prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ミッドウェイ」

2020年10月02日 | 映画
1976年(アメリカ建国200年ね)のジャック・スマイト監督、チャールトン・ヘストン三船敏郎主演の「ミッドウェイ」の真珠湾攻撃の後の(!)日系女性とアメリカ軍人の恋とか、「我々は運が良かっただけなのだ」というニミッツの述懐で結んだりと日本に変に猫なで声で機嫌をとっているようなむずむずするところがあったが、今回はそういうところはずいぶん薄れている。

豊川悦司、浅野忠信、國村隼といった日本人キャストもしっかりした仕事ぶり。
「パールハーバー」で富士山の麓で作戦会議を開いているなんてトンデモシーンとかいったヘンテコな日本描写はさすがにない。

ドゥーリトル爆撃は「パールハーバー」でも描いていたが、不時着した中国と中国人の描写までは踏み込んでなかった。わざわざ日本軍が中国人を殺す描写入れているのは中国資本が入っているからかと思うが、実際ははるかに大勢(25万人)報復で殺されたという字幕がラストで出てくるのを日本公開版からカットしたのだという。色んな意味で余計なことを。

昭和天皇が出てきた。シンタニ・ヒロアキという人がやっているのだが、IMDbで見ても経歴わからず。

従軍中のジョン・フォード監督(ジェフリー・ブレイク扮)が日本軍の攻撃中でもカメラを止めるなと叱咤する姿で登場するのに笑ってしまってしまう。

海と空にわたるバトル描写はエメリッヒお手のものという感じでさすがに凄い。無数の銃弾がいちいち目に見える密度が凄く、しかもほとんど当たらないわけで、戦争というのは今さらながらとんでもない浪費だと思わせる。
連射した銃身などが触ると当然ながら大火傷を負うほど熱くなるのを何度も見せる。

兵装転換に手間取っているうちに攻撃を受けて搭載されていた爆薬が一斉に誘爆するあたりは、段取りがきちんとしている分、「スター・ウォーズ」のデススター攻略みたいな感じにもなった。というか、むしろ逆か。

ローランド・エメリッヒといったらドイツ出身でもアメリカ映画以上にアメリカのカウボーイ的行動原理に乗っ取った作品を作ってきた監督だが、今回ももろにカウボーイそのもののヒーローをノッて描き出している。
ただし実在の人物というのともあってか途中からかなりおとなしくなる。

今の感覚だとアメリカが勝つに決まっているように結果から逆算して考えてしまうが、結構アメリカ側も初めは戦力不足で本気で負けるのではないかという怖れを抱いていたらしいのが面白い。
ただし実在の人物というのともあってか途中からかなりおとなしくなる。

今の感覚だとアメリカが勝つに決まっているように結果から逆算して考えてしまうが、結構アメリカ側も初めは戦力不足で本気で負けるのではないかという怖れを抱いていたらしいのが面白い。

軍服姿だとあちらのスター陣の体格のよさが目立つ。
女性キャラクターのメイクが濃くて戦後のパンパンみたい、というのはもちろん逆で、こちらが米将校夫人の扮装を真似たのだ。