興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

“箸先 なめなめツマミ” の世界

2021-03-10 | 美酒・美味探訪

これは鶏レバーのレバーペースト。

貧血気味のわたしにと、家内が作ってくれた。

レバーペーストはふつう、トーストにぬったりフランスパンの薄切りにのせてワインのツマミにしたりするが、ワインを嗜まないわたしは日本酒のツマミにしてみた。

 

 



レバーペーストをそのまま少し箸先に取って、なめるように味わう。
旨みが口の中に広がったところに、ぬる燗を流しこむ。

このたとえようもない美味しさ。酒飲みの至福ここに極まれりである。


酒の肴やツマミには、このように箸先で少しずつ取りくずし、噛むというよりなめながら食べるものが少なくない。

 カニ味噌
 練り雲丹(粒雲丹)
 いかの塩辛
 このわた、うるか、酒盗など魚介類の塩辛
 たらこや明太子(火を通さないもの)

珍しいところでは沖縄の「豆腐餻とうふよう・豆腐の発酵食品)」がある。
蕎麦の神田まつやで酒といっしょに出す「蕎麦味噌」も、この仲間といっていいかもしれない。

これらの ‘箸先で少しずつ取って、なめなめ味わう酒の肴’ を何と総称するかは知らないが、とりあえず “箸先 なめなめツマミ” と呼んでおこう。

 

 

 

   

ところでこれを書いていてわたしは、昔、雑誌「サライ」が「正統派 酒の肴」という特集を組んでいたのを思い出した。(「サライ」1995年4月6日号の特集「正統派 酒の肴」)

(そのころサライを愛読していたわたしは、興味ある記事の載った号の当該ページを外し取り、今も保存している)

その中に、詩人草野心平が好んだという「梅肉の山葵和え」(上の記事写真右上)と「梅肉のおかか和え」(中)が取り上げられていた。

これらもまさに “箸先 なめなめツマミ” の仲間といっていいだろう。

梅肉は見ただけでツバが湧き出てきそう。こんど自分でも「梅肉のおかか和え」など作ってみようと思う。

2021.3.10