雪景色の中で鹿を追う父親の猟銃の狙いが、ふっと幼い娘に向けられる、という不穏にも程があるオープニングから、その娘が成長しても記憶がところどころすっぽ抜けているのがまたサスペンスになる。
冒頭に「この映画は強い光が点滅します」という注意書きが出るが、これが本当に強い光。映画館で見たら気分が悪くなったかもしれないレベル。
北欧の冷え冷えとした風景自体が何かを孕んでいるようなタッチ。窓ガラスに鳥がぶつかって死ぬ不自然なバードアタックは「ハッチング 孵化」にもあった。
親から離れて解放されるきっかけが同性愛というのも特別視はしていない。