興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

「妖怪道中三国志シリーズ」創刊!

2016-03-20 | 時には芸術気分

「妖怪道中膝栗毛シリーズ・全7巻」(あかね書房)が昨年大好評のうちに終わり、ファンの熱い要望に応えて、新しく「妖怪道中三国志シリーズ」が創刊されました。

新シリーズの第一巻は、

『妖道中三国志・1 奪われた予言書です。

舞台は前シリーズの江戸時代から、なんと西暦三世紀の中国、三国時代に一気に飛びます。

登場するのは同じく、蒼一、夏実、信夫の三人。

今回三人は、信夫の祖父で歴史学者の佐山博士が、‘予言書’といわれる幻の歴史書、『幻書三国志』の原本を発見したことをきっかけに、三国時代に行くことになります。

『幻書三国志』中の「赤壁の戦い」の巻が、三国時代から来た妖怪と思われる男に盗まれ、歴史が塗り変えられてしまう恐れがあったからです。

秘密の使命を帯びた蒼一たちは三国志の世界に入り、天才的な軍師、諸葛亮孔明や天下無敵の豪傑、張飛などに出会います。そして、とんでもない事件に巻き込まれていきます。

 

 

 

 

作者、三田村信行氏の筆はますます快調。画家の十々夜(ととや)氏の臨場感あふれる絵とともに、読者を物語の世界にぐいぐい引き込んでいきます。

「三国志」の時代背景や登場人物、歴史的に有名な出来事も、ストーリー展開の中で分かりやすく説明が加えられています。

おもしろく読んで歴史通になれる一冊です。

定価(本体1,200円+税) あかね書房
http://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251045218


加藤登紀子50周年記念コンサート

2015-06-07 | 時には芸術気分

加藤登紀子さんのコンサートに行ってきました。(6月5日、サンシティ越谷市民ホール)

「百万本のバラコンサート with ラトビア・リエパーヤ交響楽団」です。

家内に半ば無理やり ‘お供’ させられたのですが、結果的にわたし自身、心から楽しんでくることができました。


歌もさることながら、加藤登紀子さん、‘語り’ がとても上手かった。話し方に肩肘張ったところがまったくなく、自然で、内容にも味がありました。

「人生とは、とどのつまり、愛だ」

とさりげなくおっしゃったのに、とりわけ深く共感しました。

例えば、「百万本のバラ」に歌われた孤独な画家の無限の愛、それがずっと長く、聴く者の心に響いてきたのでしょう。

“愛の讃歌”(今回のプログラムにもありました)、・・・それは歌手生活50年を迎えた加藤さんの歌の基本テーマであるにちがいありません。

 

 

 

 

リエパーヤ交響楽団はバルト三国の一つ、ラトビアから来たオーケストラです。

なぜわざわざラトビアから来たのかというと、「百万本のバラ」の原曲がラトビアで生まれたからということのようです。

総勢20名ほどの小編成のオーケストラなのですが、ほとんどが女性で、驚いたことにみなさんとてもきれいな方々ばかりでした。
背が高くスマートで、小顔で鼻が高く、目がパッチリの、お人形さんみたいなヴァイオリン奏者もいましたよ。


凛とした指揮姿

2015-04-06 | 時には芸術気分

昨日はサントリーホールに、オーケストラを聴きに行ってきました。

日本フィルハーモニー交響楽団です。

指揮は西本智実さん、ピアノは若林顕(あきら)さん。曲目は、

・チャイコフスキー:オペラ《エフゲニー・オネーギン》より「ポロネーズ」
・ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(ピアノ・若林顕)
・チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調

のロシアン・プログラムでした。

幸いにも今回はS席・前から7列目のよい席で、楽団員の表情から指揮者の動きまで間近に見てとることができ、とても興味深かったです。(演奏も大変よかった)

まず、指揮者の西本智実さん。 美人である上に表情も凛としていて、体型もスマートな方ですが、それは少し置いといて、ともかく指揮姿がとても‘決まって’いました。

動きが多彩で大きく、体全体で指揮をしています。テンポ、強弱だけでなく、オーケストラ各パートへの細かい指示もあるのでしょう。
強奏時には腕を大きく振るため足を踏ん張る、その踏み出しのドスッという指揮台での音まで聞こえてきました。

