型のキメの粗い自然、荒涼たる砂漠や大草原を含む壮大だが単調・索漠の大地に、牛馬、トナカイ、羊やラクダなどの家畜の群れを人間の強烈な意志で駆使する“動物性”空間だ。畜産や遊牧、肉食(特に内臓食)の長い伝統を持つ社会は、人間が自然を征服するほか人間を征服・支配するのも当然とする文化を生んだ。

 異国・異民族・異教徒はすべて敵対者と見る性悪説で、迫害や侵略のくり返し、言語による説得や威嚇(いかく)、手練手管の交渉技術がユーラシアを中心に発達した。心を許さぬ不信と謀略の世界、すさまじい外交ドラマの舞台は、心理力学の苦手な日本と違うしたたかな世界である。日本は江戸末期まで白人国家の脅威も中華大帝国の支配も受けず内向きに過ごし、本格的外交は不在で済んでいた。この重い歴史のハンディを明治の先達は懸命に克服したが、むしろ近年またこの落差が目立ってきた。

 ≪「不寛容」の相手に対処を≫

 対比した凹型圏と凸型圏の別はアジア対欧米の区分とは全く食い違う。人種や国家体制とも別次元、アジア一体視とは矛盾する。

 先進国は日本以外すべて凸型で、新興国も総じて凸型圏にある。つまり日本が外交の相手にする主要な国は凸型ばかりだ。「情」の日本が多様な「意」の国々を相手にする-という構図を改めて確認する必要がある。

 優しい日本の交渉相手は「不寛容」な民族たちで、同盟国とて例外ではない。期待過剰を戒めた故中村菊男博士は「相手も自分と同じように思うだろう」と考えるのが日本人だと言われた。その鎖国的凹型思考を克服せずには不寛容の相手に太刀打ちできない。語学技能だけでは駄目、「先方のイヤがることはしない」「謝り続けよう」…で情にほだされてくれる相手ではない。「東シナ海=友愛の海」とくれば、領海や領土を支配されても“寛容”に受容するサインと曲解されそうだ。

 貴重な情の文化は、文化交流・現地支援や個人間の交流などが重なって異文化の国にも広く理解されつつある。日本のよさに自信をもって諸民族に示す自然の振る舞いを続けたい。一方、外政の責任者は、国家の威信と利益を代表して命運を左右する緊張感と自覚をもって外に対さねばならぬ。一般国民も繊細さの上に凛乎(りんこ)たる姿勢を併せ持ち、指導層が覚悟を欠くならその“外柔内柔”を叱りうる国民に成長すべきだ。(はが やすし)


---------- 【引用ここまで】 ----------

 論文のテーマはともかくとして、

> 「万物に神宿る」アニミズムで人と自然が合一し「風雅」の境を尊ぶ日本では、
>人と人も和合して角を立てず、淡泊・素直で繊細、受容的な意識傾向が形成さ
>れ、世界屈指の優しく穏やかな空間が生じた。数学者、岡潔の言う「情」の世界
>である。

> このような“心の形”の総体を筆者は〈凹(おう)型文化〉と名づけ、日本人らしさ
>を解明した拙著では、異質の〈凸(とつ)型文化〉に対置した。

 という中にある、我が国の文化スタイルを「受容を基本とする『凹型文化』」と名付け、そうした凹型文化が世界の中で対峙する「先進国は日本以外すべて凸型で、新興国も総じて凸型圏にある。つまり日本が外交の相手にする主要な国は凸型ばかりだ。」というのは実に面白い視点です。

 海外旅行のときなど、トラブルがあった時に外国ではこちらからまず謝っては行けない、などと脅かされますが、それは日本以外は基本的に凸型文化で、まず自分の正当性を主張することを当然と思っているからなのでしょう。

 外国では謝るな、という言い方よりも、日本と外国では凹凸のように文化様式が異なるんだと言われると、理解がぐっと深まります。

 
 しかし多分、そうした凹型文化は凸型によってぐいぐいと押し込まれやすいけれど、どこまでも押し込まれた時に爆発するときは、相当な覚悟で反発をするのではないかと思います。

