笠原和夫のインタビュー本「昭和の劇」では、何とかリアリズムを戦争映画に持ち込みたくて冒頭に零戦が出撃するまでの手順をシナリオで克明に描いたのだが、映画ではあらかたはしょってしまったので頭を抱えたと語っているが、結構克明に描いているではないかとは思う。ただし、克明な割りにドキュメンタリックな感触は出ていない。
早見優があんまり垢抜けた美人なもので、戦時色もへったくれもない感じ。むしろそれを狙ったのだろうが。
零戦特撮は、ミニチュアワークとしてはほぼいっぱいいっぱいな感じだが、CGに慣れた目にはアングルに制限があるのがわかってしまう。
加山雄三の上官が、若い兵隊たちに零戦一機作る費用はおまえたちの俸給880年分に当たる、それをおまえたちに一人一機づつくれてやろうというんだ、と説く。
戦争というのは格差そのものだなと思う。