ともあれ、その指揮の流れのどの一コマをとっても、きっと絵になるだろうなと思わせてくれる指揮ぶりでした。時折顔にたれる髪をかき上げる、その所作までサマになっています。

西本さんはおそらく、指揮そのものとともに、指揮する姿が観客からどう見えるかにも周到な配慮を払っているにちがいありません。

 

 

 

この方が西本智実さん。

写真もプロに撮らせ、吟味して出しているのでしょうね。(事務所の意向かもしれませんが)


コンサートマスターは、若いきれいな女性でした。千葉清加(さやか)さん。肩書は「日本フィル・アシスタント・コンサートマスター」。

コンサートマスターは、一曲めの演奏の開始時、楽団員全員が舞台に揃ってから、ヴァイオリンを手に、おもむろに登場します。
会場から初めて拍手がわきおこります。

千葉さんは第一ヴァイオリンの一番前(指揮台の脇)の自分の席まで来ると、そこで立ち止まり、笑みを浮かべながら会場に一礼しました。

なんてチャーミングな人でしょう。きれいというより、かわいい感じの人でした。会場からはまた大きな拍手。

ついでながら、コンサートマスターのすわるイスは別格なのですね。
ほかの楽団員たちは普通のパイプイスなのですが、コンサートマスターのイスは、脚と背もたれが黒塗りで、すわるところが濃い赤(小豆色)の革張り(たぶん)です。

サラリーマンが出世すると肘付きイスが与えられ、さらに出世すると背もたれが高くなる、あれに似ていなくもありません。
コンサートマスターになるのは大きな出世なのでしょうか、それともまた違う意味があるのでしょうか。

それはともかく、千葉さんはこのあと、立ったままコンサートマスターとしてオーケストラ全体のチューニングをリードし、それが終わるとその特別なイスに腰を下ろしました。

そして、ここでいよいよ指揮者の登場ということになるわけです。


しばらくぶりで聴いたオーケストラの生の音、とても迫力がありました。

「チャイ五」(チャイコフスキーの交響曲第5番)の最終楽章の盛り上がりに思わず引き込まれてしまいました。
もちろん、西本さんの指揮がよかったからです。

「パガニーニ・・・」を弾いたピアノの若林顕さんもいい演奏でした。打鍵が強靱で歯切れがよく、オーケストラの強奏にも負けない音を出していました。

ただ、わたしの好みから言えば、有名な第18変奏のピアノのソロパーツでは、もう少し弱音を効かせ、より繊細な味を出してほしかった。これはあくまでもわたしの感覚です。

最後の曲、チャイ五が盛り上がって終わり、観客の鳴りやまぬ拍手に応えて演奏したアンコール曲は、チャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレ。

オーケストラの弦楽器群だけで演奏されたこの曲の、その美しさに、わたしは思いがけず、目頭が熱くなってくるのを覚えました。

アッという間の二時間。十分に楽しむことのできた演奏会でした。


妖怪道中膝栗毛シリーズ、6、7巻 好評発売中!

2015-02-17 | 時には芸術気分

大好評のエンタテイメント児童書「妖怪道中膝栗毛シリーズ」です。

今回は一挙に第6巻と第7巻をご紹介します。

第6巻道中膝栗毛 陸(六) 時空をこえて魔鏡マジック

第7巻道中膝栗毛 漆(七) 旅の終わりは妖怪ワールド(完結編)

(いずれも、三田村信行・作 十々夜(ととや)・絵 あかね書房・刊)

100年後の未来から、タイムマシンを使って江戸時代に逃亡した大妖怪、山ン本(さんもと)五郎左衛門

その五郎左衛門を追って、同じ未来から江戸時代にタイムスリップした小6の蒼一夏実信夫の三人。

三人はこの6、7巻でも、引きつづき五郎左衛門の動向を把握する目的で五郎左衛門を追い、妖怪「大寄合(おおよりあい)」が開かれる京都を目ざします。
(少し遅れて、夏実の叔父で妖怪研究の第一人者、大河原博士も登場) 

