こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『トオリヌケ キンシ』加納朋子

2015-02-10 19:29:21 | 読書感想
「トオリヌケ キンシ」の札が貼られているのは、書いていなくても入り込まないような狭い路地だった。
しかしある日、学校で嫌なことがあった田村陽が腹いせのように入ってみると、行きついた先はクラスメイトの女の子・あずさの祖母の家だった。

この表題作を始め、それぞれの主人公が痛みを抱えるという短編から成っています。
中でも私としては特に辛く感じて、それだけに大事にしたい物語が「空蝉」「この出口の無い、閉ざされた部屋で」です。

「空蝉」は、幼児期に実母に虐待されたタクミの話で、「この出口の無い、閉ざされた部屋で」は、病気で大学受験できずに引きこもってしまった伊東くんの話です。
どちらも苦しいのですが、救いのある結末が待っています。
ただ、伊東くんには呪いでもあります。

6話とも、いつかきっと日は昇ると思える物語です。
コメント
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