マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『県民健康管理調査の闇 ・ 福島原発事故』

2013-11-15 | book
事故の瞬間から、東電と政府と行政は、
事故をいかに軽く見せるか、
事実をどうやって隠すか、
健康障害は大したことないと思わせるにはどうするか、
どうやったら責任追及から逃れられるか、そのことに腐心してきた。

大量の放射能を浴びた住民の健康への影響を調べるとした福島県の調査もその例外ではない。
秘密裏に会議を繰り返し、事前に決められたシナリオ通りに進められてきたのだ。

その会議が到底住民の健康を考えてのモノではないことを、
一人の記者が粘り強い取材で明らかにして行く。

法令で一般人の被曝限度は年間1ミリシーベルトに定められている、にもかかわらず、
国は避難基準を20ミリシーベルトと変更したが、
その数値に至った議論や根拠は示されていない。
(20ミリシーベルトは年間400回レントゲン検査を受ける量に相当)
オブザーバーの一人は小児甲状腺癌は100万人に一人だから大丈夫、と言っていたが、
初期に3人確認された段階で「たった3人」と発言し抗議を受けている。
その後も次々18歳未満の癌が確認されているが、セカンドオピニオンが受けられないように小細工をしたり、
信じられない仕打ちを繰り返している。

最後に著者はもし10年20年後に甲状腺癌に限らず、健康被害を訴える人が出て来た時に、
この「情報操作された健康管理調査」を元に原発事故との因果関係を否定するのではないかと危惧し
「県民健康管理調査」の真相を記録として残す必要があると思い至ったと書いている。

地味な調査だが、重要な内容を含んでいる。

『 県民健康調査の闇・福島原発事故 』
日野行介 著
岩波新書  2013.9
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