こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『ゼンデギ』グレッグ・イーガン

2016-04-17 19:35:23 | 読書感想
本書の主人公の一人・マーティンは、1960年代半ば生まれのオーストラリア人。
2012年に新聞社の特派員としてイランに赴き、政治的動乱に遭遇。
その時に出会った現地女性と結婚してテヘラン郊外に住み、新聞社を辞めて書店を経営する。

それから十五年後には息子に恵まれ、五歳になっている。

一方、もう一人の主人公・ナシムは、1987年生まれのイラン人。
彼女が十歳のときに母親とともに国外に亡命。
結局、アメリカ合衆国に帰化する。

十五年後のナシムはイランに戻り、テヘランのゲーム会社<ゼンデギ>のコンピュータ部門のトップとして働いている。

マーティンが交通事故で妻を亡くし、自らも余命を宣告されたとき。
妻の葬儀に現れたいとこのナシムの仕事を知ったら、その会社のヴァーチャルリアリティ・システム<ゼンデギ>の内部に<ヴァーチャル・マーティン>を作り、幼い息子を導いていきたいと考えても仕方のないことではある。

いやー、読み応えがありました。
地震で一時的に眠れず、疲れて読めなかったこともありますが、それでも読了まで2週間かかりました。

でもそうですね。
マーティンが息子の基本概念を形作りたいと願うのも無理はないと思います。
もちろん、他人に差別意識を植え付けられなくない、とかのですがね。

<ヴァーチャル・マーティン>がどのようになるのかも興味深いですが、それよりも、人々の信頼関係などの交流が深く描かれているのも素敵だと思いました。

結局、どのような結末を迎えるのかは、ぜひ、お読みになって体験してください。
面白いですよ。
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『群青のカノン』福田和代

2016-04-14 19:22:28 | 読書感想
『碧空のカノン』の続編です。

今回、真壁幸彦二尉が自衛隊を退官しソリストとして独立するばかりか、ゴリラ渡会が南西航空音楽隊に異動尾、つまりは沖縄の那覇に転勤になります。

驚く間もなく、その五か月後に佳音も出張としてその南空音に行くのですが、そこの新人隊員の一人・清水絵里空士長は渡会に恋心を抱き、もう一人・松尾光二等空士は佳音に面と向かって憧れていたと言いだす始末。

もちろん今回も謎には事欠かず、佳音、美樹、真弓クンの三人娘が解明に乗り出します。

何だか、まだまだこの物語は続きそうな気配ですね。
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『碧空のカノン』福田和代(再読)

2016-04-13 19:26:52 | 読書感想
航空自衛隊航空中央音楽隊隊員の鳴瀬佳音は、同室の安西夫人こと安西庸子三等空曹によると、色んな騒ぎを呼ぶらしい。

交響曲第一番『ギルガメッシュ』の楽譜の一部が見つからなかったり、ふれあいコンサートで指導した中学の吹奏楽部部員の一人がホテルを飛び出したりと、彼女と関係ないとはいえ、トラブルが起こるのは事実だった。
これは、そんな彼女の周囲で起こる謎を解き明かすミステリである。

再読だとは薄々感じてはいましたが、ずいぶん内容を忘れて新鮮に読めたのは、喜んでいいのか悲しむべきか(^^;)
続きもあるので、復習と思っておきます。
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『あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。』高橋しん

2016-04-12 19:27:39 | アニメ・コミック・ゲーム
まだ、大きな戦争が終わって10年ばかし経った頃。
東京近郊の田園が広がる町の小さな商店街の一角にある本屋さんに、奥さんが嫁いできてちょうど一週間の朝。
優しい旦那さんが亡くなった。

奥さんはていの良い口減らしとして嫁にやられたため実家に帰ることもできず、旦那さんの親友を始め、商店街の人々に見守られながら本屋を続けることとなった。

実家に帰れないというだけでなく、この奥さんは無自覚ながら本当に旦那さんを愛していたから、店の本を読み(ヲイヲイ(^^;))売るようになったのでしょうね。
本屋としては突拍子もない店ではありますが、周囲の人々への思いが感じられるいい店なのではないかと感じられました。

続編もありますので、小説の合間に読めたら感想を書きたいと思っています。
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「チョコレートの花束」矢崎存美 雑誌『読楽2016年4月号』より

2016-04-11 19:22:08 | 読書感想
島木千恵子は、先日、銀婚式に夫の福也から美しいチョコレートをもらったのだが、次に待ち構えている夫の誕生日に何をプレゼントするべきか迷っていた。

ぶたぶたさんシリーズの新作です。
さて今回のぶたぶたさんの仕事はともかく、千恵子さんは旦那さんのためにこれだけ悩めるのだから、お互いを思いあえているいい夫婦なんだろうなあ、と思えました。

心温まる、素敵な物語です。
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