 「貴公は少々調子に乗りすぎたでござる」と刀を抜くのが侍の覚悟。

 別にケンカや戦争でなくても、ピンチに追い込まれた時に覚悟を決めるサムライ精神はまだ日本に残っているでしょうか。
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ガイドツアーの醍醐味

2009-11-07 23:59:49 | Weblog
 高校の同窓会で呑んだ時に自転車都内巡りの話しをしたところ、友人達から「それじゃ自転車ツアーのガイドをやってよ」と言われてしまったのはもう半年も前のこと。
 それならやりますか、と高校の同窓生7名が集まって今日に予定した自転車ツアーに行ってきました。

 今日は本当に天気が最高で、この季節としては暖かい一日。文京区は春日の貸し自転車場で電動自転車を借りて都内を巡ってきました。

 神田やぶそばで牡蛎そばを食べたり、料理道具で有名なカッパ橋商店街では食品サンプルを眺め、谷中銀座でちょんまげいもを食べたりと、まあ谷中・根津を中心に自転車ぶらり旅のポタリング。





 あらかじめ大まかなルートは決めておいたものの、後は行き当たりばったりで特に制限のない旅です。

 東京は奥が深いなあ、と思うのは、もうかなり都内を巡ったつもりでもまだまだ知らなかったことが分かること。

 谷中の「ちょんまげいも」なんて全然知らなかったし、上野の寛永寺に行ってみると、篤姫さんのお墓がここにあると分かりました。湯島天神ではこの時期菊花展の真っ最中。



 ちょっとした地域の名物や、歴史上の有名人のお墓を探して歩くだけでも、まだ知らないことが多いし、ある季節しか見られない風物も多いものです。

 私は神社をテーマにずっとあちらこちらを巡ってきましたが、やはりある程度テーマを絞るかエリアを絞らないと目が肥えてこないようです。漫然と見て歩くだけではやっぱりだめなんだな、とも思いました。

    ※    ※    ※    ※

 まあ旅も深く考えると難しいものですが、なんとかガイドツアーは成功。

 いつも掛川のスローサイクリングでガイドをしてもらってばかりいましたが、改めてガイドツアーの醍醐味に触れました。

 ガイドするって結構たいへんね。実は上等なスキルなんです。
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環状7号線地下調整池

2009-11-06 23:12:42 | Weblog
 環状7号線の地下に整備されている地下調節池を見学してきました。

 東京の河川は、流域の都市化が進んだことで降った雨が地下に浸透するまもなく舗装された地表面を流れやすくなっています。そのため降った雨がすぐに河川に流れ込み、流量が増えることで河川氾濫を起こしやすくなっているというわけ。

 そのため特に神田川とそれに注ぐ善福寺川は氾濫しやすい河川となり、都市化が進んだ昭和50年以降はほぼ2年に一度は水害が発生していました。

 そのため、これら善福寺川と神田川の水を、環状7号線の地下に水路を造ってバイパスで直接東京湾に流し込もうという洪水対策バイパス構想がつくられて昭和60年以降、営々と工事が進められてきたのでした。

 現在は海への途中までの直径12.5mの地下トンネルが4.5kmほどできあがっていて、神田川、善福寺川、妙正寺川の三つの河川から取水出来るようになっています。

 トンネルそのものは、海までは繋がっていないものの、そこまで出来ているのだからこれを利用することにしました。つまり、豪雨によってこれ以上川の水を流すと下流が氾濫すると判断される時に、途中でこの地下トンネルに川の水を流し込んで水位が上がるのを防ぐというわけです。

 あまりに大きいトンネルなので懐中電灯の光だけでは上手に写真が撮れないくらいです。



 
 ここまでの総事業費は約1000億円だそうですが、一回の洪水の被害は約150億円に及ぶということですので、今後数回の洪水を未然に防ぐだけで投資の元は取れそうです。

 ちなみにこの地下トンネルについては、海までつながなくても地下調節池として使うだけで効果が十分なので、海までつなぐという元々の計画はこれ以上進める計画にはなっていないのだとか。それもまた柔軟な対応です。

 担当の職員は、洪水注意報が発令された段階でこの施設に集合して、ゲートを管理しているのだとか。だいたい年間三十数回は来ることになるとのことで、冬を除けばほぼ週に一度は集合がかかるそう。

