こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『源氏供養 草子地宇治十帖』森谷明子

2024-09-18 20:02:30 | 読書感想
 
宮仕えを辞して出家した紫式部こと香子は、彰子皇太后の手配で質素な宇治の寺の庵に暮らしている。
その皇太后の元には娘の賢子が出仕して、宮中生活を謳歌しているらしい。
最近、顕光左大臣の息女、延子から『源氏物語』の続きを促す便りも来ているが、関節炎が悪化しておりなかなか筆をとる事ができないでいる。

そんな中、香子の周りで毒を盛られた様子の猫などが発見されたりと、不穏な出来事が続く。
その理由や犯人とは?

あとがきまで読んで、森谷さんのデビュー当時の編集さんにお礼を申し上げたいと思いました。
何でも森谷さんご本人はこの宇治十帖のアイディアが先にあって、次はこれを書きたいと思っていらしたそうですが、せっかくの源氏物語テーマなのにすぐに終わっちゃうのはもったいないですよねえ?
引きとめて下さってありがとうございます。グッジョブです。

でもこれで完結なんですよねえ。
いい物語だったなあ、という感慨と共に寂しさもあったりして読者は勝手です。

個人的には(史実の)菅原孝標女が好きだったりするのですが(同病ですから(笑))キャラ的には地味なので、探偵には向かないのかなあ?
今後、宮廷文化も衰退していく時代でしょうし、ミステリーの舞台としても大きなトラブルは起きにくくなっていくかもしれませんし、難しいのかなあとも感じます。

しばらくは未読作品を読んでいこうと考えています。
とにかく、とても魅力的で面白いシリーズです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『おでんオデッセイ』山本幸久 | トップ |   
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書感想」カテゴリの最新記事