先日、信濃町で「めし処(どころ)」の看板を掲げた店を見つけました。
「食堂」でも、「定食の店」でもなく、「めし処」。
長い歴史を感じさせます。戦後にできたのでなく、もっと前からあるのかもしれません。
店構えも木造の板張りを活かしていて、鉄筋コンクリートに建て替えたとき、それまでの店の雰囲気を残そうとしたのでしょう。
‘庶民の店’ であることを強調したかったのでしょうか。
でも、入り口わきのメニュー看板を見ると、小洒落ていて、昔ながらの大衆食堂の感じではありません。
さすが東京都心部の店だなあと思いました。
昔、西東京市の、とある小さな「定食の店」に入ったときのこと、煮魚(何だったか忘れました)定食を注文し、燗酒も一本たのむと、
「ご飯もいっしょにつけますか? 後にしますか」
と聞かれました。
まず煮魚で一杯やって、そのあと味噌汁とお新香でご飯を食べる形にするか、ということなのですね。
そのほうが、温かい味噌汁に温かいご飯を食べることができます。
周りを見ると、そんなスタイルで飲っているおじさんが何人かいました。
店の主人や奥さんと親しく話している人や、新聞を広げている人もいて、常連が多いようでした。
独り暮らしの人にとっては、きっと家庭に帰ったような気持ちになれる店なのでしょう。
この信濃町のめし処も、そんな ‘ご飯後出し’ サービスをやってくれるのでしょうか。