![]() |
amazon「帝国」との共存 |
ナタリーバーグ、ミヤ・ナイツ、(監訳)成毛眞 | |
フォレスト出版 |
本書はアマゾンの戦略について纏めたものだ。本書にはアメリカでアマゾンが展開しているものについて紹介されている。
キーワードは、「O2O(オー・ツー・オー)」、つまりオンライン・ツー・オフラインということである。アマゾンは本国でリアル店舗を展開している。例えば、レジのないコンビニであるアマゾン・ゴーやリアル書店であるアマゾン・ブックスなど。また、生鮮食品にも食指を伸ばしている。
そして顧客の囲い込み。これはアマゾン・プライムなどの会員にすることで、アマゾンにロイヤリティを持つ人間を増やそうとする。
<アマゾンの目標は、ペゾスがいうように「プライムに入会しないのは無責任だ」と消費者に感じさせる魅力を作り出すことだった。>(p71)
たしかにアマゾンは何かにつけ、プライムに入会させようとしているように見える。しかし私は絶対に入会しないだろう。そこまでヘビーユーザーではないからメリットを感じられないだろうからだ。そして一度会員になったら最後、以下のように行動してしまうだろうから。
<入会者は支払った会費の元をとろうという心理が働き、ときに非合理な意思決定をしてしまう。>(p74)
心理学に「認知的不協和理論」というものがある。要するに自分のした行動を合理化しようとして、傍から見れば不合理な行動をしてしまうのである。これは上記の行動をよく説明している。
まだ日本で展開されていないものも、アメリカでうまくいけば、日本に進出してくるのは想像に難くない。そのとき既存の小売業はどうするのか。対アマゾンで団結するのか、それともアマゾンの傘下に加わるのか?
いくつか、アマゾンに注文したいことがある。キンドルで本を買ったとき、こちらの名前が出るのだが、これに敬称も何もついていない。呼び捨てなのだ。そして本などに対するアダルト警告の一貫性のなさ。我々の感覚では、どうしてこれがアダルトなのだろうと思われるようなものまでアダルト警告が出てくる。もっと過激なものはそのまま出てくるにも関わらずだ。アメリカの基準なのかもしれないが、日本で商売をする以上、日本の感覚に合わせるべきだろうと思う。
なお、本書はフォレスト出版さまからの頂きものです。ありがとうございました。
※初出は、「風竜胆の書評」です。