prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「さすらいのカウボーイ」

2020年10月13日 | 映画
ピーター・フォンダ監督主演、共演がウォーレン・オーツ。
ふたりが一緒にさすらっていたのがフォンダが里心がついてか妻子のところに戻るが、娘には父親であることを明かさない。
オーツの方が身を引く形で出ていくが、やがてふたりの旧敵と思しき奴らに囚われて来なければ殺すという報を受けたフォンダが助けに向かう。

結局、妻のヴァーナ・ブルームよりオーツと一緒にいた方がいい、という男同志でほとんどいちゃいちゃしているニューシネマでよく見る図というのは、同性愛的なニュアンスもあるだろうが、ここではもっと射程の長い、アメリカ文学でのトム・ソーヤーとハックルベリー・フィンもような女のいらない男たちと一族と思える。
助けに行く図は着流しヤクザものとも通じる。

ヴィルモス・ジグモンド(スィグモンドが正しいらしいが)の撮影が圧巻。独特の濁りが入った色彩、撫でるようなゆるやかなズームやパンなど、「ギャンブラー」「天国の門」に先立ち西部劇ひいてはアメリカ映画のルックを変えた。
ブルース・ラングホーンの音楽ともども、豊かな詩情の醸成に大いに貢献している。