新東宝の映画というのは当時とすると低予算らしいが、黒沢治安美術、森田守撮影の画面の質は相当高い。自前の撮影所は持っていたのは強いということか。
画面の黒い部分が本当にどす黒いという感じで、その中で吊り橋のシーンの赤い傘や白い花の色彩効果などが目をさす。
ティルトダウンしすぎて画面が上下逆さになるのも効果的。
ただ肝腎の地獄の責め苦の描写が見世物小屋みたいな単純なトリックで、グロというよりちょっと笑ってしまう。
同じ中川信夫監督の「東海道四谷怪談」の天知茂・沼田曜一の役どころが気が小さいために悪事に手に染める男とメフィスト的な怪人と現代劇と時代劇の違いこそあるがそっくり。