第6巻では、この巻の山場で五郎左衛門と妖怪・青坊主が、妖怪のボスの座をかけ、手に汗にぎる決闘をくりひろげます。

第7巻では、全国から妖怪を集めて京都で開かれた「妖怪大寄合」が、途中大荒れに荒れることになり、また、そのあと大河原博士は夏実たち三人に、驚きの秘密を明かします・・・。

奇想天外・摩訶不思議な妖怪アドベンチャー物語。子ども向けとはいえ、大人もぐいぐい引き込む良質なエンタテイメント。
これを読めばあなたも、すばらしい“妖怪ワールド”に、たっぷり浸れること請け合いです。

お子さん、お孫さんへのプレゼントには小学校3、4年生からが目安。これまでの全7巻一冊一冊が、それぞれ独立した物語としても楽しむことができます。

*「妖怪道中膝栗毛シリーズ」ラインナップ
 (1) 旅のはじまりは タイムスリップ
 (2) よろずトラブル 妖怪におまかせ
 (3) 旅はみちづれ 地獄ツアー
 (4) 船で空飛ぶ 妖怪クルーズ
 (5) 夜の迷路で 妖怪パニック
 (6) 時空をこえて 魔鏡マジック
 (7) 旅の終わりは 妖怪ワールド
  定価は各巻とも1,200円+税 

http://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251045164
http://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251045171


評論家の功罪

2015-02-14 | 時には芸術気分

オランダ出身の世界的名指揮者、ベルナルト・ハイティンク(1929~)のことを、わたしは長いあいだ誤解していた。凡庸な指揮者であると・・・。

最近、ハイティンクのCDを2枚立て続けに買った。ハイティンクのレコード・CDをわたしが買ったのは初めてである(マーラー4番、シューマン1~4番の交響曲)。
聴いてみると、どれもなんとすばらしい演奏であることか。

曲の流れが自然で、奇を衒うところのない堂々とした演奏である。それでいて緩急・強弱が自在。間合いも絶妙。名門オーケストラ(コンセルトヘボウ)を完全にコントロールしている。
凡庸どころか、名人の技だ。

なぜ長いあいだわたしがハイティンクを凡庸な指揮者と思っていたか。それは、かつての‘音楽評論家’たちのレコード評による影響が大きいと思っている。

わたしがクラシック好きになった数十年前、中・高生の頃である。小遣いの少なかったわたしは、ほしい曲の‘決定盤’を選ぶのに、レコード評の載った本や音楽雑誌によく目を通したものだ(ほとんど立ち読み)。
そこにあった音楽評論家たちのハイティンク評は、総じて「個性に乏しい、地味である」というようなものであった。

自分でレコードを聴き比べる機会もなく、ラジオのクラシック番組にかじりつくほかは何の情報もなかったわたしが、それに影響されないわけがない。

その後社会人となり、わたしは忙しさもあって長いことクラシック音楽をじっくり聞かなかった。それが数年前から、また音楽鑑賞の世界に首を突っ込むようになり、そこで知ったのは、かつてとは様変わりしたクラシック音楽界であった。

新旧交代が進み、若い、新しい指揮者たちがどんどん世界の主要オーケストラを振っている。数十年前に青年だったハイティンクは、いまでは立派に大家の一角を占めている。

考えてみればそれは至極当然のことである。ハイティンクは超一流オーケストラ、アムステルダム・コンセルトヘボウの音楽監督・正指揮者を20年以上も務めたのをはじめ、半世紀の長きにわたって世界の第一線で活躍してきているのだ。
つまり実力を実績で証明してきたのである。凡百の評論家が口をはさめる世界ではない。

これからは、わたしは彼のブラームスやチャイコフスキーなどもゆっくり聴いてみようと思う。

ところで、一般論として言うと、わたしは評論家というものをあまり信用していない。わたしの関わった仕事(出版)の中でも、それはつねづね感じてきたことである。

「言うは易く、行うは難し」というが、評論の世界も同じではないだろうか。「批評は易く、実践は難い」のだ。評論家には、‘上から目線’で作品とその作者(実践者)を簡単に批評するのでなく、もっと広い視野から、真に優れた実践と優れた才能を見出だし、光を当ててほしいと思う。
2015.2.14

