日本三大七味を買いそろえた。
上の写真左から長野・八幡屋磯五郎、真ん中が東京・やげん堀、一番右が京都・七味家。それぞれの七味が日本の三大七味といわれている。
なぜそろえたのかというと、自分で実際にこの三者の味比べをしてみたくなったからだ。
日本の七味のベストスリーというからには、どれも美味しくないわけがないだろう。でも、ほんとうのところどれがいちばん美味しいのだろう。
また、七味は唐辛子のほかに山椒、陳皮、胡麻、生姜など、7種ほどの香辛料を使っているようだが、店によってその材料と配合割合が違うという。ということは三者で味、香り、辛さにどういう差があるのだろう?
興に駆られたわたしは、次第に居ても立ってもいられないような気持になり、自分で実際に食べ比べをすることにした。
八幡屋磯五郎はすでに持っていたので、あとの二つを購入。やげん堀は昨年秋、浅草に行った折、新仲見世本店で買い、七味家は京都の本店から通販で入手した。
八幡屋磯五郎は十数年前長野・善光寺前の本店で買って、以来長く愛用している。(中味の詰め替えは近くのスーパーで買える)
味比べは、お新香(糠漬け)に七味を少しずつ付けて、違いを見きわめることにした。(上の写真)
白い皿の上に出した七味は、左から七味家(やや黒っぽい)、真ん中がやげん堀(茶色)、右が八幡屋磯五郎(赤みが濃い)。
それぞれを少しずつキュウリ、ナスなどの糠漬けに付け、香りを嗅ぎ、ゆっくりかじってみた。
ワインのテイスティングならぬ七味のテイスティング。日本酒の利き酒ならぬ ‘利き七味’ である。
はたして結果はどうであったか。わたしの鑑定結果は以下の通り。
七味家の七味は香りと辛みが渾然一体となった旨さ。やげん堀は香ばしさが立った味。八幡屋磯五郎は上品な香りのあとにしっかりした辛みがくる。
もちろんこれはわたしの私見。お新香でなく焼き鳥であったり、熱いうどんであったりしたら、評価はまた違うものになったかもしれない。
また実際のところ、七味をあれこれ続けて味わっているうちに、舌が麻痺してきて、何が何だか分からなくなってきたというのも正直なところである。
そんな状況ではあったが、結論めいたことをいうと、今回わたしはやげん堀の香りの高さにいちばん心ひかれた。
七味の材料にプチプチした歯触りの素材(麻の実か)も入っていて、噛んでいても楽しかった。
こんど七味が切れたら、やげん堀を買おうと思っている。今回の味比べでたくさん買ったので、当面切れそうにないが……。