こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『海賊士官候補生 超ミニスカ宇宙海賊1』笹本祐一

2019-08-19 19:48:07 | 読書感想
 
 
帝国艦隊司令部の情報部員ナット・ナッシュフォールから、茉莉香とリン、そしてチアキに帝国士官学校へ入学した上での潜入調査依頼が舞い込んできた。

ナッシュによると、士官学校の中に、将来、帝国の脅威となりうる秘密組織が存在している可能性があるという。
しかも、それは帝国艦隊の指揮通信網にまで入り込み、士官候補生の訓練中、勝つか負けるかの分岐点で決断のための良きアドバイスをささやき信用させた上で、実際の戦場に立った時にコントロールしようとしているらしいのだ。

まずは、年長のリンが潜入して、落ち着いて能力が発揮できるようになった頃、その仮想敵が接触してきた。
さらに、茉莉香とチアキが入学し、全校生参加の卒業演習で2人に接触してきたのは!?

うーん、コンピュータを使った情報戦ですか?
読みながら「これは、面倒くさいわ」と思ってしまいました。
コンピュータを使っていると言っても、人間自身も、かなり頭を使わないといけないし、現場では、物理的に体を限界まで使った上での頭脳戦なので、大変です。

さらに、物語の中でも言われていましたが、戦争の判断を下すのは、現場の大変さを知らない政治家やお役人さんなどのお偉いさんたちですもんね。
正直、現在の日本の政治は信用ならないので、怖いですよ。

物語は面白いけど、現実と比較すると恐怖も覚える作品ではあります。
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『本屋のワラシさま』霜月りつ

2019-08-16 19:41:06 | 落語
 
本緒啓は、元々は大型書店に勤めていたが、ある出来事のせいでそこにいられなくなり、本も読めなくなってしまった。

だが、入院した伯父が営む商店街の小さな書店を、店長として一時的に預かる事となった。
その初日、店内の日本人形が動き、自分は書店の座敷童子と名乗った。
啓は、本が読めないだけでなく、面白さについても分からなくなっていたため、彼女のアドバイスによって、客に薦める本やどう並べるべきかを判断しながら、何とかやっていた。

ミステリにファンタジー、絵本にハウツー本、SFに詩集など、幅広いジャンルが紹介されているのも、楽しいのですが、座敷童子だからとはいえ、客それぞれの状況に合っているのが、面白いです。

啓も、初めは対人恐怖症に近い状況だったのが、ワラシの手助けの中で、少しづつ人との交流ができるようになっていくのも、嬉しいものでした。

紹介されている本の中で、私が読んだ事のあるものは、「おさるのジョージ」シリーズの旧名「ひとまねこざるときいろいぼうし」でした。幼稚園の誕生日プレゼントでしたねー。

とても楽しめました。
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『モーレツ終戦工作 ミニスカ宇宙海賊12(KADOKAWA版)』笹本祐一

2019-08-15 19:42:26 | 読書感想
 
独立戦争終結に介入するはずの銀河帝国艦隊に、動きが見られない事に気づいた茉莉香たちは、終戦のために、海賊として弁天丸とオデットII世で、宇宙要塞ポルト・セルーナに丸腰で乗り込み、根回しをした上で、口頭で宣戦布告を行った。

5年振りに読みますが、朝日ノベルズ版に比べて、色んな意味で内容が濃くなっているような気がします。
こうして読んでみると、戦争って、終わらせるのに100倍は労力が要るように思えます。
その点だけ考えても、戦争は初めてはいけませんよね?
交渉が遅れれば遅れるほど、被害が増えますし。

戦闘をたくさん描いているように見えて、実は、これだけ大変なのだから、始めないのが一番だよ、と教えてくださっているように思えます。

紙面の上だけだし、茉莉香たちが優秀だから交渉もさくさく進みますが、実際は、言葉や態度の選び間違いでこじれたりもするでしょう。
小説だけで十分です。
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『この橋をわたって』新井素子

2019-08-14 20:07:39 | 読書感想
 
素子さんの短編と、ショートショートを収録したこの本。
巻頭を飾る「橋を、架ける」は、人が河に橋を架けたきっかけって、こんな感じだったんじゃないかな?と思わせ、結末では、新世界へのワクワク感が感じられて楽しませていただきました。

次の「黒猫ナイトの冒険」は、カラスと猫の攻防に見せて実は・・て話ですし、三番目の「妾は、猫で御座います」は、某文豪の著作を借りた、飼い猫ファーちゃんの所業を弁護する話になっているように思えます。

ショートショートで一番好きなのは「お片づけロボット」で、これが欲しいっ!と思ったものの、そんなものよね、という結末でした。

素子さんは、子ども心を忘れず無機物さえ擬人化できる方で、それでいて、お祖母ちゃんっ子だったらしく、先祖や信仰も大切にされているように思えました。

本当は、細かく感想を書いていった方がいいのかもしれませんが、あらすじも、書きすぎると皆さんの楽しみを奪ってしまうので、これくらいで。

とにかく、とっても面白かったです。
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『オバペディア』田丸雅智

2019-08-13 19:46:45 | 読書感想
 
様々な読者から集められたお題を元に創られたショートショートが集まっているこの本。

特にいいなと思ったのを並べてみます。

コーヒーのブレンドによって、人それぞれの記憶を刺激し、思い出を蘇らせる事ができるマスターのいる「記憶の喫茶」
色んなものをコレクションする電車が、普通の電車に混じって線路を走っているという「採集電車」
楽しく仕事をしようとすると、究極にはこうなる?「新入社員」
ここまではなくとも、多くの人に多かれ少なかれある負の想いと、その切なさがバーチャルで描かれた「黒い犬」
もしかして、星新一さんの「おーい、出てこい」の結末?と思わせて、実は問題を解決してしまう(?)「言葉の蛇口」
星の最期と誕生を擬人化した(?)「星の申し子」
同じバーチャルでも、こちらは何とも優しくて温かい気持ちになる「白い犬」
そして表題作の結末には、ニヤリとさせられました。

多くの人々から集められた多様なアイディアのためか、いつも以上に面白く読めました。 
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