興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

精密機械技術の粋

2018-12-24 | 随感・偶感・歳時感

写真左は、30数年前に買ったセイコー(SEIKO)の腕時計KS(キングセイコー)自動巻き。

右はこれもやはり30年近く前に、会社の永年勤続表彰でもらったセイコーの腕時計(電池式)

わたしはこの永年勤続表彰でもらった時計が、時間も非常に正確だし、気に入って、この30年、外出時はほとんどこちらをはめていた。
KSのほうは、バンドを黒にして、弔事の際のみに使っていたのである。

ところが先日、それではもったいないと、ふと思った。なにしろKSはGS(グランドセイコー)とならんで、むかしからセイコーを代表する高級腕時計であり、精密機械技術の粋を極めた名品なのだから。

わたしは自分が今からあと何年、腕時計をはめて元気に外出できるかは分からないが、最後まで、普段使いの愛用時計として十分に使ってやらなければ、何か申し訳ないような気になった。

そこで2か月ほど前、まずは一度分解掃除をしてもらおうと、池袋のデパートの時計コーナーに出かけた。
そこで応対してくれた人に分解掃除(オーバーホールというらしい)の料金を訊いてみると、なんと四万七千円ほどかかるという。
わたしの予想していた金額の十倍である。

KSは今はもう新しく造られておらず、メーカーのアフターサービスも終わっていて、やむをえないことのようだった。

ほんとうは内部の汚れを落として、歯車の軸受けなどに新しい潤滑油を注すと、さらに時計寿命が延びるらしいのだが、四万七千円とは・・、ちょっとそこまでの費用はかけられない。
やむなく、古くなって破れかけてきたバンドだけを新しくして、帰ってきた。

ところで、そのデパートの時計コーナーでは、腕時計の正確さがその場ですぐにチェックできると応対の人が言うので、このKSをお願いしてみた。
5分ほど後ろのカーテンの奥に入っていたその人が出てきて言うには、この時計は文字盤を上に向けた静止状態で、一日に2秒進むだけだという。

機械自体の経時劣化もあるだろうに、30数年たってもその品質が衰えていないというわけだ。さすがKSである。
2018.12.24