*上の写真のCDは、左がマーラーの交響曲第4番(Avro-輸入盤)、右がシューマンの交響曲1~4番他(DECCA・2枚組)。(いずれもハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)


バッハ、ガヴォット、パールマン

2014-12-06 | 時には芸術気分

バッハ、ガヴォット、パールマン・・・これはいわば、わたしにとっての“巨人、大鵬、卵焼き”(古いなあ)です。

といっても興味のない方には、何のことか分かりませんね。

念のため説明しますと、「ガヴォット」とここでいうは、バッハの作曲したヴァイオリン独奏曲。
「パールマン」とは、ヴァイオリニストのイツァーク・パールマンのことです。

上の写真のCDは、そのパールマンの演奏する「J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ(全曲)」。
ガヴォット(Gavotte en Rondo)はこの中の一曲です。

パールマンの卓越した演奏技術と自然なリズム感覚、豊麗な音色(録音も良い)は、今年わたしが買ったCDの中でも、わたしにとってのベストワンです。

音量をしぼって聞くと手元の作業のじゃまにならないので、ガヴォットだけでなく、今、BGMのように全曲をかけ流して聞いています。


「日本 国宝展」に行ってきました

2014-10-25 | 時には芸術気分

上野の東京国立博物館で今開催されている、「日本 国宝展-祈り、信じる力」を観にいってきました。

花より団子、美術より美酒のわたしですが、たまには文化の香りにも触れようというわけです。 

 

 

 

 

会場はとても混んでいて、展示数も多く、あとで「国宝展」以外の展示も慌ただしく見ましたので、正直なところたいへん疲れました(4時間近くもいました)。

でも、日本の文化財の‘粋(すい)’を直接目の当たりにできたことは、得がたい機会であったと思います。
(図録を買ってきたので、夜、ブランデーでもすすりながら、展示を思い出しつつ、じっくりと美の世界に浸ることにします)


「国宝展」以外で興味深かったのは、同時開催の「東アジアの華・陶磁名品展」でした。
日本、中国、韓国の陶磁の名品が、ほどよい数で(全部で45点)年代順に展示されていました。


東京国立博物館ニュース2014.10-11より

そのなかで、日本の縄文期の「火焔型土器」は、わたしの故郷、新潟県長岡市で出土したものです。

その複製(拡大されたもの)は、昔、新潟国体の聖火台にも使われ、小さいころから見てきましたが、本物を見たのは今回が初めてです。
(複製はたしか、今も新幹線長岡駅のホーム下コンコースにあります)

わたしが今回実際に見た火焔型土器の現物は、意外にも高さ40センチくらいの、たいへん小さなものでした。

火が燃え上がるようす(炎)を形にして、縁に飾ったこの鉢は、いったい何に使われていたのでしょう。
水や食料の入れ物としてか、あるいはそのまま飾り物としてか。ともあれ縄文人の創作力と、デザイン感覚には脱帽です。

韓国陶磁のコーナーにあった「青磁麒麟香炉」「白磁満月壺」は、今、たまたま読んでいる韓国の国宝の本に出てきたものでした。
それが突然目の前に現れたものですから、とても驚き、かつ嬉しく思った次第です。

その陶磁の色合い、形、大きさ・・・現物そのものの感覚は、本からは決して得られなかったものでした。

こちらの「東アジアの華・陶磁名品展」は、「国宝展」のように大勢の人で混みあっているということはありませんでした。
ゆっくり観ることができるので、おすすめです。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1678


