「まえがき」
3年前に書いた「ニューヨーク恋物語」は
あの時は、それが精いっぱいの表現の仕方だったけれど
今、読み返すと、未熟な自分が恥ずかしくなります。

けれど今回、この物語をリバイバルさせたのは
あの頃の輝いていた自分を回想したかったからです。
写真に対しても、いつもひたむきな気持ちで撮っていたし
どんな些細な被写体をも見逃さない鋭い目があった。
今は、マンネリ化して、反省の色は濃い。

今、私のWebサイト「マドンナの夢ギャラリー」の中から
今回リバイバルさせた「ニューヨーク恋物語」の
挿絵の写真を選ぶ作業は、私的にはとても楽しい。
物語と写真は全く違う視点で撮ったにも関わらず
こうして挿絵にして置いてみると、収まりがいいのには驚きます。
そして嬉しくなる。

写真とのコラボの関係で、リバイバルの「ニューヨーク恋物語」は
少しだけ原作の言葉と違うところがありますが
「ニューヨーク恋物語2008改正版」としてお読みください。
今夜も「大沢と今日子」の世界をお楽しみ頂けると嬉しいです。
写真は上から
1 ニューヨーク5番街
2 セントラルパークのストロベリーフィールズ
3 カーネギーホール
</object>
ミューヨーク恋物語2008 BGM 愛し君へ(森山直太朗)


ニューヨーク恋物語 第2章東京編

待つという行為が
これほど長く感じたことはあっただろうか。

今日子は到着ロビーの椅子に腰を下ろして
何度も手鏡を見た。
今、一番きれいな自分で大沢に会いたいと思った。
それは今日子の女心である。
胸の高鳴りとともに何度も髪を撫で、化粧直しをした。

到着のざわめきがロビーに広がった。
今日子は席を立ち大沢を探した。
その奥からこちらに向かって歩いて来る大沢を見つけた。
大沢もまた今日子を確認した。

少しはにかんだような顔で、大沢が今日子の前に現れた。
「ただいま」と言った。
今日子は「お帰りなさい」と、笑顔で迎えた。
少し日焼けした大沢がそこにいた。
そしてやや痩身になった大沢が素敵に思えた。

大沢もまた今日子の髪が長くなったことを感じた。
大沢は髪の長い今日子が好きだった。
照れ隠しに、右手で髪を撫でる今日子のしぐさが
今でもたまらなく可愛いと思っている。
ニューヨーク滞在中、長く美しい今日子の髪を夢に見ることがあった。
夢の中の今日子はいつも笑っていた。

二人は空港の駐車場に向かった。
そこで待っていたのは、大沢の愛車だった。
愛車のレジェンドは、大沢の渡米中、今日子が使っていた。
大沢は今日子をサイドシートに乗せると、運転席に着いた。
エンジンをかけると、一年前の二人に戻った。

大沢はよく今日子をサイドシートに乗せてドライブした。
横須賀、湘南、茅ヶ崎・・・今日子の好きな海だった。

バックミラーに目をやると「雪の日のうさぎ」のマスコット。
BGMは二人が好きなユーミン。
スイッチONにすると「ANNIVERSARY」の曲が流れた。
すべて大沢と今日子の思い出に繋がってゆく。

空港をあとに高速道路を走ると
夕暮れが迫って来た。

西の空がロゼ色に染まり始めた。
これから始まる大沢と今日子の
甘い時間を祝福するかのような色だった。
その色は今日子のときめきの色でもあった。
今度は一週間の滞在だ。
会えたことへの安堵と
この瞬間から、別れの時間が迫ってくる焦燥感。
今日子は大沢の時間を独り占めしたいと思った。
片時も大沢から離れたくないと思った。
大沢が愛しいと・・・
こんなにも愛しているのにと・・・
その想いは堰を切ったように流れ出した。

大沢は「今日子」と名前を呼んだ。
今、耳元で囁きかける大沢の声に
今日子は夢なのかと頬をつねった。
夢かもしれないと思うだけで、涙が溢れてきた。
「バカだな、泣くなんて。 君のところに帰って来たのに・・・」
「・・・・ ・・・・ ・・・・」
今日子は、言葉が出なかった。

