こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『名探偵の有害性』桜庭一樹

2024-11-09 20:22:26 | 読書感想
 
三十年前、大学生の鳴宮夕暮は同じ大学に通う五狐焚風と知り合った。
間もなく二人の身の周りで事件が起き、そのたびに風が推理して解決し鳴宮は手伝った。

当時の世の中では名探偵が大流行しており、メディアが派手に活躍を取り上げトップの四人が四天王と呼ばれていた。
それが今、令和の時代になってYouTuberがその時代の名探偵を取り上げ、その有害性を主張しだした。

SNSの時代の無責任な群集心理による誹謗中傷からの元名探偵と元助手の逃避行でしょうか?
ただ物語の中でも語られていますが、その時代を生きていない現代人が当時の人々を今の正義で論じても無意味な気がします。
それこそ、無責任な群集の有害性ですよね?

本題に戻りますが、元探偵と元助手が過去の事件を検証しなおして、同時に自分自身の生きざまを見つめ返す、そういう物語でもあるでしょう。

二人と同世代の私も、読みながら自分の生き方をいくらかは振り返ることになりました。
5、60代の方には特に、おすすめです。
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『中途の家』エラリー・クイーン

2024-11-05 20:14:31 | 読書感想
 
エラリーの旧友で弁護士のウィリアム・エンジェルの妹、ルーシーが殺人の容疑者として逮捕された。
ウィリアムは、その嫌疑を晴らそうと弁護士として裁判に臨むが・・・。

新訳にもかかわらず「そうそう♪クイーンはこうでなくっちゃ!」と楽しく読ませていただきました。
久しぶりの読者への挑戦も懐かしく、謎が解けないにしても嬉しいものです。

気楽に日常の謎を描いたミステリを読むのも楽しいものですが、初心に帰って王道を読むとまた、感動します。
クイーン作品では、国名シリーズと<ドルリー・レーン・シリーズ>は確実に読んでいるのですが、他はあまり自信がないんですよねえ。
巻末の解説を拝読するとまだまだありそうなので、少しずつ読んでみようかと考えています。

ちなみにクイーンは、名前がエラリーの場合とエラリイの場合があるので(出版社の違い?)検索は両方やらないといけないのが、少し手間です(苦笑)
大好きなのでいいのですけどね。
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『キャクストン私設図書館』ジョン・コナリー

2024-11-01 20:02:54 | 読書感想
 
巻頭と巻末にある表題の入った作品では、人々に広く知れ渡ったゆえに“実体化”した小説の登場人物などが由来する騒動に、共感したり驚いたりと面白く読みました。

次に「虚ろな王」は、理屈や正しさだけでは生きられない人の愚かさが何とも言えず悲しく哀れでした。

最後、というか巻末の物語の一つ前ではあるのですが「裂かれた地図書」には、おどろおどろしい闇や現実が裏返るという恐怖が描かれており、私自身は日頃読まない内容であるだけに刺激的でした。

キャクストン私設図書館に挟まれているおかげで、負の感情が緩和されて良かったです。
ちなみにホームズ案件でした(笑)
3年前の単行本だから、今さらですけどね。
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