こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『イコ トラベリング 1948―』角野栄子

2023-05-12 20:47:06 | 読書感想
 
第二次世界大戦から二年半以上経ち、私立の大山女学校に中学二年から編入したイコ。
五歳の時に母を亡くしてから、いいことは悪いことの始まりだ、という気持ちから離れられない。
悪いことがなくなるなんてことは絶対にないと思ってしまう。

イコは自分自身をミーハーだと言っていますが、彼女の戦争から来る心の痛みを読んでいると、その分だけ楽しみや喜びへの渇望が強いのではないかと感じます。
まあ、努力家ではないけれども(笑)
でも理由はともかく、海外へと飛び出して行ける勇気はなかなか持てるものではありませんよ、イコちゃん。

私自身は、少々雰囲気に流されやすいところだけイコちゃんに近いのが情けないです(^^;)
石橋を叩くだけで渡らなかったですしねえ。
あと杞憂ならいいのですが、現在に戦争の影がつきまとっているように思えて、今が怖いなとも考えています。
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『不思議カフェNEKOMIMI』村山早紀

2023-05-10 20:14:43 | 読書感想
 
近所の小さな、けれど歴史のある出版社に若い頃から勤めていた50代の律子。
近く閉まる事が決定し、早めの定年かな?と思っていたある日。
昔、亡くした黒猫そっくりの子猫がアスファルトの上で倒れて凍えていた。
すぐに動物病院に連れて行き診てもらい自宅に連れ帰った後、律子も持病の頭痛が酷くなり、子猫と相次いで亡くなってしまった。

実は彼女が亡くなる直前、自宅に置いていた古いランプに棲む猫の魔物から魔法をかけてもらい、人としては生きられない代わりに、子猫と共にもののけのようなものとして永遠に生きられるようにしてもらったのだ。

ファンタジーと言えば壮大な魔法と冒険のようなイメージを持たれる方が多いようですが、私としては日常の隣にささやかに置かれ、幸せに生きる上での小さな一歩踏み出す勇気をくれるこのような不思議が大好きです。
平凡でも暖かな生活を守れるのが、一番です。
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『育休刑事 諸事情により育休延長中』似鳥鶏

2023-05-09 20:12:18 | 読書感想
 
初っ端から秋月春風の長男である赤ちゃん、蓮くんの入浴シーンから始まり、ミステリとしての緊張感は無さそうに思えますが、蓮君の安全面からの緊張感が大いにありまくりです。

そして、育休中なのに先週に起きたという窃盗事件のアリバイに赤ちゃんが絡む事もあって、現場に呼び出されています。
被疑者が窃盗犯として行動するには、赤ちゃんから目を離さなくてはならないので、不可能なのですね。

あとの連作短編2篇も赤ちゃんがらみですし、巻末作品も秋月が育休を取ると決めたきっかけが語られていて、それがかっこいいんですよねえ。

面白かったのはもちろんですが先日、この本を購入した時、その書店では最後の1冊でした。
TVドラマ効果でしょうか?
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『シリーズ百字劇場 納戸のスナイパー』北野勇作

2023-05-04 19:41:48 | 読書感想
 
今回は狸と狐の話かな?と思っていたら、どうやら狸がメインらしいです。
かと思えば、一般家庭の納戸に常駐するスナイパーがいたりして(笑)

ところで今さらながら、如雨露って雨露の如しだったんだな~と思いました(22ページ)。
漢字も知っているのに解読せず、何となく言葉の羅列として使っていました。阿保ですねえ(^_^;)

まあ、それは置いておいて、あまりにも狸の話ばかりなので136ページのタスキまで狸に読めるという現象まで起きてしまいました。
とことん、狸づくしです。
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『シリーズ百字劇場 ありふれた金庫』北野勇作

2023-05-03 20:00:45 | 読書感想
 
Twitterで北野さんが発表なさってきたほぼ百字の小説をまとめた本、第一弾です。

私としては、14ページのトースターや19ページの粘土板、69ページのお稲荷さん、77ページのプール開き、93ページの侵略、95ページの宇宙探偵への話などが好きです。

気になるのは、36ページのさくらんぼの種の話は落語の「頭山」が元ネタに思えますし、上記のプール開きについてはマジンガ―Zを思い出させました。

少なくとも三冊は出るようですし、何らかのお好みの話があると思います。
よろしかったら、お取り寄せにてお読みください。
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