 我々が枕を高くして寝られるために、人知れず支えてくれている人がいるということ。

 これもまた「公共」なり、ですね。


 ちなみに壁に描かれている円は地下のトンネルと同じ大きさです。建物なら4階相当ですから、大きいはずです。 




【参考】
 http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/04/20h4j100.htm
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麻婆ナスは美味しいなあ

2009-11-05 23:53:58 | Weblog
 日光の蕎麦イベントでは野菜天ぷらを揚げまくった私。7時間にわたって菜箸を握り続けたため、まだ右手の親指がしびれています。

 野菜とそばつゆが結構余ったので、ナスとつゆはもらってきました。

 ナスも新鮮なうちにいただこうと、今日は得意の麻婆ナスです。

 こういうときのナスをおいしくするにはやはり油通し。まずは皮を島状にむいておきましょう。

 次に、本当はコーンスターチが良いらしいけれど、今日は代用の小麦粉をまぶして、170℃の油で約3分間くらい揚げます。外はカリッで中はフワ~なナスができました。これを取りだして油を切っておきます。








 次に同じ中華鍋で挽肉、しょうが、ニンニクを炒め、豆板醤と甜麺醤で味をつけ、肉に火が通ったと思ったところで先ほどのナスと中華スープを80ccくらい入れます。




 醤油と砂糖とお酒を少々、さらに中国山椒の花椒(オワジャオ)で味を調えて、水溶き片栗粉を絡めると最後にごま油をちょいとたらして出来上がり。




 中華料理の醍醐味は「マー ma」「ラー la」「タン tang」の三つで、「マー」は「舌がしびれる=花椒」、「ラー」は「辛い=ラー油、豆板醤の辛み」、「タン」は「熱い」ということなんだそう。

 私は「ラー」よりも「マー」の方が好み。いずれにしても中華料理は熱いうちに食べるのが最高。

 盛りつけ方がイマイチですが、今日も美味しくできました! 星三つです! 

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日本の職場風土は素敵

2009-11-04 23:40:57 | Weblog
 日本文化は海外でも「クール(Cool)!」だといって人気ですが、伝統芸能やアニメ、アキバ系などのサブカルチャーだけが好まれているわけでもないようです。

 台湾の女性が日本の職場マナーが素敵だ、と言っていましたよ。


---------- 【ここから引用】 ----------
【台湾ブログ】連帯責任、上司の指示…日本の職場マナーは素敵! 2009/11/04(水) 15:24
 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1104&f=national_1104_022.shtml





  日本好きが高じて移住を決めた、台湾人女性ブロガー・千秋女王。無事就職も決まりOL生活を楽しんでいるが、台湾の職場事情との違いを肌で感じ、その思いをブログに書きつづっている。

  日本のアイドルに夢中になり、コンサートを見るために旅行を計画。旅行歴を重ねるうちに“日本に住みたい”と思うようになり、実行した千秋女王。台湾でのキャリアと日本語力をかわれ、日本企業で奮闘する日々だという。

  「台湾と日本の職場マナーは大違い! まず感動したのは、【職場でやることがなければ、自分で探せ】という精神。日本では、自分の仕事が終わると別の仕事を見つけるのが当たり前。何もない時は、他の部署を手伝うことも。仕事中にプライベートの用件を済ますのは、絶対にNG! 給料泥棒って言われちゃう」と述べ、「台湾のサラリーマンは任された仕事が終わると、おしゃべりするかティータイムを楽しむなどのんびりムード。

 日本では、そういったリラックスした雰囲気は見られない」と苦言。「仕事熱心な日本の風習が私は好き。日本人上司の下で働いている友人たちに聞いても、みんな同じ。自分のやるべき仕事が終わると他の仕事を探す、と言っていたわ」と伝えた。


  続いて【連帯責任制度】も絶賛。「日本は電話に出る時には名前を名のり、書類をファックスする時には署名する。他にも、仕事中は自分の名前を出して、責任の所在を明らかにしている。社員でもアルバイトでもそれは同じで、真摯な姿勢が素晴らしい。それから外部へ接触する場合、2人体制を取る気配りがある。私が送った荷物の受取人の名前が間違っていたので、怒られると思っていたら、同僚の確認サインがあり連帯責任として片づけてもらったわ」と経験談を述べた。

