本書は、インターネットを支えている技術にはあまり立ち入らず、主に文化的側面からインターネットを語っている。例として選ばれているのが、「ガンダム」、「エヴァンゲリオン」、「コードギアス」などのいわゆるサブカルチャーと呼ばれるものとなっているのは、なんともインターネット的だと思う。
本書には、「大きな物語」と言う概念が出てくる。「大きな物語」とは伝統、イデオロギー、宗教などのように、皆がそれに則って行う方がいいと思っているようなものだ。しかしこの「大きな物語」が瓦解し、価値観の多様化が進んでいるという。日本ではそうかもしれないし、大きな流れとしては、世界的にもその方向に流れていく可能性が高いのだろうが、今現在、宗教国家と言うのは腐るほどあるし、単一のイデオロギーに支配されている国もあり、まだまだ時間がかかると思う。
よくインターネットは匿名性があるということがいわれる。次のように著者は明確に否定している。
インターネットは匿名だといまだに誤解されている現実がある(p104)
私はこれには条件付きで賛成したい。匿名性が無くなるののは、個人情報を登録しているサーバーが国内にある場合である。
しかし、多くの人が迷惑している詐欺メールはどうか。海外のサーバーを色々と経由しており、実質的に追いきれないという例はいくらでもある。そもそも海外から発信されているような場合は、発信国で取り締まらない限りお手上げなのである。
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