こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』高田郁

2021-12-13 20:09:47 | 読書感想
 
来年が宝暦十年辰の年という事と三河万歳から、災難が多い年になるという予言が出ていたが、翌年、本当に江戸の町を大火が襲った。

さらに、五鈴屋店主の幸にとって辛いことに、またしても妹の結が夫の音羽屋忠兵衛と共に、汚い方法で五鈴屋の商いの妨害をする。

こういう考え方は本当は良くないのかもしれませんが、たかが一度、想う男に振られそれを叶えるために姉が相手に強要しなかったからと、恨みに思うのはどれだけ我儘で傲慢なんだと感じてしまいます。

しかも姉への仕返しも兼ねてとはいえ、真っ当な商いではなくあこぎな方法で邪魔をしようなんて、客もその店がどういう商売をしているかを見て選ぶのですから、長続きしませんよねえ。

ひとまず幸の商いは、上手く行きそうですし、いくらか安心はしました。
ただねえ、音羽屋忠兵衛の言葉が気になるところではあります。
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『すべての神様の十月(二)』小路幸也

2021-12-08 19:54:48 | 読書感想
 
人の近くに何気なく存在している八百万の神様方。

その存在は、家政婦だったり便利屋だったり。

人の中には、神様に恋したり、逆に神様に懐かれる人もいたりして。

この物語の中で私が好きなのは、火災現場に到着する前に、なぜかすべての火事が消えてしまう消防士さんや、地下鉄の<忘れ物センター>の明野さんや、人助けが趣味の仙人さんでしょうか。

神様の中には、人にその存在自体を気づかれない方もいらして。
だからこそ…の行動が、切なくも愛おしく感じました。

おすすめです。
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『黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ』吉永南央

2021-12-05 19:55:14 | 読書感想
 
この本は、性犯罪を真正面から扱っています。

性にまつわる話題を避けようとされる方も多いとは思います。
かと言って、加害者はともかく被害者を悪し様に言う世の中は、間違っていると思います。

男性ばかりか女性までも、女が油断しているからとか誘っているのではないかとか悪く仰いますが、性犯罪の加害者は、おとなしそうな被害に遭っても言いそうにない女性を選んで実行しているようです。

それでも仰るなら、男性には「あなたも痴漢をしているのではないですか?」と疑います。
加害者になる気が無いのなら、被害者を責める必要は無いはずです。
通り魔に殺された男性を「油断していたから」「弱そうだったから」と責めませんよね?
そういう事です。

女性ならば、もしかしたら被害者が特別なら普通のあなたは被害に遭わないのではないか、と思いたがっていませんか?と、申し上げたいです。
特別ではない私は被害に遭わないと安心したいのかもしれませんが、そんな事はありません。
あなたの心の平穏のために、性犯罪の被害者の心を傷つける権利は無いはずです。

どんな方でも、勝手な憶測で被害者を貶めていいはずはありません。

これが、この本の感想です。
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CD『浩子の宅録』谷山浩子

2021-12-04 20:06:19 | CD・DVD等
 
11/17に発売された谷山浩子さんのアルバムです。

文字通り、ご自宅で全ての演奏録音作業を一人でなさったアルバムで、聴くまでは「どうかな?」と思っていたのですが、安定のいつもの世界です。

3曲目は、ROLLYさんが歌われる事を前提に創られたので、いい意味でイカれた世界となっています。
4曲目も、ますむらひろしさんの不思議な世界で、とてもファンタジックで面白いです。
あと、宮崎吾朗監督作詞の曲が3曲入っていて、私の好みとしては「春のさけび」がお気に入りです。

今回は、思ったよりおとなしめのアルバムでしたので、もう少しぶっ飛んでいたり、黒かったり、妙だったりする曲も欲しかったな、とわがままな事を思ったりしました。
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『みとりねこ』有川ひろ

2021-12-03 20:02:32 | 読書感想
 
冒頭二編が、「旅猫リポート外伝」の猫にまつわる短編集です。

「旅猫リポート外伝」では、久しぶりのサトルに懐かしさと寂しさを感じました。

続く「猫の島」では、リョウとカメラマンの父と、父の再婚相手の晴子さんとで竹富島へ取材も兼ねて行く物語。
父親が猫に懐いてもらえないと嘆きますが、猫の中に突撃なんかしたら彼らだって驚くので、避けられますよ(^^;)

「トムめ」も口では飼い猫のトムを悪く言いながら、猫への深い愛情がひしひしと伝わります。

私が特に気になったのは「シュレーディンガーの猫」で、タイトルからどういう方向に行くのかが見えず、興味津津でした。まさか、ああ来るとは思いませんでしたよ。
そうそう、これに関しては初回特典として物語にまつわる書き下ろし漫画が付いていました。
どちらも面白いです。

残り二編も、猫への溢れる愛情ダダ洩れの物語でした。
おすすめです。
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