少年を拉致し拷問して殺す猟奇犯罪者の現実的な恐怖と、死者の霊が出てくるゴーストストーリーの超現実的な要素とを合体させたのが新鮮。
前半、暴力が横行し、いじめから逃れるには暴力に訴えるか暴力に訴える者を頼るしかないという主人公の少年を取り巻く残酷な環境がかなりがっちり描き込まれる。
このあたりの少年の世界の描き方は、原作者ジョー・ヒルの父親スティーブン・キングの一連の作品や、藤子不二雄Aの「少年時代」(原作・柏原兵三「長い道」)を思わせたりもする。
後半監禁された部屋の線がつながっていない黒電話が鳴って死者の声が聞こえてくるあたりから、死霊たちが姿を見せる(が、少年には見えない)ようになる画面の組み立てに高度な演出技術を見せ、脱出しようと悪戦苦闘してムダに終わったように見えることが終盤一気に伏線として立ち上がってくる構成も上手い。
妹が霊能を使って必死に兄を探す姿も応援したくなる。
殺人者をイーサン・ホークがやっているのだが、少年の父親役のジェレミー・デイヴィスがなんか似ているのだな。