「怪しい彼女」

2014-08-08 | 時には芸術気分

日比谷に行ってきました。

上の写真は第一生命のビル。
終戦直後、連合国軍総司令部(GHQ)の庁舎として使用された建物です。

69年前、連合国最高司令官のダグラス・マッカーサーもここに出入りしていたのですね。

建物の前を通ると、人気のない厳めしい正面入り口の雰囲気には似つかわしくない小さな看板がありました。
見ると、郵便局、喫茶店、美術館が中にあるようです。

ふと、入ってみようという気になりました。
「コーヒーでも飲もうか」
こんな歴史的な建物に入れる機会など、そうそうあるもではありません。

まさかGI(ジーアイ・アメリカ兵)が走りよってきて、誰何され、尋問され、拘束され、連行されることもないだろうと開き直り、不安より好奇心を優先させました。

中に入ると高い天井の広いエントランスが目の前に開けました。立派な建物です。
奥に守衛さんが一人いるだけでした。

正面奥にドンと、2階、3階に通じる昇り降り並列のエスカレーターがあって、建物の豪華さを演出していました。

緊迫感はまったくなく、わたしに近づき詰問するGIも官憲もいませんでした。(アタリマエダ)

 

 


 

1階にあった喫茶店dl.café(ディーエル・カフェ)です。

ここでコーヒーを飲んできました。一杯250円。意外に安かったですね。

 

 


 

外に出ると、道路に、

 本日は安全日です!

という電光掲示板が見えました。

「何のことかな」
と思ってよく見ると、安全日のまえに「交通」の文字が見えました。

でも、「本日は交通安全日」といっても何のことか分かりませんね。
今日は事故の心配のない日、ということではないですよね。(コレモアタリマエダヨ)
 

このあと近くの「かごしま遊楽館」(鹿児島県のアンテナショップ)に行って、焼酎を1本買い(「さつま島娘」一升ビン)、本日のメイン、TOHOシネマズみゆき座に向かいました。

韓国映画「怪しい彼女」を観るためです。

 

 

 



「怪しい彼女」、これはとてもおもしろい映画でした。

70歳ほどのハルモニ(年配の女性)が20歳ほどののアガシ(お嬢さん)に突然戻ってしまうお話です。
荒唐無稽と言うなかれ、とてもリアリティのあるお話でした。
いっぱい笑って、いっぱい泣いて帰ってきました。

韓国語の話し言葉の語感がよく聴き取れれば、70歳の口うるさい老女の口調そのままで20歳の若い女性がしゃべりまくるという面白みがよく分かったにちがいありません。
それがこの映画の魅力の一つであったようです。





 

 

 

 

映画の余韻を反芻しながら、淡路町の「神田まつや」へ。

天ぷらそばをいただいてきました。


たのしみは・・・

2014-08-04 | 時には芸術気分

きょうは、江戸末期の歌人、橘曙覧(たちばなあけみ)の「独楽吟」(五十二首の連作)の真似で、一つ歌を作ってみました。

たのしみは夏の夕の風呂上り扇風機の前に涼むとき


猛暑止まぬここ数日、‘涼む’には風呂上り、扇風機の前、というシチュエーションが一番です。

 

ご参考までに、ご存知の方も多いとは思いますが、橘曙覧の「独楽吟」には、以下のような歌があります。

○たのしみは常に見なれぬ鳥の来て軒遠からぬ樹に鳴きしとき
○たのしみは客人(まろうど)えたる折しもあれ瓢(ひさご)に酒のありあえる時
 

たのしみ、楽しみ、愉しみ・・・質素でささやかな暮しの中に、興趣、味わいのある面白みを求める心は、本ブログの精神と軌を一にするものであります。


これからも余白流「独楽吟」を拙ブログでアップしていきたいと思っております。


大宮駅西口夕景

2014-05-10 | 時には芸術気分

JRの大宮駅西口を出たところです。

20年ほど前はこの西口を出ると、飲食店の多い、温もりのある商店街が雑然と続いていたのですが、今は再開発が進み、上のようにすっきりと、きれいになりました。

大都会の様相です。

あの、たくさんあった居酒屋はどこにいったのでしょう?

