prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「キングコング:髑髏島の巨神」

2017年04月02日 | 映画
怪獣映画のこれまでの積み上げをふんだんに取り込んでいるのはもちろんだが、ベトナム戦争末期に設定しているとは聞いていたけれど、これほど「地獄の黙示録」色が強いとは思わなかった。戦闘ヘリが隊列を組んで海上を飛んでいく光景って、あれ以来ではなかろうか。

そればかりかカーツの王国を思わせる石造りの建築やペイントした原住民は現れるわ、だいたいかなり濃いめの色彩までアポカリプス・ナウ調。
さらには第二次大戦の生き残りのマーロウというキャラクターが出てくるが、これは「地獄の黙示録」の原作である「闇の奥」の、映画のウィラードにあたる案内役の名前といった調子。

ジャングルを爆撃する70年代後半では実写でやっていたクレイジーな大破壊を再現し、サミュエル・L・ジャクソンの役のぶっとびようは部下を殺されて逆上したキルゴア中佐といった感じ。

宣伝では初めコングの姿をあまり見せなかったのだがだんだん増えてきて、本編はまあ最初から惜しげもなく出るわ出るわ。視角を人間のそれに極端に接近させることで、コングの巨大感や状況のわけのわからなさを出した。しかしアメリカ映画は巨大感を出すのは本当に上手い。コングのドラミングを初め、ぴしっと「決まる」カットが随所にちりばめられているのも快感。

コングばかりでなく巨大な蜘蛛やら頭が骸骨のような人食いトカゲやら気持ちの悪い連中がわさわさ出てくる。ピーター・ジャクソン版の人食いゲジゲジやヤスデの気持ち悪さは耐え難かったが、あれほどではないのは助かる。

ヒロインにブリー・ラーソンを配してあまり美女であることにコングがこだわり過ぎないように、しかし十分に美人という程度にバランスをとっている。コングは長らく男性性の象徴だったのだが、「男」というよりかなり「男の子」に接近しているみたい。
(☆☆☆★★★)

キングコング:髑髏島の巨神 公式ホームページ

映画『キングコング:髑髏島の巨神』 - シネマトゥデイ

キングコング:髑髏島の巨神|映画情報のぴあ映画生活



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