おはようございます。昨日、横浜美術館ではじまったメアリー・カサット展をみてきました。その紹介です。
ぼくのブログ記事をメアリー・カサットで検索すると、いくつか、出てきて、いずれも米国がらみである。ワシントンナショナルギャラリー(麦藁帽子の子供、浴女)、ボルチモア美術館(黒衣の女)、クラークコレクション、バーンズコレクションなどである。その程度にはメアリー・カサットについて知っている。もちろん、回顧展ははじめてだ。
カサットは1844年、米国ペンシルバニアに生まれ、16歳で地元の美術アカデミーで学んだあと、66年にパリに行き、ルーブルで摸写をしながら絵の勉強をした。しかし普仏戦争がはじまり、帰国。71年に再渡欧。このときはスペイン、オランダにも行っている。プラド美術館でベラスケス、ムリーリョに魅了された。その頃、セルビアで描いた絵が、はじめに展示されている。”バルコニーにて”である。
バルコニーにて(1873年)フィラデルフィア美術館蔵
そして、パリへ。サロンへ出展。入選するも、何か物足りない。あるとき、画廊でドガの絵に釘づけになった。それがきっかっけでドガに近づく。ドガの薦めもあり、79年、印象派展にはじめて出展した。それ以降、そこを活動の場とした。両親と姉のリディアが米国から移住して同居するようになる。ちなみに、ドガもカサットも生涯独身だったそうだ。
浜辺で遊ぶ子供たち(1884)ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵 画面いっぱいに描く二人の少女は姉妹か。この二年前に姉を亡くしている。モデルをしてもらった姉に重ねあわせているのではないか、といわれている。
80年ころから近代都市の女性を描くようになる。自分も観劇を楽しんでいたので、劇場を主題とする作品が多くなる。
桟敷席にて (1878) ボストン美術館 劇を見る女性。その姿を遠くからオペラグラスで男性に観られているが、気にしない近代女性を描く。
一方、彼女の才能をもっとも発揮したのが、家族や親しい人々を描いた作品。同時代の印象派女性画家のモリゾ、エヴァ・ゴンザレスとも親しくなる。
眠たい子どもお水浴させる母親(1880)ロサンゼルス美術館
1890年、パリのエコール・デ・ボザールで開催された浮世絵版画展にインスピレーションを受け、10点余りの多色刷りの版画を作成する。油彩画にも浮世絵の影響がみられるようになる。自身でも、歌麿、北斎らの版画を蒐集している。その一部が展示されている。明らかな浮世絵の影響というかオマージュともいえる作品が並ぶ。
沐浴する女性(1890)
夏の日(1894)テラ・アメリカ美術基金蔵 大胆なクローズアップ、構図、舟遊びのモチーフなど浮世絵の影響がありあり。
母の愛撫(1896)フィラデルフィア美術館 母子を描いた浮世絵の自然な観察とルネサンスの聖母子像の普遍性に融合した作品といわれている。
1892年にシカゴ万博が開催され、そのときに女性館の壁画を担当し、現代の女性を描いた。この90年代は、母子像を中心に描き、カセットの全盛期といわれている、
果実をとろうとする子供(1893)ヴァージニア美術館
1900年代には、美術品コレクターのアドバイザーとなる。視力が徐々に衰え、1913-14年のパステル画を最後に絵筆を置く。1926年、パリ郊外で亡くなる。
カサットが身近に置いていた歌麿、北斎らの版画、秋草花図屏風(喜多川相説)の作品のほか、ドガ、モリゾ、エヴァ・ゴンザレスの作品もいくつか展示されている。
ほのぼのとした作品が多く、楽しい展覧会だった。横浜美術館の常設は、”しなやかさとたくましさ―横浜美術館コレクションに見る女性の眼差し” です。清方、松園、現代では松井冬子も出ています。
では、今日も一日、お元気で!