 

 

 



昨日は、大宮駅西口にあるソニックシティ大ホールに、オーケストラを聴きに行ってきました。

日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会です。

曲目はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と、ラフマニノフの交響曲第2番。
(指揮:山田和樹、ヴァイオリン:成田達輝)


やはり生の演奏は迫力が違いますね。音が鮮明で、最強音がびっくりするほどダイナミックです。
わたしの‘お目当て’はラフマニノフの第2番だったのですが、‘交響楽’の多彩な響きを堪能してきました。


また、曲目を選んで、生の演奏を聴きに行こうと思います。


ユジャ・ワンとアバド

2014-05-07 | 時には芸術気分

今、ピアニストのユジャ・ワンに注目している。

中国出身、27歳の女性ピアニストである。

とにかく上手い。
難しいパッセージを軽々と弾きこなすかと思えば、ゆったりしたフレーズも最上の間合いで美音を奏でる。

上のCDは、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」と、同じくラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」のカップリング。

「パガニーニの主題による狂詩曲」は、ご存知の方も多いと思うが、この中の第18変奏がとくに有名だ。
昔、NHKラジオの音楽番組「立体音楽堂」でも、この部分が番組テーマ曲として使われていたのを、今でも記憶している。

ピアノとオーケストラで表現されるこの美しい旋律は、この曲を知らない人でもどこかで聞いたことがあるにちがいない。

 

 


オーケストラを指揮しているのは現代最高の指揮者の一人、クラウディオ・アバド。オーケストラはマーラー・チェンバー・オーケストラ。

アバドはユジャ・ワンのピアノ演奏にていねいに寄り添いながら、曲全体をきっちりとまとめ上げている。
 

カップリングの「ピアノ協奏曲第2番」も熱のこもった名演だ。このCDは、ベテランと新鋭の幸福な出会いがもたらした貴重な一枚といっていいであろう。

 

 

 

ところで、このクラウデディオ・アバド、今年の1月に、世界の音楽ファンに惜しまれつつこの世を去った。享年80。

現代のクラシック音楽界を代表するマエストロの逝去に、わたしもこの機会に遅ればせながら、心より哀悼の意を表する次第である。


国立西洋美術館の絵はがき

2013-08-07 | 時には芸術気分

先日、上野の国立西洋美術館絵はがきを買ってきました。

今はEメールが一般的な時代とはいえ、手紙やはがきも時にはいいものです。
とくにちょっとした礼状には、絵はがきが一番です。


わたしは絵はがきを観光地でよく買いますが、美術館で買うのも好きです。
これまで小布施の北斎館や静岡の芹沢銈介美術館、新発田の蕗谷虹児記念館、酒田の土門拳記念館などでも買いました。


美術館のなかでも、この国立西洋美術館の絵はがきが気に入っています。
たまたま地方に行った時に買うのとは違って、国立西洋美術館は比較的近いので、今回のように思い立てば都心に出た折などにも行くことができます。

ここの売店には、常設展で展示されている世界に名の通った歴史的名画が、きれいな絵はがきになって売られています。
ついでに常設展を見てくれば、一挙両得というわけです。


上の写真にあるのは、モネの「睡蓮」や「舟遊び」、ヘームの「果物籠のある静物」、ミレーの「春(ダフニスとクロエ)」などですが、今回は常設展で初めて見て感動したウィリアム=アドルフ・ブーグローの「少女」も買ってきました。(写真上段真ん中)

「少女」は、そのリアルな質感とみずみずしさがすばらしい。
肌のやわらかさと透き通った目の透明感は、少女がまさにそこに生きているようです。

一瞬の を、無機質のキャンバスに絵の具で表現し永遠に閉じ込めた。そんな感じがしました。

絵はがきとして使って、出してしまうのがもったいないくらいです。

 

 

 

 


ところで、綾部竹之介という人が明治時代に書いた『立身談片』という本のなかに、

「書状は成るべく短く記すべし、返書は成るべく早く差出すべし」

という、いわば処世訓があります。
比較的手軽に書くことができる絵はがきは、「短く書き、早く出す」のにぴったりですね。


わたしは昔から、まめに手紙やはがきを書くほうではありませんでした。
この『立身談片』を、もっと若いときに読んでおけばよかったなあ。 そうすれば、‘立身出世’したかもしれない。

http://collection.nmwa.go.jp/P.2008-0004.html


ベートーヴェンがいっぱい

2013-08-03 | 時には芸術気分

アンドレ・クリュイタンス指揮、ベルリンフィルのベートーヴェン交響曲‘全集’です。

九つの交響曲のほか、「フィデリオ」「エグモント」「プロメテウスの創造物」各序曲まで入ったCD5枚組の本格セット。(フランスEMI版)

