コールドスリープの途中、事故で起きてしまった男の衣食ほか娯楽も含めて生活に必要なものはすべて整備されていてもたった一人で過ごさなくてはいけないという底なしの孤独感を、「2001年宇宙の旅」ばりの分厚い金属やプラスチックの質感をありありと感じさせる見事な装置が極端に清潔な環境(ゴミを散らかしたらすぐ自動掃除ロボットが掃除に来る)を表現する。
その中でやはり「シャイニング」調のマイケル・シーンのアンドロイドのバーテンダーが登場、慇懃にして肝腎なところで人間の感情を見事にわかっていない対応を見せる。
このあたりの冷ややかな感触はキューブリック作品を意識的に再現したものだろう。
予告編からはアダムとイブみたいな話になるのかと思ったら全然違う方に進むと見せて、結構人間の原罪というかやむにやまれず犯してしまう罪、を描いている点でぐるっと回って戻ってくる感じ。
人はパンのみにて生きるにあらず、で何が次に欲しくなるのかという設定に説得力がある。
ただ、後半やたらと宇宙船が故障するもので、この旅行自体に隠された意図があるのではないかと勘ぐってしまう(「エイリアン」みたいな例もありますからね)のは困ったところ。
登場人物が極端に少ない、事実上二人だけ、ラストにあれと思うような人の顔が出てきてエンドクレジットを見るとやっぱりかと思わせるけれど、ずいぶん不思議な出演ぶり。カメオロールとも言えない。
ジェニファー・ローレンスが「ハンガー・ゲーム」の下層階級のヒロインとはうって変わってハイソで美人の作家先生を演じ、イブニングドレスから未来的なデザインの水着まで着こなしてみせる。
クリス・プラットだと一種の人の好さが柄として先に立つので、このしんどい設定でも見ていられる。
(☆☆☆★)
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