著者の藤原正彦さんはご両親が新田次郎さん、藤原ていさんと有名な小説家だ。ご自身はお茶の水女子大で数学を教えておられ、現在は名誉教授である。天才都言っても、分野によっていろいろあるが、ここで言う天才とはご自身が数学者らしく数学の天才のことである。だから、将棋の天才とか野球の天才などは入っていない。本書に収録されているのは
・アイザック・ニュートン
・関孝和
・エヴァリスト・ガロア
・ウイリアム・ハミルトン
・ソーニャ・コワレフスカヤ
・シュリニヴァーサ・ラマヌジャン
・アラン・チューリング
・ヘルマン・ワイル
・アンドリュー・ワイルズ
の9名。
ご自身でゆかりの地を訪れたり、関係者に話を聞いたりして本の内容に深みを持たせている。よく日本人は改良するのはうまいが、独創性に欠けると言う人がいるが、本書を読むと本当は日本人はものすごく独創的なことが分かる。まあ、そういう人に限って独創性とは縁遠いのだろう。どんな民族にも独創的な人はいるものだ。ただ言葉の面で日本人にハンデがあることは否めない。本書にはひどいパリのホテルの話があったが、もしかするとこのあたりが日本人が過少評価されている原因があるのかもしれない。
しかし数学の天才というのにガウスが入っていない。あまり挫折ということとは縁がなかったためかなあ。
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