曇、16度、88%
19歳になるアマリリスの球根があります。昨年の引っ越しの荷物にこっそり入れて持ち帰りました。18歳にして初めて土に下ろしました。まだ寒い二月、18歳のアマリリスとその子供たちを庭に植えました。数年花を付けなかったアマリリスが土に下ろしたことで久しぶりに立派な花を咲かせてくれました。秋口に掘り上げ、この春また土に下ろしました。球根が子別れして全部で5つになりました。五日ほど前から19歳になったアマリリスに花芽がつきました。気温は高めです。日に日に茎を伸ばし、花芽はうっすらと色づき始めました。
戻って来た主人は咋朝から庭の芝生の張り替えを始めました。まだ青いアマリリスなどには目も行きません。私はアマリリスを指差し、「あなたがいる間に咲くといいね。」と言って部屋の戻りました。主人が庭仕事をしてくれている間は、私は庭に出ないことにしています。思いのままに動けるようにと思います。
小雨が時折降るなか、古い芝を剥がし、土をならし、新しい芝を植え付けてくれました。午後からは抜歯と歯の根元を切開します。雨が本降りになる前に買っておいた芝は使い果たしました。「あとふた束欲しいなあ。」という主人と庭を眺めて新しい芝は綺麗だと思います。 ふと塀際に目が行きました。なんとアマリリスの花芽が首から1センチほどのところで折れて、皮一枚でぶら下がっています。私はアマリリスの前にひざまずき、「モモだと思って育てていたのに。」と声をあげて泣きました。セロテープを巻き、添え木をしてみました。こんなことで花が開くとは思っていません。それでもせっかくの綺麗な花姿をとまるで児戯です。
主人が歯医者に出たあと、雨の庭を見やりながらぼんやりしてしまいました。19歳の球根が花を付けるということは、大変なことではないかと思います。しかも年にたった1度の花です。悲しさと悔しさで胸がいっぱいです。ただ、香港で出来た子供の球根が今年初めて親の横で花芽を付けました。葉も球根もまだまだ親ほど立派ではありません。折れてしまった花芽を水に挿したらいいか、このままにしたほうがいいか、まだ胸の内が決まりません。
花や実を扱う時はうっかりが付き物です。まして、ココがそばでウロウロします。主人を責めているわけではありません。それでも寂しい思いをしました。