「台湾の職場は、自分のミスは本人の責任で処理。ミスした相手が取引先企業であっても、個人で責任を取らされることが多い。そしてミスがわかって収まると、その問題はすぐに終了。会社や部署で責任を取る日本は、検証したりいろんな人の意見を聞くので時間がかかる。台湾、日本、どちらがいいのか一概には言えないかも」と分析している。


  そして、千秋女王いわく、日本人の民族性と関係しているというのが【聞こえのいい命令文】。「上司が部下に仕事を頼む時、“~~をやってください”という命令口調ではなく、“~~をやってもらえますか”と丁寧にお願いする。その微妙な言い回しが理解できずに戸惑ったけれど、柔らかく伝えるのが日本のマナーらしい。

 上司なのだから、もっと命令すればいいのに…と不思議に思うけど日本では普通みたい。“お願いします”とまで言われ、本当に礼儀正しいと思った。台湾では、偉そうな態度の上司に命令ばかりされていたので、日本の職場は働きがいがある、と実感したわ。

 社長も上司も同僚も、すぐにお礼を言ってくれるし、仕事が終わると“お疲れさまです”と挨拶しあう。台湾人の私だけど、日本で仕事する方が向いていると思う」という千秋女王。「私が紹介しているのは私の会社のことなので、日本のすべての会社に当てはまるとは限らない。でも台湾と日本の職場事情の違いを見つけるのは、すごく楽しい。これからもブログで紹介していきます!」と文を結んだ。(編集担当:饒波貴子・黄珮君)

---------- 【引用ここまで】 ----------

 隣の芝生は青くて、自分たちにないものはうらやましく思いがちですが、「憧れの文化」の中にはこうした職場の風土なども入るんですね。

 最近の日本は権威主義的な風がめっきり影をひそめて、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の句を実践されるリーダーが増えてきました。

 みんなで決めたことを守ろう、というのが法治主義で、ひとたび権力を握った者が自分の思惑で物事を決めるのが人治主義。

 社会が人治主義から法治主義に移行して行くその度合いで近代化の度合いが測られるわけですが、まだまだいろいろなところでワンマンな人治主義も横行しているのが見受けられます。

 法治主義にあってなお、リーダーが頭を垂れるのが日本社会の良さなのではないかと思うのですが、そういう風土を見たことのない人がまだまだ世界には多いようです。

 日本に生まれて良かったー! 

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日光そばまつり最終日 ~ ナスとの会話

2009-11-03 23:39:18 | Weblog
 いよいよ日光そばまつりの最終日。

 今日は全国的に冷え込む中、午前中からほぼ快晴の一日で絶好の行楽日となりました。




 今日の私はひたすら野菜の天ぷらを担当。列の長さを見る余裕もなく、ナスとカボチャとブロッコリーを揚げる役です。

 ナスを揚げるタイミングも、500切れのナスを揚げ続けて分かるようになりました。

 天ぷらのコツは、「外は焼いて、中は蒸す」というもの。外がカリッと仕上がっている状態で、中はナス自身がもつ水分が熱せられることで蒸されてハフハフの状態になるのが最適というわけ。それが揚げてから少し時間が経つとやはり揚げたての風味が失われてしまいます。

 天ぷらは揚げたてが一番、ということが実によく分かる今回の部門担当でした。

    ※    ※    ※    ※

 今日の勢いならばおそらくは千食は行っただろうと思われますが、最終日だけに精緻な計算を待つ余裕もないままに、撤収に取りかかります。

 北海道から来た皆さんは、これから夜11時半に新潟港を出港するフェリーに乗らなくてならないのです。

 皆、北海道が大雪だったという情報は入っていて、「夏タイヤで大丈夫だろうかねえ」というのが別れ際の挨拶になりました。

 どうか無事でご帰宅ください。

 来年私はまた参加出来るかどうか分かりませんが、今年も出会いに満ちたイベントとなりました。

 
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