こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『放課後の厨房男子』秋川滝美

2016-10-21 19:38:51 | 読書感想
県立末那高校は今年、創立百二周年を迎えた男子校である。

部活動は運動部が主流だが、文科系の部も存在している。
ただ、男子校では珍しい料理する部もある。
その名も『包丁部』

創立者は、料理が好きなのに父親が「男子厨房に入らず」をモットーとする昔気質の人間だったため、学校でなら父親の目に触れることもないだろうと「刀剣研究部」と名付けた生徒だった。
活動が始まって、料理部だとわかったあとも、初代部長に免じて「包丁部」が通称となった。

四月のとある火曜日、二年生になったばかりの勝山大地は、豚汁をふるまって新入生の勧誘をしていた。
新一年生は、食べてはくれるのだが、なかなか誘いには載ってくれない。
実は「包丁部」は、新入生を二名以上は確保しないと、部存続の危機にあるのだ。

新入生確保のための活動風景も、なかなか面白かったのですが、新入部員となった二人がかなりユニークで、事ある毎に大地をいじってくれます。
顧問の先生の、見た目と実情のギャップも楽しいですよー。
あと、文化祭の顛末がハラハラさせつつも、上出来の結末を見せてくれます。

何より、全般にわたって描かれる料理がとても美味しそうです。
文化祭のスコーンなんて、もう♪
食いしん坊には、たまらない小説でもありました。
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『星へ行く船シリーズ2 通りすがりのレイディ』新井素子

2016-10-19 19:25:33 | 読書感想
今回の森村あゆみちゃんは、恋人(?)の山崎太一郎さんの元奥さん、レイディに出会います。
彼女はもう、あゆみちゃんの理想を体現したような女性で、それに惚れ込んでしまったため、押しかけボディガードをやろうとするのですが・・・。

素子さんもあとがきで仰っているように、本当に女の子!を描きたいがためにあるような話なのは、確かですね。
あゆみちゃんといい、レイディといい、麻子さんといい、れーこさんにしいてから、何て魅力的な方々なんでしょ。

このシリーズ、大好きです♪

そして書き下ろしの「中谷広明の決意」
彼は彼でとても素敵で、誠実な人物なのでした。

続編「カレンダーガール」は、11月発売。
待ち遠しいです。
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『星へ行く船シリーズ1 星へ行く船』新井素子

2016-10-18 19:31:15 | 読書感想
地球のお嬢さま・森村あゆみが、意に染まない結婚から逃れるために、火星へ行く船に身分を偽って乗り込んだところ、とんでもない連中と同乗することになって・・・。

あゆみちゃん、お久しぶりですね。
これを初めて読んだ頃、私はあなたより年下だったと思うのですが、この決定版が出た今は、二倍以上の年齢になってしまいました。
私自身は、あゆみちゃんみたいな自信家にはなれませんでしたが、当時よりは前向きな性格になれたとは思います。

あと5巻目の『そして、星へ行く船』から先のあゆみちゃんが、ファーストコンタクトをどのように成し遂げたのかが、とても気にかかっています。
これを機に、『星から来た船』とでも銘打って続きが出ませんでしょうか?

最後に、書下ろしの「水沢良行の決断」での、あゆみちゃんが採用されるまでの話も面白かったです。
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『うそつきの娘 妖怪の子預かります2』廣嶋玲子

2016-10-17 19:28:17 | 読書感想
ひょんなことから、うぶめの子預かり屋の代理をさせられていた弥助は、体を張って子どもを守ろうとしたところをうぶめに気に入られ、正式に手伝いをすることとなった。

今回、子ども限定の妖怪除けの札をはがしてくれとやって来た、あかなめの親子や、三味線になってしまった母猫に会いたいという子猫の妖怪りん、千弥を婿にしたいという華蛇族のわがままな姫君と、次々に妖怪たちの問題が持ち込まれる。

それだけならまだしも、近頃、妖怪の子どもたちが行方不明になることが続いているという。

梅の子妖怪梅吉の友だちを捜しに浅草に行った弥助が出会った娘は、たちの悪い嘘つきで・・・。

結果は、弥助にとってとても辛いものとなってしまいましたが、今までとは人に対するものの見方が変わってくるかもしれないとも思いました。
実際、魂も変わってきているみたいですしね。
弥助の成長と、千弥の変化が楽しみです。
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『公方様のお通り抜け』西山ガラシャ

2016-10-16 19:38:27 | 読書感想
日本橋から二里ほど西方にある戸塚村に住む外村甚平は、大百姓だが日々金儲けの方法ばかり考えている。

寛政四年(1792年)の夏。
終わり徳川家の約十三万坪の広さがある下屋敷・戸山荘の手入れを頼んでいる百姓たちが、重労働の割に賃金が少ないという苦情を伝えるために集まっていた。
それは、翌日から甚平が工面して値上げ分を出すということで、一応は収まった。

その翌日、戸山屋敷奉行・拝郷弾蔵の元に交渉のために赴いたところ、また違った儲け話を聞かされることとなり、甚平は、すぐさま引き受けることにした。

それは、戸山荘に公方様(徳川家斉)が半年後に御成になるため、御庭を最善の状態にするばかりでなく、さらに上様(徳川宗睦)が、公方様を喜ばせるような仕掛けも考えよ、と命じられたというのだ。

最初は金儲けのために始めた甚平が、公方様を驚かせたいという気持ちになっていく過程が面白いのはもちろんですが、目的のためなら嫌われ者の元へも手助けを頼みに行くという、割り切りの良さも気持ちよかったです。
どのような仕掛けをし、結果がどう出たのか。
興味のある方は、ぜひ、お読みください。
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