こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『十二人の死にたい子どもたち』冲方丁

2017-03-07 19:29:59 | 読書感想
かつて医療法人が所有する産婦人科・小児科・内科の総合施設だった建物に、ネット上のテストをクリアした自殺志願の少年少女12人が集まった。
そこは、暗証番号で守られたセキュリティの高い閉鎖空間でもある。

しかし、12人が集まる前に、集合場所の地下室のベッドの1つに1人の少年の遺体が安置されていた。
主催者も知らない人間だという。
集まるのは12人だったはずなのに、13人いるのだ。

便宜上、0番と名付けられたその少年は、12人と同様の自殺志願者なのか、それとも殺人事件の被害者なのか?
メンバーの1人が問題の解明を望んだため、ひとまず中断となった集団自殺だったが・・・。

自殺に追い込まれるだけあって、読んでいくと、ほとんどのメンバーが過酷な状況に置かれていることが分かります。
それでも他殺らしき少年の事件を、自己保身の意味もあるにせよ、解決してから死にたいと思う気持ちがある子がいるのは・・・まだ、現実に心が残っていると思っていいのでしょうか?
ただ、事件解決までにメンバーの様々な面が暴露され、いたたまれない気持ちにもなりました。

「11人いる」へのオマージュのようでもあり、某ミステリ作品の逆を狙っているようでもある、なかなか複雑な物語でした。
読み応えがある、興味深い作品です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする