1977年公開。
ヒロインのヒモがシナリオライター志望というあたり、脚本の荒井晴彦自身の投影かと思わせるし、作家や俳優、監督など映画関係者がたむろする新宿ゴールデン街の店のシーンの狭っ苦しい中でグチをぐじぐじ言い合う雰囲気などはいかにもそれらしい(知ってるわけではないが)。
昔の貧乏文士と女の生活を70年代に四畳半的湿度で描き直したみたい。
それにしても、コロナ以降のゴールデン街ってどうなっているのだろう。生き残っている方が不思議みたいに思えるが。
シナリオをワープロではなく、ペラ(200字詰め原稿用紙)に鉛筆で書いているあたり、これまた時代が出ている。
70年安保はとっくに過ぎ去って新宿の空気も冷めてきたみたいな時期と推察される。
狭い中でときどきクレーンアップするみたいなカメラワークを見せたりして(ロープで引っ張り上げたのか?)、音楽も沢田研二ほかそれほど使用料は安くなさそうなのが何曲もかかる割と贅沢な作り。
新宿の今では残っていないような風景と、今でも残っている風景とが混ざって出てくる。
鏡を使って裸の体を二つに切ってつなげたみたいに見せるなど、画に工夫と力がある。監督曽根中生 。