「タンポポ」のようにあからさまな食と性をモチーフにしていて意外とアーティスティックな作りをしているのと対照的。
オープニング、地面の下を流れている水の音を聞こうとしている子供たちの画(それも横倒し)から始まるあたり、「伽椰子のために」のクライマックスを思わせたりして、眼には見えないつながりといったものを五感以上の感覚を働かせて感じ取ろうとしているよう。
(伽椰子といっても呪怨とは関係ないですよ、李恢成による小説は1970年、小栗康平監督による映画化は1984年、韓国の伽椰山にちなんだ名前)
企画原作脚本の筒井ともみは「それから」の脚本で漱石の原作にはない、ヒロインの八千代が百合の花を食べるというシーンを書いて完成作からはカットされたそうだが、何か通常の食に対する感覚とは違うものを持っているよう。
もちろん映画としては綺麗どころの女優さんたちが姸を競っているのが楽しみなわけだけれど(ただ正直いってとりとめのない印象も強い)、男たちの介入がかなり微弱で、ホモソーシャリティという言葉は体格系など男だけでまとまって女を入れない世界に使う印象が強い、逆にも使えるのかと思った。
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