まず二人の主演者(草彅剛と服部樹咲)がまったく出自も経験も隔たりながら、マイノリティとしての孤独と、安易な同情をかけることもかけられることも拒絶するところに見せるプライド、というより己を持する最後の線を守る強さを演技というよりは自身のものとして体現しているのが見事。
なまなかな修練ではありえないバレエという表現をオリジナル脚本の中心に据えることに、どれだけの現実的な成算があったのか、まず最初から投げてしまいそうな地点を死守しぬいた脚本監督と、そこから長いことタレント商品として消費されるところから自身の意思と表現意欲へと大きく踏み出した勇気と達成を今更ながらながら称賛しないわけにはいかない。
終盤どう着地していいかわからないで先伸ばしを重ねるような冗長感があるのは残念。
終盤どう着地していいかわからないで先伸ばしを重ねるような冗長感があるのは残念。
性同一性障害が悲劇的存在一方みたいな印象を与えるうらみもなきとしない。