こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『K体掌説』九星鳴

2015-01-18 19:29:30 | 読書感想
新人作家?九さんのショートショート集です。

「落ちる首」のように怖いような美しい話、人を食ったような「携帯三原則」
「おかあさんたいへん」に始まるおかあさん話4篇、「仰向けに這う武士」のような幽霊話など、
バラエティに富んでいて面白く読めました。

他にも「朝顔少女」「嬉しそうに嗤う盲人」「名人」「うちの猫」に始まる猫バナシ4篇、
「はなはだ奇態なる八つの入試問題」「鍵」「透明人間受難歴」「風」など、面白い作品がたくさんありました。
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『海色の壜』田丸雅智

2015-01-17 19:36:08 | 読書感想
「海」をテーマにしたものの多い、田丸さんのショートショート集です。

『夢巻』と同じように穏やかな作品がほとんどですが、『蜜』や『壁画の人々』のように、ゾッとするものも含まれています。

私が好きなのは、そうですねえ、満月を作るうさぎの手伝いをする『月工場』海にいる座敷童のような『砂童子』タイトルそのままの『夕暮れコレクター』不思議なネクタイ『ジンベイノット』そして、一番好きな『海酒』でしょうか。
他の作品もネタバレの関係で挙げなかったりもしているので、ぜひ、期待してお読みください。

できれば、草上仁さん・江坂游さん・太田忠司さん・高井信さん・星新一さんなどなど、他のショートショートを書いていらっしゃる方々の作品も、読んでいただけるとうれしいです。
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『その手をにぎりたい』柚木麻子

2015-01-15 19:27:21 | 読書感想
栃木出身の本木青子は、退職して実家に帰ろうという時期に、社長のおごりで高級鮨店で食べることとなった。

その美味しさと職人の手に惚れこんだ青子は、実家に帰るのを中止し、今までより給料の良さそうな不動産会社に再就職し、給料の範囲内で通うようになった。

1983年から1992年。
バブルから不況の時代に突入するまで、多分、普通のOLだったであろう青子が、感じ考えていたこと。
それは、そこまで華やかなことは無かった私には、想像もつきません。
ただ、あの時代に、座るだけで3万円という鮨店で自腹で食べようとする点は、見上げたものだと思いました。
それだけ惚れていたんですね。
貯金はともかく、狂騒的な時代にしてはそこだけは堅実だったのかも。
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『小森谷くんが決めたこと』中村航

2015-01-14 19:31:36 | 読書感想
今は映画編成の仕事をし、余命二か月と言われた病気から生還した小森谷くんの、小学生から今に至るまでの半生を描いた物語です。

小学生の頃はともかく、中学・高校・浪人・大学時代と、時々反省しつつもバカばっかりやっていた小森谷くん。
友人に「仁義なき小森谷」と言われつつも、妙に真面目で憎めないと思いました。
多分、大病をしたことで仁義が見についたんじゃないかな?なんて感じています。

ところで、これがよくある普通の男性の半生の一つなんですかねえ・・・うーむ。
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『黒猫の約束あるいは遡行未来』森晶麿

2015-01-12 19:35:24 | 読書感想
仏滞在中の黒猫は、ガラバーニという建築家の遺作となった<遡行する塔>という<不可能建築>が、三年ほど前から成長し始めたという情報を、ラテスト教授から知らされ、調査のためにイタリアへと飛んだ。

一方、学会に出席するために渡英した付き人は、唐草教授から、とある映画への出演をすすめられる。

黒猫と付き人が再会する時、事件は起きた。

今回の事件は、結局、彼女の掌の上で踊らされていただけのような気がしました。
もちろん、謎を解き明かしたのは黒猫なのですが、それさえも彼女の計画に含まれていたような気がして・・・。

ああもう!そんな事よりも、今回のことで言葉にしない黒猫と付き人の絆がはっきりして、うれしくなりました。
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