こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

ワールドコン 日欧翻訳事情

2007-09-07 00:00:00 | 未分類
9月2日16:00から『日欧翻訳事情』に参加しました。
パネラーはマッシモ・スマレさん、浅暮三文さん、太田忠司さん、篠田真由美さん、ひかわ玲子さんでした。

マッシモさんは、イタリアの小説家であり翻訳家。
それぞれイギリス、イタリア、日本の小説のイタリア語アンソロジー『アリア』の日本版を
翻訳担当なさった方です。
幻想文学、ファンタジー、ホラー、SF、怪奇、ゴシック、実験小説に渡り収録されているようで、
日本語版が一番売れているとか。
こういうジャンル小説は、大学教授が理解してくれないそうです。
そもそもイタリアで日本語を翻訳できるのは大学教授であり、エンターテインメントよりも
純文学を好むそうです。
イタリア人の小説にしても、歴史にしばられてレオナルドダヴィンチを主人公にするなど
なかなかできにくいそうです。

ちなみに、太田さんは、初め一作マッシモさんに作品を提供したら、
その後もノーギャラで二作品提供することになってしまったそうです(^^;)
今のところは、その二作品はイタリア語でしか読めないそうな。

日本の作品を海外に翻訳してもらうには、レベルの高い翻訳家に頼まないと
つまらない内容になったりするので、二度と読んでもらえなくなるようです。

マッシモさんが、日本の小説を翻訳することになったのは、井上雅彦さんと知り合いになって
早見裕司さんを紹介してもらったからだそうです。

古い小説も面白いけれど、今の人にとっては翻訳でも古く感じるそうですし、
現役作家を翻訳するのは面白いそうです。

また、幻想小説は、英米では人気があるが、基本的にはヨーロッパで書く人は少ないそうです。

さらに、全世界の文学は3つに分けられるそうで、英語は人口が多いので幅広く書かれ読まれるが、
フランス語になると少し減り、日本語・韓国語となるとかなり翻訳されにくく、読まれにくく
なるそうです。

そもそも、エンターテインメントを翻訳するのは難しく、日本の知識も自国の知識も深くなければ
いけないそうです。何よりも言語能力が大切で、今後、いい翻訳家をどう育てるかが問題だそうです。

さらに、日本の出版社は英語のサイトが少ないというのも問題だそうです。
まずは、日本の出版社が英訳本を出して、海外のブックフェアでオークションに出してみるというのも
いいかもしれないとのことでした。

SFに限定してみると、政治的に難しい国では反政治的と見られて出せないようです。
Web小説や携帯小説ともなると、素人としか思われないので、出版されるのは不可能だそうです。

イタリアでは、小説家になるのもコネがないと難しく、新人賞はあっても
それで出版してもらえるわけではないそうです。
イタリア人自身がイタリアの作家をつまらないと感じているらしく、それも問題だそうです。

なかなか日本の小説を海外の言葉に翻訳・出版してもらうのが難しいということが
よく分かりました。

これで、私のSF大会参加は終わりました。
日頃得られない知識を得ることもでき、大好きな小説家の皆さんにもお目にかかれ、
なかなか会えない友人・知人にも久しぶりに会えて、うれしかったです。
3日の12時頃にスターフライヤーに乗って帰宅しました。
充実した3日間でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする