prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「はじまりのみち」

2013年06月07日 | 映画
田中裕子扮する母親が病気で口がきけない設定でずうっと通し、ラストで手紙を読むイメージの声からさらに病気で弱った声を聞かせ、回想の元気な声とどんどん声が元気になっていくのが音楽が盛り上がるような劇的な効果を出す。

濱田 岳扮する便利屋が腹を減らしてカレーライス食べたいなーなんて言って食べるふりをしてみせるシーンを前フリにして、「陸軍」のラストのことを喋りだして、それが実際の抜粋映像になる工夫がいい。名前がわからない文字通り「名もない」観客代表のイメージとして出色の出来。
それがさらに木下の「破れ太鼓」で阪妻がカレーライスを食べる名シーンにつながり、さらに「野菊の如き君なりき」で主人公ふたりが夕日に手を合わせるシーンも朝日に変えて巧みに組み込んでいて、作者が本気で木下作品をレスペクトし研究しているのがわかる。

ラストで木下作品の抜粋がずらっと並ぶわけだが、その中で晩年の作品の中から「新・喜びも悲しみも幾年月」を抜き出してきて、大原麗子の母親が息子が乗っている海上自衛隊の艦隊を見送って「戦争に行く船でなくて、本当に良かった」というのも全体のモチーフにつながってくる。

欲をいうと、戦時中の軍国主義的な雰囲気はあまり出ていない、というより木下が嫌ったものは避けている感じ。
加瀬亮は一見ひょろっとした外観に相当頑固な芯がある感じを良く出した。

「陸軍」という映画全体はもちろん軍国調の国策的なシーンが大半を占めるわけだが、ラストで母親が出征する息子を追いかける長いシーンでそれまでのテーマをひっくり返してしまう、そのラストだけ抜き出してくると母親に対する思いという点では一貫するけれど、映画の中に抱え込んだ国策に従うのと反発するのと同居した葛藤は見えにくくなる。

ただ、病人を運ぶのにバスとリヤカーとどっちが大変なのだろう、とちょっと思ってしまって、欲をいうと当時のバスがどんな状態だったのか、木炭エンジン積んだバスだとちっともエンジンがかからないとかものすごく遅いとか一酸化炭素が出て大変とか知らせておく必要あったと思う。
大杉漣扮する城戸四郎が最初にちょっと出てくるけれど、城戸だったらこういう話の転がり始めにもっとうるさく言ったのではないか、と勝手に思った。
(☆☆☆★★)

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6月6日(木)のつぶやき

2013年06月07日 | Weblog

【本棚登録】『酒のほそ道 1巻 (ニチブンコミックス)』ラズウェル細木 booklog.jp/item/1/B009SJR…


【本棚登録】『テルマエ・ロマエI: 1 (ビームコミックス)』ヤマザキ マリ booklog.jp/item/1/B009727…


ソ連版「戦争と平和」第三部のボロジノの戦いを見る。荻昌弘が「もはや阿呆みたいな馬鹿でかさである」と評しただけのことはあって、ソ連軍なのだろうがこれだけの人員を動員できた体制がかって存在していたのが何か不思議なことのように思える。


「電撃脱走 地獄のターゲット」が入ってる! “@kiichiro: TSUTAYAオンデマンドの復刻ライブラリーがリクエスト復刻!ぜひ清き一票を! ow.ly/lLsEM


電子書籍でマンガ読むのにも慣れてきたけれど、画面の小ささがどうしても不満。大型テレビで見られないものかな。


成人年齢が20歳というのは、大学進学率がごく低い時期の設定という気がする。 #ss954


いや、まだ復刻されたわけではw @dortmunder_k \(^o^)/ RT @yapoono6: 「電撃脱走 地獄のターゲット」が入ってる! “@kiichiro: TSUTAYAオンデマンドの復刻ライブラリーがリクエスト ow.ly/lLsEM


しかし、実体経済で動く金より投機マネーの方が圧倒的に多いのだから、実体経済云々してどの程度意味あるかな。 #ss954


都議会議員の候補者の応援演説の招待状が来たのだが、どこの党なのか書いていない。なんじゃこりゃ。名前を出したくない…民主党か?!


INTRO | 『ヴェルディ名作オペラ映画祭』6月6日~9日、イタリア文化会館にて開催 intro.ne.jp/contents/2013/… ゼッフィレッリの「椿姫」はたしか改築前のスカラ座という一流劇場で普通のロードショー料金で見られたと思う。


で、いつ消費税上げるの? #ss954


誰だ、東北の復興で需要が増えて景気の追い風になるって言った奴は。 #ss954