神尾楓珠が幼馴染みの西野七瀬、本好きという共通点で親しくなる平祐奈、人の彼氏を横取りする癖のある馬場ふみかという三人三様の美女たちに好かれるのだが恋人関係にはなかなかならない男を演じる。
神尾の喋り方がどうかすると時代劇みたいになるくらい物々しくて浮世離れしているのが可笑しい。
平祐奈が本好きというところからして、やはり浮世離れしていて波長が合う。
平の住んでいる岡山のかなり奥まったあたりの風情がいい。
西尾が幼馴染みらしくタメ口で話し、同級生なのに「先生」と呼ぶあたりのなれなれしさとその反対のベクトルが混ざった距離感がいい。
フラットな構図でセリフのやりとりで見せる呼吸がなんともいえずおかしい。
馬場が酔ったところで神尾に目をつぶらせていきなりキスする(このエピソード、中島らものエッセイにあったが、あれが元なのかよくある手なのか)荒業の一方で突然かしこまったりするのも距離感の揺れ動きになっている。
どこまでどちらに転ぶのかなかなかわからず、終わってみると収まるところに収まった感じになる。
「光」なんてキラキラ映画みたいなパッケージだけれど、恋愛至上主義みたいな価値観とはずれていて、神尾が恋する女たちに見える光というのは男女に恋愛感情にとどまらないエロス(生命)そのものなのではないかと思ったりした。