prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ブラックパンサー」

2018年03月30日 | 映画
人類誕生の地であり資源大陸であり、しかし現実には搾取の対象であり続けたアフリカに隠された最先端の技術を備えた国があって、これまではモンロー主義を通していたアメリカさながらに対外的には没交渉を貫いている、という設定が途上国と先進国、黒人と白人、アフリカとアメリカの関係を反映しながら何重ものねじれを伴っている世界観がスリリング。

現実の関係を単純に転倒させているだけでなく、黒人内部に入り込んでその中の分裂も取り込んで対立者とヒーローとの関係に反映させているのが、新しいフェーズに入った感。

戦士としての女性たちが大きな役割を果たして、単に男たちが埋めていた席をいくらか譲ったという以上のレベルに達している。

政治的な正しさに配慮しているのではなく、正しさの方を相対化している感。

アクションシーンがやたら凝りに凝ったアメコミ映画のそれに慣れた目にはやや愚直なくらいストレートな演出。

やや意地の悪い見方をすると、現実のアフリカ黒人たちにこのアメリカ製先進アフリカ像はどう映るのか、という気はする。
国別ボックスオフィスを見てもあまりアフリカの国は見当たらない。
(☆☆☆★★★)

「ブラックパンサー」 公式ホームページ

「ブラックパンサー」 - 映画.com



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3月29日(木)のつぶやき

2018年03月30日 | Weblog