興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

日本の三大七味を味わう

2025-03-11 | 随感・偶感・歳時感

日本三大七味を買いそろえた。 

 

上の写真左から長野・八幡屋磯五郎、真ん中が東京・やげん堀、一番右が京都・七味家。それぞれの七味が日本の三大七味といわれている。

 

なぜそろえたのかというと、自分で実際にこの三者の味比べをしてみたくなったからだ。

日本の七味のベストスリーというからには、どれも美味しくないわけがないだろう。でも、ほんとうのところどれがいちばん美味しいのだろう。

 

また、七味は唐辛子のほかに山椒、陳皮、胡麻、生姜など、7種ほどの香辛料を使っているようだが、店によってその材料と配合割合が違うという。ということは三者で味、香り、辛さにどういう差があるのだろう?

 

興に駆られたわたしは、次第に居ても立ってもいられないような気持になり、自分で実際に食べ比べをすることにした。

 

八幡屋磯五郎はすでに持っていたので、あとの二つを購入。やげん堀は昨年秋、浅草に行った折、新仲見世本店で買い、七味家は京都の本店から通販で入手した。

 

八幡屋磯五郎は十数年前長野・善光寺前の本店で買って、以来長く愛用している。(中味の詰め替えは近くのスーパーで買える)

 

 

 

 

 

   

味比べは、お新香(糠漬け)に七味を少しずつ付けて、違いを見きわめることにした。(上の写真)

 

白い皿の上に出した七味は、左から七味家(やや黒っぽい)、真ん中がやげん堀(茶色)、右が八幡屋磯五郎(赤みが濃い)

それぞれを少しずつキュウリ、ナスなどの糠漬けに付け、香りを嗅ぎ、ゆっくりかじってみた。

ワインのテイスティングならぬ七味のテイスティング。日本酒の利き酒ならぬ ‘利き七味’ である。

 

はたして結果はどうであったか。わたしの鑑定結果は以下の通り。

 

七味家の七味は香りと辛みが渾然一体となった旨さ。やげん堀は香ばしさが立った味。八幡屋磯五郎は上品な香りのあとにしっかりした辛みがくる。

 

もちろんこれはわたしの私見。お新香でなく焼き鳥であったり、熱いうどんであったりしたら、評価はまた違うものになったかもしれない。

 

また実際のところ、七味をあれこれ続けて味わっているうちに、舌が麻痺してきて、何が何だか分からなくなってきたというのも正直なところである。

 

そんな状況ではあったが、結論めいたことをいうと、今回わたしはやげん堀の香りの高さにいちばん心ひかれた。

七味の材料にプチプチした歯触りの素材(麻の実か)も入っていて、噛んでいても楽しかった。

 

こんど七味が切れたら、やげん堀を買おうと思っている。今回の味比べでたくさん買ったので、当面切れそうにないが……。