二か月ほど前、新宿のタワーレコードで買いました。


全集を買うつもりはありませんでした。昔から名盤として名高いクリュイタンス=ベルリンフィルの田園(ベートーヴェンの交響曲第6番)が欲しかっただけです。
ところが店頭にはその単発CDはなく、同じコンビのこの全集があったのです。

値段を見て驚きました。なんと、セット価850円ではありませんか。CDは1枚でも850円であれば、いわば破格の安売りです。

(このなかの第6番は、はたしてその評価の高い演奏と同じものだろうか?)
という問題意識が、わたしのなかに芽生えました。
(だとすれば、これはすごく得ではないか。ほかの交響曲もいっぺんに手に入る)

店員さんにそのことを聞くと、
「おそらく同じ音源でしょう。EMIは形を変え、何度か発売していますから」
とのことでした。

また値段が安いのはタワーレコードの販売戦略で、同じCDを途中から値下げすることはママあるのだそうです。


同じ音源であったかどうかは別にして、この全集のなかの田園は、わたしにとって大変満足し得るものでした。
雄大で緩みがなく、全体に温かみが感じられます。録音も1960年ごろのものとは信じられないほど良質でした。

前から持っていたスウィトナー=ベルリン・シュターツカペレ盤、カルロス・クライバー=バイエルン国立管弦楽団盤の田園よりも、このクリュイタンス=ベルリンフィル盤のほうがわたしの好みに合います。
まさに期待通りの演奏でした。(他の交響曲、管弦楽曲もすべて最高にすばらしい!


したがってわたしはこの二か月間、‘田園生活’ を楽しんでいます。


「迷路絵本」の決定版登場

2013-06-17 | 時には芸術気分

世界の迷路を訪ねる大判迷路絵本が発売されました。

迷路の秘密図鑑 (SECRETS OF THE MAZE)

 (エイドリアン・フィッシャー & ハワード・ロクストン/著 北村孝一/訳 青娥書房)

この絵本は、有名なロンドンのハムトンコート生垣迷路(イギリス)やシャルトル大聖堂の舗石迷路(フランス)をはじめ、古代の迷路から驚異的進化を遂げた最新迷路まで、世界に実際にある迷路を美しい写真とともに詳しく紹介しています。

それぞれの迷路には真上から見て模写した鳥瞰イラストが添えてあり、読者が実際に自分の指で辿ってみることができます。

 

 

 



迷路で遊びながら、個々の迷路の由来や特徴、さまざまなエピソードにも触れることができます。

発見と驚き! 迷路の魅力と不思議をふんだんに盛りこんだ‘迷路絵本’の決定版です。
 

著者のエイドリアン・フィッシャーは、みずから世界30か国で500以上の迷路を実際に造ってきている迷路デザインの第一人者です。

http://www.manabook.jp/seigabook/saisinkan.htm#

http://www.amazon.co.jp/%E8%BF%B7%E8%B7%AF%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86%E5%9B%B3%E9%91%91-%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC/dp/4790603024


妖怪道中膝栗毛シリーズ、第5弾発売!

2013-06-09 | 時には芸術気分

大好評「妖怪道中膝栗毛シリーズ」の第5巻が発売されました。

道中膝栗毛  夜の迷路で妖怪パニック
 
 (三田村信行・作 十々夜(ととや)・絵 あかね書房・刊)
 

大妖怪・山ン本(さんもと)五郎左衛門を追って、
江戸時代にタイムスリップした 蒼一、夏実、信夫 の三人。

今回は、伊勢神宮のお供えを食べて無人島に封印された
巨人妖怪・ダイダラボウ の封印を解くため、
夏実を人質として島に残し、蒼太と信夫が、前巻で合流した
夏実の叔父で妖怪学者の 大河原博士 とともに、
ダイダラボウのお札を納めに伊勢神宮に向かいます。

旅館のご隠居ばあさんに化けた「妖怪・猫又」
無人島でダイダラボウと張り合う「妖怪・人面蜘蛛」
蒼太たちから大切なお札を盗んだ「お札なめ蛞蝓(なめくじ)妖怪」

今回も、息をもつかせぬ展開です。

http://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251045157