興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

微笑むこと

2013-06-10 | 名言・佳言ピックアップ

今回の「名言・佳言ピックアップ」は、作詞家の 阿久悠氏 の言葉を取り上げます。

阿久悠氏(1937‐2007)は、『昭和おもちゃ箱』<阿久悠・著/扶桑社・刊>という本の中で、「昭和最後の秋までは、細々ながらもあった」ものを列挙しています。(「昭和と歌謡曲」)

阿久悠氏の、時代や人間に対する鋭い見方が伝わってきて、教えられるところ大なので、以下それらを箇条書きにして記しておきます。


・人を愛すること。
・気遣うこと。
・労(いたわ)わること。
・目を見て話すこと。
・気配を感じること。
・今行うことが三手先でどうなるかを読むこと。
・生理的不快を知ること。
・言葉をタップリ持つこと。
・自分の弁護のために相手をおとしめないこと。
・声高に正義を語るより、まず日常の正しいことを重んじること。
・笑わなくてもいいから微笑(ほほえ)むこと。
・大人になりたがること。
・人間は十人十色だと違う個性に魅(ひ)かれること。
・はじらうこと。
・照れること。
・美意識の窮屈さを合せ鏡にすること。


(最後の「美意識の窮屈さを合せ鏡にすること」の意味が少し分かりにくいのですが、「自分の美意識を主張し過ぎるのは、他者にとっては時に窮屈であるかもしれない。そのことを分かっていること」くらいの意味でしょうか)
 

まったくの‘昭和人’であるわたしにも、この「気配を感じること」「はじらうこと」「照れること<謙虚さの表れか>」などは、できるかどうか自信がありません。

でも、「目を見て話すこと」「微笑むこと」は、心がければできそうな気もします。


ともあれ阿久悠氏のこれらの言葉は、この平成という時代を生きるわれわれ日本人一人一人が、今こそ味わうべきメッセージであると思えてなりません。

*写真は、黄薔薇、フリージア。本記事とは関係ありません。


始まりが半分だ

2013-06-02 | 名言・佳言ピックアップ

今回の「名言・佳言ピックアップ」は、韓国のことわざです。

「시작이 반이다」  (シジャギ パニダ)

「始まりが半分だ」というのが、文字通りの意味です。


「百里を行く者は九十里を半ばとす」
ということわざが日本にあるように、日本人の中にあるメンタリティーとはずいぶん違うなあ、というのがこのことわざを初めて知ったときの印象でした。

しかし、このことわざは「始めれば半分終わったも同然だよ」というような、楽観的な考え方を表すものではかならずしもないようです。
数年前に、NHKラジオハングル講座のテキストでそれを知りました。

そのときの講座の講師、チョ・ヒチョル先生がテキストに、このことわざについてこう記していたのです。

「何事もズルズルと先延ばしにしないで、まず取りかかるのが肝心だという意味です」

つまり、物事が成らないのはズルズルと先延ばしにしてしまうからで、とりあえず始めてみなさい、そうすればすぐに半分くらいはやってしまうことができますよ、ということなのですね。

なるほど、これなら「日延ばし癖」のあるわたしにも実感があります。

わたしは昔から、いやなこと、めんどくさいことをすぐやらず、先延ばしにしてしまうクセがありました。
夏休みの宿題などいつも夏休み終盤まで溜めて、最後の一日、二日に慌てふためいてやったものです。(自慢にならないって)


「まず取りかかりなさい」というチョ先生のこの教えをラジオ講座で知ってからも、それを習慣化するための行動にまだ取りかかっていないわたしです。(汗)

(「NHKラジオ・まいにちハングル講座」2008年4月号。チョ・ヒチョル先生は東海大学外国語教育センター教授)


反応する前に耳を傾ける

2013-05-30 | 名言・佳言ピックアップ

‘心に残った言葉、共感した言葉’をとりあげる「名言・佳言ピックアップ」の第二回です。

「結局、あらゆる文化生活は、みんなが教えると同時に快く学ぶということにかかっている。反応を延滞し、「もう少し話してくれませんか」と言うことができ、反応する前に耳を傾ける――これが、この書が関心を持っている理論的原理の幾分かの実際的適用である」

(『思考と行動における言語 第二版』<S.I.ハヤカワ・著/大久保忠利・訳/岩波現代叢書>より)
 

『思考と行動における言語』は、言語学における古典的名著です。

推論による断定や安易な一般化、単純な二値的思考、思い込みによる偏見などの「言語の魔力」から、いかにすれば自由でいられるか。そのための理論的分析と方法を具体的に説いています。

ずいぶん昔に買った本で(奥付は1968年3月30日・第6刷)、言語学はこのあとさらに発展を遂げていることでしょうが、わたしは若いときにこれを読んで、言葉、言語の持つ面白さに目を見開かされる思いをしました。

この本で教えられたことは、その後の仕事(編集・文章作成)の中でも大いに役立ったと思っています。
 

ところで、最近は十分な証拠もないのに「推認」により断定(有罪判決)を下す裁判官がままいるようです。人権意識の希薄さもさることながら、これは人権意識以前の問題です。
そういう方々にはこの本を熟読玩味してほしい。

*写真はダブルデライト。わが家の庭で咲いたバラです。本記事と関係ありません。


兵士を派遣する立場

2013-05-24 | 名言・佳言ピックアップ

今回から新しいカテゴリーを追加します。

題して「名言・佳言ピックアップ」
本、雑誌、新聞などから心に残った言葉・共感した言葉をピックアップし、書きとどめてまいります。

第一回は、先日の「東京新聞」のコラムからの引用です。

「『慰安婦制度は必要だった』と明快に言い切る政治家には、兵士を派遣する立場の視点しかない。自らが一兵士として列に並び、妻や娘が慰安婦になる姿など想像できないのだろう」
(「東京新聞」2013.5.16の一面コラム「筆洗」より)


政治家・為政者には、戦争の放棄を謳った日本国憲法の理想実現のために力を尽くしてほしい。
庶民を戦争になど送らなくて済む世界を作るために、まさにそのために懸命に働いてほしい。

‘現実追認’に名を借りた評論家風の言辞など弄してほしくない、と思います。

*写真はわが家の庭のバラ。本記事に関係ありません。 


その日その日・・・

2012-01-12 | 名言・佳言ピックアップ

                写真は深大寺前、「嶋田家」のもり蕎麦。 本記事とは関係ありません。

宇宙飛行士の古川聡さんが昨日(11日)、NHKのニュースウオッチ9に招かれ、話された中にとても印象深い言葉がありました。

「その日その日自分のできることを積み重ねていけば、明日は今日より必ず良くなる」

言葉の細部は違ったかもしれませんが、ほぼこの通りです。


これを聞いて、わたし自身、とても感銘を受けました。

他者はどうあれ、まず自分が今日この日、手元のなすべきことを一つ一つこなしてゆけばいいのだ。
それがよりよい明日に、必ずつながる・・・。

抽象的なお説教ではない、具体的な示唆であり、励ましです。

‘我田引水’ 的な拡大解釈かもしれませんが、 「たとえ不器用でも、カッコ悪くても構わないよ」 というメッセージも伝わってきます。


テレビでの古川さんの笑顔、とても素敵でした。