北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

環状7号線地下調整池

2009-11-06 23:12:42 | Weblog
 環状7号線の地下に整備されている地下調節池を見学してきました。

 東京の河川は、流域の都市化が進んだことで降った雨が地下に浸透するまもなく舗装された地表面を流れやすくなっています。そのため降った雨がすぐに河川に流れ込み、流量が増えることで河川氾濫を起こしやすくなっているというわけ。

 そのため特に神田川とそれに注ぐ善福寺川は氾濫しやすい河川となり、都市化が進んだ昭和50年以降はほぼ2年に一度は水害が発生していました。

 そのため、これら善福寺川と神田川の水を、環状7号線の地下に水路を造ってバイパスで直接東京湾に流し込もうという洪水対策バイパス構想がつくられて昭和60年以降、営々と工事が進められてきたのでした。

 現在は海への途中までの直径12.5mの地下トンネルが4.5kmほどできあがっていて、神田川、善福寺川、妙正寺川の三つの河川から取水出来るようになっています。

 トンネルそのものは、海までは繋がっていないものの、そこまで出来ているのだからこれを利用することにしました。つまり、豪雨によってこれ以上川の水を流すと下流が氾濫すると判断される時に、途中でこの地下トンネルに川の水を流し込んで水位が上がるのを防ぐというわけです。

 あまりに大きいトンネルなので懐中電灯の光だけでは上手に写真が撮れないくらいです。



 
 ここまでの総事業費は約1000億円だそうですが、一回の洪水の被害は約150億円に及ぶということですので、今後数回の洪水を未然に防ぐだけで投資の元は取れそうです。

 ちなみにこの地下トンネルについては、海までつながなくても地下調節池として使うだけで効果が十分なので、海までつなぐという元々の計画はこれ以上進める計画にはなっていないのだとか。それもまた柔軟な対応です。

 担当の職員は、洪水注意報が発令された段階でこの施設に集合して、ゲートを管理しているのだとか。だいたい年間三十数回は来ることになるとのことで、冬を除けばほぼ週に一度は集合がかかるそう。

 我々が枕を高くして寝られるために、人知れず支えてくれている人がいるということ。

 これもまた「公共」なり、ですね。


 ちなみに壁に描かれている円は地下のトンネルと同じ大きさです。建物なら4階相当ですから、大きいはずです。 




【参考】
 http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/04/20h4j100.htm
コメント
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