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日光そばまつりの三日目が終わりました。
今日は朝から時折強く雨が降るいやな一日。平日とあってお客さんもまばらで食数もはけず、なんともやりがいのない一日となりました。
「明日の最終日こそ4桁(1000食)は行きたいね」とひたすら懇親会に励むメンバー達でした。
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居酒屋での話題も当然蕎麦談義が中心ですが、そのレベルがあまりにも高いのでなんとも言えない至福のひとときです。
「蕎麦はやっぱり幅2ミリが基本。細くても1.8ミリだね。私なんかは仲間に『500円玉の幅で切りなさい』って言っているんだけど、今の段位認定試験でもみんなあまりに細すぎるきらいがあるよね」と8kg玉まで打つという北海道の蕎麦打ち名人のWさん。
「細く切るのが上手な技で、細く切れるようになれば太くはきれるのではありませんか?」と私。
「それがそうじゃないんだよ。上手な人はみんな細く切れるのが自慢になってしまって、太く2ミリ幅で打ってくれと言ったってかえって打てないんだよ。不思議なもんだよね」
すると今回のイベントの総合プロデューサーのOさんが、「お客さんに出しても細いのはダメなんですよ。まず盛りつける時にぺちゃっとしちゃって、ふわっとした盛が良いという感じがしないんだ。それにかけ蕎麦で湯がく時でもいつまでも湯が切れなくてこれまた調子が悪い。食べたって細い蕎麦では蕎麦の風味が出ないんだ。一番蕎麦の味がするのが2ミリっていう幅なんですよ」と教えてくれます。
またまたWさんが「茹で方でも、蕎麦文化がちゃんと根づいているところは頃合いの良い茹でと思う、その一瞬前に上げるくらいで、ほんの少しだけ麺に芯が残るくらいで上げるんだわ。そういうところは蕎麦を噛むんだね、だから蕎麦の味が出るようなゆで加減が好まれる。逆にラーメン文化が浸透しているところではのど越しの方を好むから固いとダメなんだな。このあたり(日光地方)だったら、蕎麦文化の方だから堅めで茹でた方が美味しいって言われるよ。蕎麦イベントもどこでやるかでいろいろ考えるんだわ」
うーん、なんとも深い!
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蕎麦を売っていかに満足を売ってお金を儲けるかという商売談義にも大いに花が咲きます。
「お客さんに少し待ってもらって、列を長くすると言うのも良いんだよね。並んでいるところには次から次に並ぶんですよ。それがあまり待たせちゃ悪いというのでただたださばいて行くと列が短くなって寂しい感じになる。待ってもらっても、『茹でたてが行きますからね、天ぷらの揚げたてが行きますからね』となればお客さんは10分くらいは我慢してくれるんですよ」とOさん。
「北海道ならダメだけど、本州の人は並び慣れているからね」とWさんも同意。
O「今回もカニとエビの天ぷらで企画したけれど、最近はカニなら北海道というイメージも薄れてきた感じがするなあ。何ならお客さんの足を止められるか、というのがなんどやってもなかなか難しいね」
W「ところが、タラバガニの足一本の茹でたのをつけて一杯千円の蕎麦だったらまた飛ぶように売れる。北海道的発想では『無理でしょう?』と思うような企画が当たるんだなあ」
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「少人数でたくさん蕎麦を出そうと思うと、前日に蕎麦をたくさん打っておくんですよ。で、翌日には打ち手には人手を掛けずに茹でや売り子に回ると良いんです」
「でも蕎麦を寝かせたりしたら茹でた時に切れやすくなりませんか?」
「そう言う打ち方をする時は、二八(8割が蕎麦粉で2割がつなぎ)ではなく三七にするんだよ」
「へー」
「1:4でも良いですね。このあたりのつなぎの割合が20%、25%、30%で蕎麦の感じが全然変わるから不思議ですねえ」
商売って難しいけど面白い。真似事かも知れないけれど、お客さんを相手にして物を売るという商売、ビジネスの片鱗が見えるのです。
持っている資源をどう上手に利用して満足を買って頂くのか。まさにビジネスです。