トロイメライ

池上永一さんの『トロイメライ』を読みました。

主人公は、那覇の岡っ引きにあたる筑佐事の武太。
とりえといえば、三線の腕前くらい。
泳げず、読み書きも覚束ない男だが、兄妹が多く、その奉公先も有力な士族が多いことから、
何かと情報を得られるだろうということで、任命されたのだった。
更に言えば、涅槃院と言う寺の住職大貫長老の口利きがものを言っている。

物事を単純に考えるだけだった武太が、様々な事件を経て、一人前になっていく姿が描かれています。
最初のうちこそ読んでいるとメランコリーになりがちだった話ですが、
庶民はたくましく、お嬢様でさえ体を張って生きている姿には、感動します。
他作品からのゲスト出演も楽しい物語です。