二人を乗せた車は、汐留に向かって走り続けた。
第3章へ続く・・・
3年前に書いた「ニューヨーク恋物語」は
あの時は、それが精いっぱいの表現の仕方だったけれど
今、読み返すと、未熟な自分が恥ずかしくなります。

けれど今回、この物語をリバイバルさせたのは
あの頃の輝いていた自分を回想したかったからです。
写真に対しても、いつもひたむきな気持ちで撮っていたし
どんな些細な被写体をも見逃さない鋭い目があった。
今は、マンネリ化して、反省の色は濃い。

今、私のWebサイト「マドンナの夢ギャラリー」の中から
今回リバイバルさせた「ニューヨーク恋物語」の
挿絵の写真を選ぶ作業は、私的にはとても楽しい。
物語と写真は全く違う視点で撮ったにも関わらず
こうして挿絵にして置いてみると、収まりがいいのには驚きます。
そして嬉しくなる。

写真とのコラボの関係で、リバイバルの「ニューヨーク恋物語」は
少しだけ原作の言葉と違うところがありますが
「ニューヨーク恋物語2008改正版」としてお読みください。
今夜も「大沢と今日子」の世界をお楽しみ頂けると嬉しいです。
写真は上から
1 ニューヨーク5番街
2 セントラルパークのストロベリーフィールズ
3 カーネギーホール
</object>
ミューヨーク恋物語2008 BGM 愛し君へ(森山直太朗)




















ニューヨーク恋物語 第2章東京編

待つという行為が
これほど長く感じたことはあっただろうか。

今日子は到着ロビーの椅子に腰を下ろして
何度も手鏡を見た。
今、一番きれいな自分で大沢に会いたいと思った。
それは今日子の女心である。
胸の高鳴りとともに何度も髪を撫で、化粧直しをした。

到着のざわめきがロビーに広がった。
今日子は席を立ち大沢を探した。
その奥からこちらに向かって歩いて来る大沢を見つけた。
大沢もまた今日子を確認した。

少しはにかんだような顔で、大沢が今日子の前に現れた。
「ただいま」と言った。
今日子は「お帰りなさい」と、笑顔で迎えた。
少し日焼けした大沢がそこにいた。
そしてやや痩身になった大沢が素敵に思えた。

大沢もまた今日子の髪が長くなったことを感じた。
大沢は髪の長い今日子が好きだった。
照れ隠しに、右手で髪を撫でる今日子のしぐさが
今でもたまらなく可愛いと思っている。
ニューヨーク滞在中、長く美しい今日子の髪を夢に見ることがあった。
夢の中の今日子はいつも笑っていた。

二人は空港の駐車場に向かった。
そこで待っていたのは、大沢の愛車だった。
愛車のレジェンドは、大沢の渡米中、今日子が使っていた。
大沢は今日子をサイドシートに乗せると、運転席に着いた。
エンジンをかけると、一年前の二人に戻った。

大沢はよく今日子をサイドシートに乗せてドライブした。
横須賀、湘南、茅ヶ崎・・・今日子の好きな海だった。

バックミラーに目をやると「雪の日のうさぎ」のマスコット。
BGMは二人が好きなユーミン。
スイッチONにすると「ANNIVERSARY」の曲が流れた。
すべて大沢と今日子の思い出に繋がってゆく。

空港をあとに高速道路を走ると
夕暮れが迫って来た。

西の空がロゼ色に染まり始めた。
これから始まる大沢と今日子の
甘い時間を祝福するかのような色だった。
その色は今日子のときめきの色でもあった。
今度は一週間の滞在だ。
会えたことへの安堵と
この瞬間から、別れの時間が迫ってくる焦燥感。
今日子は大沢の時間を独り占めしたいと思った。
片時も大沢から離れたくないと思った。
大沢が愛しいと・・・
こんなにも愛しているのにと・・・
その想いは堰を切ったように流れ出した。

大沢は「今日子」と名前を呼んだ。
今、耳元で囁きかける大沢の声に
今日子は夢なのかと頬をつねった。
夢かもしれないと思うだけで、涙が溢れてきた。
「バカだな、泣くなんて。 君のところに帰って来たのに・・・」
「・・・・ ・・・・ ・・・・」
今日子は、言葉が出なかった。

二人を乗せた車は、汐留に向かって走り続けた。
第3章へ続く・・・