ただし、そういうのは実際にはカルトか、狂信的なのではないかと思え、いささかこの一家は映画だから共感できるようにする都合があるとはいえ常識的に過ぎる。全体に昔の「アドベンチャー・ファミリー」的な仲良しエコ家族に収めた印象。
ヴィゴ・モーテンセンだとクレイジーな世界に片足を突っ込んでいても片足は共感できる範囲に置いている感じになる。
冒頭の鹿狩りはかなりぎょっとするが、そういう「野蛮」な描写はあとは影をひそめる。
ただアーミッシュみたいにまるっきり近代的な生活を拒否しているのかというとそうでもないので、勉強は非常にしている。ただ、学校に行かない、街にも出ないで大学進学資格をどうやってとるのだろうとは思う。
一家の中ではノーム・チョムスキーがヒーローみたいになっていたりする。自身をアナキストと規定しているという9.11の時に愛国一色になったアメリカの世論に対して批判した学者ですね。
左翼的というのを含めて昔のヒッピー的生活の再生といったところだろうか。一家の母親は仏教徒という設定だが、反アメリカ的消費生活といったくらいの意味だろう。
ただ、森の生活の欠点は病気やケガをした時どうするかという対処方法が著しく劣っていることで、ケガしたら病院のお世話になるしかなく、次第に森を出ざるを得ない。
ここで金持ちの義父が出てきて、普通の生活に戻るよう圧力をかけるのは予想のつく展開。フランク・ランジェラが貫禄を見せます。
(☆☆☆★)
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